今日は結果的に台風の影響ピーク日であった。雨が降っているためタクシーで「長島美術館」へ。鹿児島中央駅から近いが、山の上の方とあって、これはとても歩いて行くのは困難そう。さらにタクシーを降りるタイミングで、ちょうど土砂降りになってしまい、あわてて美術館に駆け込む。
しかし、この美術館、来る価値のある場所だった。
和田英作「あけちかし」:紫式部を自分の妻をモデルに描いた作品。古典美と生々しさが同居している。そういえば、和田も鹿児島出身なのだ。
海老原喜之助「北極」:雪原に帆船が乗り上げ、白熊と人、犬が戦う幻想的な作品。目にしみるような白と青の世界である。
ピカソ「アンジェル=フェルナンデス・デ・ソートの肖像」:ピカソ18~9歳の青の時代の作品。黒地に浮き上がる青のスカーフ、陰鬱な男の表情が見事である。これは相当高いのでは?(下世話で申し訳ない)
ピカソ「女の顔」:19~20歳ころの作品。気の強そうな目のきつい女性。人の内面をここまで表現するテクニックを持ったうえで、後の時代に進んでいくのだから、やはりすごい。
ユトリロ「ロバンソンのパヴィヨン・ラ・フォネテーヌ」:白の時代以降で、森をバックにカラフルな色彩でレストランが描かれている。
シャガール「緑のバイオリン弾き」:紫の帽子とコート、緑の顔と手の男。へなへなしたシャガールの作品が苦手なのだが、このしっかりした表現は見ごたえがある。
ミロ「コンポジション」:私はミロも苦手なのだが、赤い絵の具をベースに力強い黒い渦を描いたこの作品は気にいった。
ビュッフェ「静物」:デパートの画廊で見るような、あの極端な黒い線ではないところがいい。
当然のことであるが、薩摩焼の展示には見所があった。以下に書く以外にも書ききれないほど沢山の名作があった。作品名が漢字で長すぎて、メモを取る気力がわかないのだ。
上原熊次「陽刻菊花紋香炉」:蓋は2層の透かし彫りになっているように見える。全体に文様の線部分を浮き彫りにしている超絶テクニック。
苗代川焼「線手羅漢図貝形飾皿」:アワビの形をしたユーモラスな作品。
この他には中南米の陶器展示があるのも非常に珍しいと言えるだろう。ペルー、コロンビア、エクアドル、コスタリカの食器、祭器等があり、人形形のものについては、日本の土偶との類似性を感じるものがあった。コロンビアの不気味なドラえもん(のようなもの)に乗る男の像は、非常にインパクトがあった。副葬品とあったので、不気味なドラえもんがおそらく死後の世界に連れて行ってくれるのであろう。
なお、美術館前には沢山の彫刻があり、雨をぬっていくつか撮影したので、いずれ紹介したい。天気さえ良ければ、ここから見下ろす鹿児島市の景色も素晴らしいものであっただろう。