今日ご紹介するのはマトウダイ目・カガミダイ科・カガミダイ属のカガミダイ。
カガミダイのご紹介も久しぶりである。前回カガミダイを食したのは2021年、戸田のヘンテコ深海魚便の中に入っていた幼魚を食した。しかしその時はこのぶろぐでは紹介してこなかった。それ以前にこのぶろぐに登場したのは2012年だから、ちょうど10年ぶりの登場。日本産のカガミダイは当時は1属1種とされていたが、この10年の間に日本から2種目となるイトヒキカガミダイという種類が新種記載され、日本産カガミダイ属魚類は2種となった。その名の通り、背鰭棘鰭膜が著しく長く伸びているのが特徴である。カガミダイも長いが、イトヒキカガミダイほどではない。
マトウダイ科の魚は10年くらい前にはカガミダイ・マトウダイのほか、カゴマトウダイやアオマトウダイも入れられていたが、現在はこれら2種はベニマトウダイ科やカゴマトウダイ科に含められ、現在は日本産のマトウダイ科魚類はカガミダイ属の2種とマトウダイ属のマトウダイの計2属3種が知られている。
カガミダイの体側にはマトウダイのように暗色斑が出ることがあるが、マトウダイほど顕著ではない。またこの暗色斑がないこともある。幼魚のうちは大きな暗色斑が体に多数ある。またカガミダイの頭部背面は湾入することで、若干突き出すマトウダイと見分けることができる。
マトウダイもカガミダイも、背鰭や臀鰭の基部付近に大きく鋭い棘がある。ケガしないように注意したい。袋の中に氷を入れて運ばれてきたが、この個体は、おそらくこの棘のせいで袋が破れてしまっていた。侮れない。
カガミダイは分布が広く、日本では北海道~九州の日本海岸・太平洋岸・東シナ海沿岸に分布している。食用魚としてよく知られており、底曳網や深海釣りなどで漁獲されている。美味であるが値段はマトウダイよりもお安め。刺身はポン酢との相性がよい。ほかフライや洋風焼き物、これからの季節は鍋物など美味しい。
こちらは内臓。胃や肝臓も食用にできる。この個体は雌であり、雌は卵巣も食用にできる。肝はゆでて潰して身の上にのせたりするが、寿司屋さんでもマトウダイを扱うところがあり、そのようなところでは出してくれるだろう。ただし肝をゆでる前には緑色の胆嚢をつぶさないように気を付けたい。胆嚢をつぶすと黄緑色の汁が出てくるが、これがかかると非常に苦い。肝が非常に大きな個体は、胆嚢のまわりを大きく切るのもよいだろう。
今回の個体は長崎 印束商店の石田拓治さんより。いつもありがとうございます。
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