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この間我が家にやってきたスズキ目・フエダイ科・ハマダイ属のオオクチハマダイ。
ハマダイ属の魚は日本に4種ほどが生息している。いずれも大きくなり、赤い体をしている。そのなかでオオクチハマダイは同属他種と比べて口が大きく、主上顎骨後端は眼中央下かそれより後方に達することが特徴である。ハマダイはよく似ているが主上顎骨後端は眼中央下より前方にあるので見分けはそれほど難しくはない。
尾鰭の形状。オオクチハマダイも少し尾鰭が伸びてはいるが、ハマダイほどではない。また尾鰭の後方中央部が凹むことも特徴である。尾鰭は後縁が若干白くなることがあるようだ。
分布域は伊豆諸島、トカラ列島以南。海外では東インド洋からサモア諸島にまで分布しているが、ハマダイやハチジョウアカムツとは異なり、ハワイ諸島では見られない。生息環境はほかのハマダイ属と似ており、水深100m以深の岩礁域に見られる。ただし、これもほかの近縁種同様に幼魚はもう少し浅い水深でも見られるようである。ハマダイ属は世界に5種類が知られているが、インド洋のハマダイとされているものなどは明らかに別種のようにも思える。昨年にハチジョウアカムツ近縁種が新種記載されたように(Etelis boweni)、今後もそのようなことがあるかもしれない。
たまに「オオグチハマダイ」と書かれたりするが、「オオクチハマダイ」が正しい。一方同じ亜科に含まれるオオグチイシチビキは「オオグチイシチビキ」が正しいので注意したい。味や市場での価値については「沖縄さかな図鑑」の中では「身が赤く身質も悪い」とされていて、「ハマダイ類中最も市場価値が低い」とのことである。確かに新鮮なものは身がピンク色であり美しいが、切り分けると翌日には皮目が灰色っぽくなってしまうことがある。そのため見栄えがよくないといえるかもしれない。なお、今回は刺身にして美味であったのだが、写真を撮影するのを忘れてしまい残念である。なお、オオグチイシチビキはオオグチハマダイと見た目は似ているが色彩は淡褐色であり、赤い本種とは異なる。またハマダイ属と異なり背鰭にはほとんど欠刻がないのも特徴である。
オオクチハマダイを食したのは今回が2回目であり、1回目は長崎県産。今回は鹿児島県産である。今回の個体は久しぶりに丸万 田中水産 田中積さんより。いつもありがとうございます。
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