スズキ目・ホタルジャコ科のホタルジャコは私のブログでも何度か登場しているのでご存知の方も多いと思われる。しかしながらホタルジャコはオキヒイラギ主役の記事やら、スミクイウオの記事やらに出ているだけで、本種をメインにした記事をこれまで書いてきたことがなかった。
ホタルジャコは主に底曳網で漁獲される。しかしながらほかのホタルジャコの仲間の種とちがい、浅い場所にも出現することがあるため、定置網などで漁獲されることもあるようだ。この個体は以前にご紹介したアブオコゼやテンジクダイ、そして同じくホタルジャコ科の魚であるヒメスミクイウオ属同様に宇和海の水深70mほどの海底を曳く底曳網により漁獲された。生息水深は概ね50~130mほどの場所とされている。
ホタルジャコ属の魚は日本には3種知られており、本州から九州の沿岸で獲れるのは本種とハネダホタルジャコである。ハネダホタルジャコはホタルジャコよりも沖合にすむのか、生息水深が深いかで、宇和海の小型底曳網では見ることができない。ちなみにハネダホタルジャコの生息水深は100m以深であり、ホタルジャコよりも深いところに生息するようである。
ハネダホタルジャコ
本種とハネダホタルジャコは腹鰭と肛門の位置関係で見分けられる。ホタルジャコの肛門は腹鰭の後端よりもかなり前の方にあるのに対し、ハネダホタルジャコでは腹鰭後縁付近、もしくはそれよりも後方にある。このほか、発光腺の形状も違っている。写真ではわからないのだが、ホタルジャコの場合発光腺は肛門付近にありU字形。ハネダホタルジャコの発光腺はホタルジャコと比べて著しく長い。しかしこの写真からは見分けることが困難だ。
もう1種のオキナワホタルジャコは近年になって日本(沖縄本島沖)から報告された種で、体はやや細身であり側線有孔鱗数が48~49であることで、側線有孔鱗数が43~45のホタルジャコと見分けることができる。ちなみにオキナワホタルジャコの肛門の位置は、ホタルジャコと近いよう。
ホタルジャコの肛門周辺
ハネダホタルジャコの肛門周辺
ホタルジャコの分布はかなり広域に及ぶのだが、日本海側では少ない。千葉県外房~九州南岸までの太平洋岸に多く生息する。海外での分布はインド-西太平洋域で、東アフリカからアラフラ海にまで生息し、紅海にもいるようだが、もしかすると複数種に分けられるのかもしれない。ちなみにFishbaseによればこの属は6種が知られていて、21世紀に入ってからも3種が新種記載されているようである。
宇和海地域においてホタルジャコはそのまま食されることはほとんどないが、練製品原料としては極めて重要な種である。じゃこ天の原料として重要だ。またタチウオやアンコウといった肉食魚にとっても重要な餌となっている。
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