今日のフィリピン魚はイットウダイ科のウケグチイットウダイNeoniphon sammara (Forsskål)です。
イットウダイ科は、イットウダイ亜科とアカマツカサ亜科の2亜科に分けられています。
イットウダイ亜科にはイットウダイ属(34種、日本産少なくとも15種)、
本種を含むウケグチイットウダイ属(5種、日本産4種)、
ノボリエビス属(2種、日本に産しない)があります。
もう一方のアカマツカサ亜科にはアカマツカサ属(28種、日本産13種)、
リュウキュウエビス属(2種、日本産1種)、
エビスダイ属(11種、日本産4種)、
ヤセエビス属(相模湾以南、太平洋域と西オーストラリアなどにすむ1種のみ)、
ヤスリエビス属(大西洋産の1種のみ)が含まれます。
アカマツカサ亜科の魚は寸胴な印象をうけます。また前鰓蓋骨に巨大な棘がありません。イットウダイ亜科の魚は、ややスマートな体と、大きな前鰓蓋骨の棘が特徴です。イットウダイ亜科の魚にはテリエビスやニジエビス、アヤメエビスに代表されるように赤い体の魚が多いのですが本種は銀色の体が特徴で、赤い細縦帯が多数ありよく目立ちます。
先ほども述べましたように日本にはこの仲間が4種分布します。本種の特徴は背鰭の先端に黒色域があること。この特徴で黒色斑がないホソエビスや、背鰭全体が黒っぽいヒレグロイットウダイと区別できます。もう1種ホホベニイットウダイは、色彩のほか、背鰭の最後の棘が後ろから2番目に棘よりも短い(本種では長い)ことで区別できます。
鰓蓋の大きな棘が特徴的ですが、臀鰭の棘も長いです。臀鰭の棘は4本あります。
ウケグチイットウダイの分布は広く、インド・太平洋域や紅海(タイプ標本産地)に分布します。日本では紀伊半島以南の太平洋岸に分布します。高知県ではまだ見ていませんが、愛媛県では2003年に定置網で漁獲されています。沖縄では普通にみられるようです。フィリピンでも普通種ではないでしょうか。
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