これは、「とある深海性魚類」を包丁でたたき(すぎ?)つくったものなのですが、いったい何かおわかりでしょうか。
これは非常に美味でした。ただし、脂も多く、なかなか多量は食えないかもしれません。マダラなど、深海魚の胃の中からはこれがよく出てくるのです。なるほど、美味なわけです。
正解はこの魚です。ニギスGlossanodon semifasciatus (Kishinouye)。地方によっては沖ウルメとか沖ギスなどと呼ばれる、深海性の小魚です。
写真からはなかなか伝わりにくいのですが、ひかりの加減で七色に輝く美しい魚です。
先ほども述べました通り、日本海にすむタラやフサカサゴの仲間の胃内容物としてしばしば見られます。日本海側の資源となりうる底魚はタラ、フサカサゴ類などで、これらの胃の中からはしばしばこの魚が見つかります。そして日本海側ではなく、太平洋側でもこれらの魚は重要な餌資源・食糧資源です。
日本産のニギス科魚類は4種が知られています。うち本種とカゴシマニギスの2種がポピュラー。イチモンジイワシは希な種で、コタカニギスは今年に新種記載されたばかりの「新顔」です。
では、このニギスは何を食べているのか。胃の中からは小さなエビなどが見られましたが・・・魚も出てきました。
キュウリエソMaurolicus japonicus Ishikawa
これこそが、タラからニギスまで、全ての日本海産肉食性深海魚の餌、つまり深海魚のもと、となる魚です。以前ご紹介しました、デメエソダマシとか、そのあたりと同じ生態系の位置にいるといえそうです。
下関市場の隅っこやトロール漁船の網によく引っ掛かっています!
たしかエビスダイの腹から出てきた覚えがあります。この子がピラミッドの上位を支えていたのですね☆
そうなんです。こういうのが肉食魚の胃袋をみたします。いつだったかニギスが大量に網に入りましたがその中で巨大なエイがニギスの山にかぶりついていました。