魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中で見苦しいところもありますが、ご容赦願います。

ハナガサヌメリ

2022年04月19日 22時35分33秒 | 魚紹介

またも初見の魚が入手できた。ハナガサヌメリという深海性の小魚である。この種はネズッポ科に似ているが、ネズッポ科ではなくイナカヌメリ科というグループのもので、この科の魚はみな深海性で、海山周辺など限定的な場所に住む珍しいものも多い。ネズッポのように前鰓蓋に鉤状の棘はなく、主鰓蓋骨と下鰓蓋骨に大きな後向棘というのがある。ハナガサヌメリはまっすぐ後ろを向くが、イナカヌメリでは上のほうを向いている。

ハナガサヌメリの含まれるハナガサヌメリ属は、日本に3種、世界の深海から14種が知られている。その中で鰓蓋部に暗色斑がないこと(セイヨウハナガサヌメリにはある)、体に無数の小暗色斑があること(オトヒメヌメリにはない)によって、日本に分布するハナガサヌメリ属のほかの種と見分けることができる。ちなみにイナカヌメリ科はこのハナガサヌメリ属の14種のほかに、イナカヌメリのみをふくむイナカヌメリ属が知られ、計15種からなる。イナカヌメリは土佐湾などにも生息し、水深150m以深の海底から底曳網漁業によって漁獲される。この個体は日向灘の深海から、やはり底曳網漁業によって漁獲された個体である。

ネズッポ科の魚はネズミゴチ、ヨメゴチなど食用として重要なものも多いが、イナカヌメリ科の魚はほとんどが10cmほどと小型であるため、ほとんど食用にはされていない。しかし決してまずい魚ではなく、揚げ物にして食べたら意外と美味であった。この個体は「深海魚ハンター」さんから頂いたもの。ありがとうございます。


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