4月9日に道新→時計台→たぴお。
4月10日に近美→三岸→芸森→4プラ→スカイホール→さいとう。
■時計台ギャラリー「外山欽平油絵個展」。今年のテーマ文字は「M」である。アルファベット自体には特に意味が無いのだと思うが、私はアルファベットの形が気になるのである。「M」という文字は正面性もあるし、横を向いている感じもするし、硬くも柔らかくもあり、非常に面白い素材であると思う。「m」なんかは、横を向いた動物のようで、面白い。
■ギャラリーたぴお「春への協奏曲」。奥の壁に林教司の暗色で女性の横顔を描いた作品と、竹田博のオレンジ色のバラを描いた作品が並んで展示されていた。
■三岸好太郎美術館「三岸・東洋趣味に遊ぶ」。大体は三岸好太郎美術館の収蔵品なのだが、高輪画廊というところから17点ほど水墨画、淡彩画が来ていた。あっさりした描写の作品が多いが、珍しいことは間違いない。
上海旅行の足取りを検証した展示コーナーがあり、収蔵品展示ではあるけれども、工夫が感じられる。なお、今年もスタンプラリーは継続するようで、あらたな台紙をもらった。
■芸術の森美術館「芸森の名品」。展示数も多く、なかなか充実した展示である。
三木俊治「未来を語るテーブル」:遺跡で発掘された文字のような拓本作品。もう少し、未来を感じさせるイメージがあればな、と思う。
丸山隆「残留応力」:カーブする形と色、タイトルのセンスがピッタリ。
鎌田俳捺子「交響詩による」:青のモザイクを思わせる、大スケールの作品。
谷口一芳「憂」:地形のような、生き物の顔のような不思議な作品。
舟越桂「雪の上の影」:嫌いなら感想を書かなければいいのだが、芸森の代表作品のように扱われているので一言。母子の愛情を形にした作品という見方をされているのだろうが、私には、子離れできない気持ち悪い親というか、精神的双子の嫌な感じがするのである。これは個人の感覚が投影されたものであるから、どちらが正しいというものでもないと思うが。
中村善策「裏庭の植木鉢」:珍しく裏庭の世界のみに限られた、小ぢんまりした作品。
木田金次郎「晩秋羊蹄山」:ちょっと珍しい、朱色が効いた作品。
伊藤正「黒い街」:ビル街と電柱、電線の黒さが印象的な作品。1960年ということからすると、札幌市内なのかな。
伏木田光夫「カニューの精神病院」:どうも色彩的な好みが合わない作家であるのだが、初めて良いと思った作品である。色だけとるとメルヘン的でもあるのだが、膨らんだ建物は、ちょっとゴッホのような感覚を覚える。
今泉真治「火口」:実に細かい描きこみと、作品としての巨大スケールが両立。
山本瑞雲「先考鈴木鎌太郎三十九歳像」:こんなのが芸森にあるとは知らなかった。高村光雲の一番弟子による、軍服姿の木彫作品。面白い。
佐藤朝山「山鳩」:羽のあたりの写実性がいい。
会期末は近いが、札幌にどんな美術作品があるのか知るためにもぜひ、とお勧めしたい展覧会である。それはさておき、文句が一つ。私が行った直前に、バックヤードツアーがあったせいか、それとも何らかの広報活動のせいか、基本的に撮影禁止の会場なのに、やたらに写真を写している人が多いのだ。
私も写真を撮りたい訳ではないが、多少の不公平感を感じるのと、シャッター音がとにかくうるさいのだ。私はどちらかというと機械音が非常に気になるたちで、折角展覧会を見に来たのにシャッター音が気になって集中できず、ガッカリというしかない。そう何回も来られる訳ではないのだから、こういう日にあたると不運としか言いようがない。