このベラはアカテンモチノウオという種である。アカテンモチノウオの分布域は伊豆半島大瀬崎、高知県柏島、宮崎県、屋久島、奄美大島以南の琉球列島。海外の分布域は東アフリカ~中央太平洋のマルケサス諸島にまでおよぶ。
写真の本は「ネイチャーウォッチングガイドブック ベラ&ブダイ」という本であう。この本を購入したことは先日ご紹介した通り。私は今年も喜界島にいってきたし、そのほかにもこの仲間とであう機会が多いとは思う。しかし、私のブログでは意外なほどこの仲間の掲載が少ない。
写真の個体は奄美大島の小さな港でつれた個体。魚はいろいろいるものの、活性が極めて低くあまり釣れなかったのだ。その中で何とか釣れた貴重な1匹。
成魚は全長40cm近くなる。写真の個体は若魚で尾鰭は伸びていないが大型の成魚は尾鰭の上・下端が伸びる。よく似たものにミツバモチノウオというのがいるが、この種は体側に多数の細かい横線が多数入るのに対し、アカテンモチノウオは細かい白色点になるので、若魚以降ならば区別はさほど難しくない。
従来はモチノウオ属とよばれひとくくりにされていたグループではあるが、現在モチノウオ属とされているのは本種、メガネモチノウオ、ヤシャベラ、ミツバモチノウオ、ミツボシモチノウオの5種と、紅海に生息するブルームテイルラス、そしてやはり紅海産のCheilinus abudjubbeという種の計7種がいる。C. abudjubbeはアカテンモチノウオの紅海バージョンというべきような種で、体に赤い小さな斑点がある。
かつてモチノウオ属とされたタコベラやハナナガモチノウオなどは、ホホスジモチノウオ属という別属とされた。日本産魚類検索の第三版には、タコベラ、ハナナガモチノウオ、カタグロホホスジモチノウオ、ホホスジモチノウオ、ヒトスジモチノウオの計5種が掲載されているほか、モチノウオという種が掲載されている。しかしこの種は眼の周囲に多数の斑紋があるなどの特徴があるものの、日本での最初の記録以降、日本からの報告はないらしい。Fishbaseでは学名で検索するとハナナガモチノウオの異名として出てくる。
さらにこのホホスジモチノウオ属は「ベラ&ブダイ図鑑」では紹介されているが、また面白い展開があるらしい。日本からはさらに2種、国内から記録がなかった種が収録されているのだ。
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