今日から8月です。本当に暑いですねー。
今回は去年の石垣島の魚をご紹介。イトヨリダイ科・ヨコシマタマガシラ属のフタスジタマガシラ。
フタスジタマガシラはヨコシマタマガシラ属の魚で、この属では前鰓蓋にノコギリのような突起が見られるのが特徴。毒性はないようだが、大きなヒトスジタマガシラなどはこの棘が目立っているので、一応注意したほうがよいかもしれない。サンゴ礁の浅瀬に生息し、派手ではないが美しい色彩をしている。頭部から体側へ、そして体側の背部へとつながる縞模様や、2色に分かれた臀鰭、背鰭の黄色、暗色、透明が特徴である。
ちなみに、この色は成魚と幼魚では大きく異なる。幼魚は黄色っぽいからだに黒い縦線が入るという色彩をしている。おそらくテンジクダイの一種、もしくはヒゲニジギンポに擬態しているのだろう。ヒゲニジギンポには毒牙があり、ほかの魚の鰭などをつついたり、体表を捕食してしまう悪癖の持ち主であるのだ。なお、南太平洋のフィジーでは真っ黄色の幼魚が生息しているが、これもフィジーに生息する遊泳性の強いヒゲニジギンポの仲間に擬態するためではなかろうか。
幼魚は九州以北でも毎年のように見ることができるが、成魚は奄美諸島以南でないとなかなか見られない。高知県では1回見たことがあるだけだ。幼魚は観賞魚として知られるが、成魚は全長20cmを超えるくらいにはなるので、大きめの水槽が必要になる。成魚は白身で塩焼きなどにして美味しいが、市場ではほぼ見られない。ただし「沖縄さかな図鑑」では、「市場価値はないが沖縄島ではまれに水揚げされる」とある。ほかにヒトスジタマガシラやヒメタマガシラなどは市場では見たことがないが、やはり食用になる。前者は高知県の市場に30cmくらいのものが水揚げされたことがあり、刺身で美味であった。さすがはイトヨリダイ科である。
今回のフタスジタマガシラは石垣島の漁師 大濱優真さんより。ありがとうございました。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます