魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中で見苦しいところもありますが、ご容赦願います。

ヒシダイ

2023年11月28日 15時32分14秒 | 魚紹介

ご無沙汰ぶろぐ更新。つい先日入手したかわいい魚のご紹介。スズキ目・ヒシダイ亜目・ヒシダイ科のヒシダイ。

ヒシダイは従来はマトウダイ目の独立した亜目に含められていたが、「日本産魚類検索」の第三版ではスズキ目の中に含められている。もっとも最近は「スズキ目」を数多くの目に分割していたりするので、これも暫定的なものであろう。Nelson et al. (2016)ではCaproiformes、和訳すると「ヒシダイ目」(仮)となっている。もっとも分子分類だけではなんともいえないだろう。科はふたつの亜科、CaprpninaeとAntigoniinaeの二つに分けられているが、どちらも1属のみからなる。前者は東太平洋と地中海の固有属で1種のみ、後者は三大洋に10数種が知られている。日本産はヒシダイ、ベニヒシダイ、ミナミヒシダイの3種である。

ヒシダイは福島県、房総半島以南太平洋岸~沖縄舟状海盆に分布している。海外では非常に広い範囲にすみ、大西洋、インド洋、太平洋の熱帯・亜熱帯域にすみ、タイプ産地はマデイラだというが、この種とされていてもいくつかは別種として独立するかもしれない。なおヒシダイを紹介するのは今回が初めてではなく、過去3回ほど紹介しているが、行数は少なかった。今回はしっかりご紹介。ヒシダイの特徴としては口が若干上を向いていることであり、この特徴でベニヒシダイと見分けられる。ベニヒシダイでは吻がやや長くて口も水平である。また頭部背縁はヒシダイでもくぼむが、ベニヒシダイのほうがよりくぼむ。背鰭と臀鰭軟条もヒシダイより少なくそれぞれ25~30、25~27であり、これでも見分けられそうである。ベニヒシダイはヒシダイよりもやや南方系なのか、琉球列島で多く見られるのは本種のように思われる。ただ三崎以南でも漁獲されている。英名でIndo-pacific boarfishと呼ばれ、スリランカ~桓武海山まで見られる。「沖縄舟状海盆及びその周辺海域の魚類」では「アフリカ」との記述もあるのだが、別種との誤認かもしれない。

ミナミヒシダイもその名の通り南方の種である。口の形状はヒシダイに似ているが、背鰭や臀鰭の軟条数はそれぞれ26~30、25~28であり、背鰭・臀鰭軟条数が33~37、30~35のヒシダイに比べて少ない。分布域は小笠原諸島、和歌山県すさみ、沖縄舟状海盆で、国外では南シナ海、カイ島、オーストラリア東岸、ニュージーランドである。タイプ標本はクイーンズランドから採集され、1985年には上記の「沖縄舟状海盆及びその周辺海域の魚類」のなかで日本初記録とされ種標準和名が提唱された。なお、残念ながらベニヒシダイ・ミナミヒシダイも私は入手していない。もしベニヒシダイやミナミヒシダイが獲れたという方はご一報いただきたい。市場に出ることもたまにある。高知県大月の道の駅で購入した個体は「アカマンボウ」として販売されていたが、アカマンボウとは大きく異なる魚である。

ヒシダイの刺身。ヒシダイは体高があるが薄っぺらく、食するところは少ない。身は薄い赤みがあり美しく、味もかなり美味であった。やはりマトウダイの仲間とは違うと感じさせられた。今回のヒシダイは長崎県の石田拓治さんより。いつも、ありがとうございます!


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