3日目。
ホテルの朝食。あまり食欲が無い。
痛い足を叱咤しつつ、東京国立博物館へ。
バランスの悪い歩き方なので、痛めた足のふくらはぎと、逆側の尻が痛い。
特別展でやっている「書の至宝展」には私は余り興味がないのだが、
会場前から行列ができている。
札幌ではこの展覧会に行列はできないだろう。
それを横目に本館の国宝室へ。
まだ誰も来ないうちに、じっくり「松林図屏風」を見る。
まず、遠めに見る姿が素晴らしい。
墨の濃淡と、屏風の折れ具合のために、驚く程の遠近感と、松を覆う
霧の質感が感じられる。
間近でみると、筆跡が乱雑とも言えるほどはっきり見えるのだが、そんなことは
全く気にならない。
惜しいのは国宝室の前に他の展示ケースがあり、ずっと遠くから
作品を見ながら歩いて行くことができないことである。
今回はこれだけを見に来たといっても良いのだが、やはり実物を
見てみるものだなあと思った。
とは言え、仏像室にはちょっと行ってみる。
これまた正解だった。以前、一度勢ぞろいしていた曹源寺の十二神将像が
また勢ぞろいしているのである。
前回は円形に展示されていたが、今回は12人全員で敵に向かった雰囲気で
各々ポーズを取っている。
いろいろ並べてみたくなるよね、これを持っていたら。
続いて、三井記念美術館の「日本橋絵巻展」へ。
もちろん北斎、広重の版画を含めていろいろ面白い作品があるのだが、
今回は長さ12m、ベルリン東洋美術館から来た「熈代勝覧」である。
よく見ると、本屋、吸物・丼いろいろ、寿しや「玉鮓」、二八そばや、
うんとん(うどん)、かまぼこや、魚屋(魚は多分、鰹、鯛、平目)
等の店があり、非常に楽しそうな住んでみたい町並みである。
もちろん、中心付近に三井えちごやが目立っている。
これを見ると江戸の魚はやはり鰹であることがわかったり、
実に面白かったので、図録を購入してしまった。
次は国立近代美術館。
朝飯をあまり食べなかったため、猛烈に空腹感が来た。
途中の毎日新聞社ビル「A飯店」で中華風チキンカレー。
土地代のせいか、ちょっと値段は高め。
中華風というよりはジャガイモと鶏肉ゴロゴロの日本の母のカレーという感じ
だが、ガツンと来る味で空腹にピッタリであった。
さて「須田国太郎展」である。
感想は画風をどう表現して良いのかわからず、好きか嫌いなのかも
よく分からない感じだ。
まず、初期は茶色が主体の茫洋とした風景画が多い感じがする。
途中から黒が強くなり、一時期はバイオリンの前面が真っ黒な画とか
行きすぎになったような気がする。
そして最後には黒とそれ以外の色(特に緑が目に付いた)を上手く
組み合わせた色彩感がでていたと思う。
「修理師」という力感・人物の存在感あふれる作品と、
「脱衣」という暗闇に浮かぶ人と、緑色を上手く配置した作品は良かった。
それから、能に関連した画も流石に形が決まっていたように思う。
常設展は駆け足でチェック。
構造社展で見た陽咸二のミニ特集をやっていたのが発見。
「サロメ」像が展示されており、せっかく知った人の作品にこういうところで
再会するのはちょっと楽しい。
Bunkamuraの「ポーラ美術館の印象派コレクション展」へ。
どちらかというと印象派にはあまり興味がないのだが、
昨年来、段々興味を持ってきたかも知れない。
まず、すっかり好きになったドガの作品。
「マント家の人々」は本当にいそうな女の子の表情が上手い。
「二人の踊り子」「休息する二人の踊り子」もなかなかキュートで
センスが良い感じがする。
「睡蓮」しか描かなかったんでしょ、と長らく思っていたモネは空気感を
描くのが上手い人だと思う。
よく見ると「睡蓮」は雰囲気のある画だ。
逆に一輪挿しの花をカチッと書いた「グラジオラス」のすっきり感も見もの
である。
後は点描といったらスーラの「グランカンの干潮」。
シニャックの点描がコントラスト強くて気になりだす中、
スーラの点描はそのことを忘れさせるような繊細さがある。
だんだん足の痛みも限界に近づいてきたが、太田記念美術館「館蔵名品展」へ。
今回見てみたかったのは、鈴木春信である。
非常にくにゃくにゃした美人画(男も)を描く人というイメージが
あるのだが、確かに何とも言えないむずかゆい感じのする画だ。
後は美人の艶かしさと達磨の生々しさが対照的な勝川春章作品や
歌麿の「おいらん」が目に付いた。
歌麿の美人画は子供の頃切手を見ながら「こんなブサイク」と
思ったものだが、今見ると何とも言えない可愛さがある。
ふらふらになりつつ、当初の見学予定をクリア。
有楽町に戻り、銀座「S」へ。
雪が積もりつつあり、燗酒といわし叩きを注文。
いわし叩きといっても、刺身大の大きさで、ちょっと小骨が気になる感じで
あった。
続いてやっぱり煮魚だろうと、かさご煮付けを注文。
登場したのは周りの人も驚くサイズのかさごである。
かさごは骨は硬いが、身は淡白、ただしあちこちに相当ゼラチン質の部分が
ついている。
時間をかけて大体食べきったが、細かい身が若干残ってしまったかも知れない。
今回はお通しが私の数少ない苦手、わさび漬けだったりして、ちょっと
外したかも知れない。
最後にバー「F」へ。
「すごい雪ですねえ」とマスターに言われるが、札幌の私にとっては
小雪程度である。帯広出身のFさんも、おそらく同感だろう。
最初はジン+シャルトリューズ+レモンのスプリングフィーリングと
言うカクテル。スッキリして飲みやすい。
次はテキーラ+メロン+ライムのミドリマルガリータ。
メロンリキュールの甘さが割と荒っぽい味のマルガリータを
飲みやすいカクテルにしている。
雪の中ではあるが、他の客は随分陽気な親族5人組と、
木更津に帰るという人が私の隣に座った。
房総半島が大荒れなので、木更津氏は帰れるのかどうか不安になりながらも
ヤケッパチで飲んでいるらしい。
私はこれから札幌に帰るということを言うと、お気をつけてと見送ってくれた。
そして空港へ。
羽田発は約1時間遅延。新千歳空港から臨時電車に乗り、琴似についたのは
0時半であった。
ホテルの朝食。あまり食欲が無い。
痛い足を叱咤しつつ、東京国立博物館へ。
バランスの悪い歩き方なので、痛めた足のふくらはぎと、逆側の尻が痛い。
特別展でやっている「書の至宝展」には私は余り興味がないのだが、
会場前から行列ができている。
札幌ではこの展覧会に行列はできないだろう。
それを横目に本館の国宝室へ。
まだ誰も来ないうちに、じっくり「松林図屏風」を見る。
まず、遠めに見る姿が素晴らしい。
墨の濃淡と、屏風の折れ具合のために、驚く程の遠近感と、松を覆う
霧の質感が感じられる。
間近でみると、筆跡が乱雑とも言えるほどはっきり見えるのだが、そんなことは
全く気にならない。
惜しいのは国宝室の前に他の展示ケースがあり、ずっと遠くから
作品を見ながら歩いて行くことができないことである。
今回はこれだけを見に来たといっても良いのだが、やはり実物を
見てみるものだなあと思った。
とは言え、仏像室にはちょっと行ってみる。
これまた正解だった。以前、一度勢ぞろいしていた曹源寺の十二神将像が
また勢ぞろいしているのである。
前回は円形に展示されていたが、今回は12人全員で敵に向かった雰囲気で
各々ポーズを取っている。
いろいろ並べてみたくなるよね、これを持っていたら。
続いて、三井記念美術館の「日本橋絵巻展」へ。
もちろん北斎、広重の版画を含めていろいろ面白い作品があるのだが、
今回は長さ12m、ベルリン東洋美術館から来た「熈代勝覧」である。
よく見ると、本屋、吸物・丼いろいろ、寿しや「玉鮓」、二八そばや、
うんとん(うどん)、かまぼこや、魚屋(魚は多分、鰹、鯛、平目)
等の店があり、非常に楽しそうな住んでみたい町並みである。
もちろん、中心付近に三井えちごやが目立っている。
これを見ると江戸の魚はやはり鰹であることがわかったり、
実に面白かったので、図録を購入してしまった。
次は国立近代美術館。
朝飯をあまり食べなかったため、猛烈に空腹感が来た。
途中の毎日新聞社ビル「A飯店」で中華風チキンカレー。
土地代のせいか、ちょっと値段は高め。
中華風というよりはジャガイモと鶏肉ゴロゴロの日本の母のカレーという感じ
だが、ガツンと来る味で空腹にピッタリであった。
さて「須田国太郎展」である。
感想は画風をどう表現して良いのかわからず、好きか嫌いなのかも
よく分からない感じだ。
まず、初期は茶色が主体の茫洋とした風景画が多い感じがする。
途中から黒が強くなり、一時期はバイオリンの前面が真っ黒な画とか
行きすぎになったような気がする。
そして最後には黒とそれ以外の色(特に緑が目に付いた)を上手く
組み合わせた色彩感がでていたと思う。
「修理師」という力感・人物の存在感あふれる作品と、
「脱衣」という暗闇に浮かぶ人と、緑色を上手く配置した作品は良かった。
それから、能に関連した画も流石に形が決まっていたように思う。
常設展は駆け足でチェック。
構造社展で見た陽咸二のミニ特集をやっていたのが発見。
「サロメ」像が展示されており、せっかく知った人の作品にこういうところで
再会するのはちょっと楽しい。
Bunkamuraの「ポーラ美術館の印象派コレクション展」へ。
どちらかというと印象派にはあまり興味がないのだが、
昨年来、段々興味を持ってきたかも知れない。
まず、すっかり好きになったドガの作品。
「マント家の人々」は本当にいそうな女の子の表情が上手い。
「二人の踊り子」「休息する二人の踊り子」もなかなかキュートで
センスが良い感じがする。
「睡蓮」しか描かなかったんでしょ、と長らく思っていたモネは空気感を
描くのが上手い人だと思う。
よく見ると「睡蓮」は雰囲気のある画だ。
逆に一輪挿しの花をカチッと書いた「グラジオラス」のすっきり感も見もの
である。
後は点描といったらスーラの「グランカンの干潮」。
シニャックの点描がコントラスト強くて気になりだす中、
スーラの点描はそのことを忘れさせるような繊細さがある。
だんだん足の痛みも限界に近づいてきたが、太田記念美術館「館蔵名品展」へ。
今回見てみたかったのは、鈴木春信である。
非常にくにゃくにゃした美人画(男も)を描く人というイメージが
あるのだが、確かに何とも言えないむずかゆい感じのする画だ。
後は美人の艶かしさと達磨の生々しさが対照的な勝川春章作品や
歌麿の「おいらん」が目に付いた。
歌麿の美人画は子供の頃切手を見ながら「こんなブサイク」と
思ったものだが、今見ると何とも言えない可愛さがある。
ふらふらになりつつ、当初の見学予定をクリア。
有楽町に戻り、銀座「S」へ。
雪が積もりつつあり、燗酒といわし叩きを注文。
いわし叩きといっても、刺身大の大きさで、ちょっと小骨が気になる感じで
あった。
続いてやっぱり煮魚だろうと、かさご煮付けを注文。
登場したのは周りの人も驚くサイズのかさごである。
かさごは骨は硬いが、身は淡白、ただしあちこちに相当ゼラチン質の部分が
ついている。
時間をかけて大体食べきったが、細かい身が若干残ってしまったかも知れない。
今回はお通しが私の数少ない苦手、わさび漬けだったりして、ちょっと
外したかも知れない。
最後にバー「F」へ。
「すごい雪ですねえ」とマスターに言われるが、札幌の私にとっては
小雪程度である。帯広出身のFさんも、おそらく同感だろう。
最初はジン+シャルトリューズ+レモンのスプリングフィーリングと
言うカクテル。スッキリして飲みやすい。
次はテキーラ+メロン+ライムのミドリマルガリータ。
メロンリキュールの甘さが割と荒っぽい味のマルガリータを
飲みやすいカクテルにしている。
雪の中ではあるが、他の客は随分陽気な親族5人組と、
木更津に帰るという人が私の隣に座った。
房総半島が大荒れなので、木更津氏は帰れるのかどうか不安になりながらも
ヤケッパチで飲んでいるらしい。
私はこれから札幌に帰るということを言うと、お気をつけてと見送ってくれた。
そして空港へ。
羽田発は約1時間遅延。新千歳空港から臨時電車に乗り、琴似についたのは
0時半であった。