昨日は早めに寝たが、今日は6時起床とまあまあ好調。あまり変わり映えのしないホテルの朝食。今日はご飯に納豆、温泉卵をメインにしてみた。その後、こちらの名物、細うどん、レモンパンプディングなどを食べる。
その後、中国新聞とコーヒーでのんびり。
さて、今日はまず広島市現代美術館に行こう。昨日、徒歩で近くまで行ってえらい目にあったのだが、ホテルから数分歩いたところから、観光ループバスに乗ると美術館前に到着することが判明した。30分に1本のバスだが、時間を決めていくには使いやすい。
約10分で美術館に到着。この美術館、建物がまずスゴイ。
まず特別展示「1945年±5年 戦争と復興:激動の時代に美術家はなにを描いたのか」から見て行こう。
松本竣介「議事堂のある風景」:国会議事堂の周りをリヤカーを引いた男が歩いている。何ともまだ寂しい風景だ。
前田藤四郎「南の国(原画)」「琉球風景(原画)」:前者は黄色、後者は赤を中心にした色彩で、独特の風土を表現している。
森堯之「ハルビン風景」:描かれた商店の前には、小さな「サッポロビール」の看板がある。
橘作次郎「杭州湾敵前上陸」:緑の荒海が描かれている。
向井潤吉「ロクタク湖白雨」:画面左上から突然の雨、その下を飛行機が飛び、向こうには湖が見えるというスペクタクル作品。
清水登之「南方地下資源」:はっきり言って、アジア開放のための戦争じゃないよね。
山下菊ニ「日本の敵米国の崩壊(人道の敵米国の崩壊)」:いわゆるアメリカの象徴が崩れていく画なのだが、女優のベティ・デイビスが描かれており、結構、アメリカ映画に詳しかったのでは? と言いたくなる。
中山正實「海ゆかば」:神武東征の旅立ちを描き、まあ、勇ましいこと。
福沢一郎「海」:海と言っても山上の湖に見えるようなところで、一人は佇み、一人は釣りをしている。この作品に限らないが、戦前・戦中のきな臭い中では、何とも言えないシュールレアリスム作品が生まれがちな気がする。
靉光「花・変様」:奇怪な植物の画、茎には目玉が一つ見える。
北脇昇「流行現象構造」:リボン、蝶、毛虫などの物体に、関数っぽい曲線を描いた作品。これまた不思議な感じがする。
小早川秋聲「國之楯」:死んだ兵士の顔に、寄せ書きがなされた日本国旗がかけられている。この作品、戦争画でありながら、軍部が受け取りを拒否したそうだ。
吉田博「溶鉱炉」:手前の暗がりと、溶けた鉄の灼熱の色。大迫力の画面である。
北川民次「農漁の図」:ピンクの地面に家畜があふれ、どこか別世界の趣である。
石井柏亭「山河在」:日本は山の国だな、としみじみ思える作品。
佐田勝「廃墟」:青空と雲のしあ、赤い鉄骨と、石の台座だけが残されている。
高原良雄「呉近海の軍艦青葉」:船は傾いているようだ。もう、航海はできないのだろう。
朝井清「広島の夕焼け」:原爆ドームの迫力。
眞島建三「遍歴」:空に浮かぶのは笠だけが残ったキノコ雲だろうか。
北川民次「重荷」:戦後の雰囲気を思わせる、何ともやりきれない作品。
鶴岡政男「重い手」:同上。
岡本太郎「憂愁」:人肌のような岩に刺さる金属製の小旗。いかようにも解釈のできる、難しい作品だ。
杉全直「無題(風景)」:ごちゃごちゃと捨てられたものが描かれているが、空だけは曇りなく青い。
古沢岩美「憑曲」:真っ赤な画面には都市とキノコ雲、空に浮かんでいるのは赤鬼だろうか。何となく「ジョジョの奇妙な冒険」を思わせる奇作。
この展覧会だが、展示が何と11室にわたり、資料も含めて総展示数210点。見ごたえのありすぎる展覧会だった。
夏のワークショップ・プロジェクト2016と題して「あちらの世界? こちらの世界??」というスサイタカコ、関口幸太郎の展示コーナーがあった。こちらは写真撮影可能だったので、インパクトのある作品を見て頂きたい。
さらにさらに、常設展示「ヒロシマの現代美術」という展覧会もある。こちらも撮影可能だったので、別項で何点かの作品を紹介したい。
予想観覧時間を大幅に超え、バスを1本遅らせて広島駅に向かうことになった。