初めて入手する魚が我が家にやってきた。フグ目・イトマキフグ科・イトマキフグ属のイトマキフグである。前回同じイトマキフグ科のキスジイトマキフグをご紹介したが、こちらのイトマキフグが「元祖」。ハウトインにより記載された、日本から最初に欧州に学術的に紹介された魚の一つといってもよさそうな種である。最初はハコフグ属に含まれ、やがてハコフグ科とされたが、現在はイトマキフグ科・イトマキフグ属とされている。分布域は青森県鰺ヶ沢、秋田県以南日本海岸および福島県以南の太平洋岸、朝鮮半島、済州島、台湾、中国近海。Fishbaseの「ハワイ諸島」は怪しいらしい。ハワイ産の写真も掲載されているが別種っぽい。
イトマキフグがキスジイトマキフグと異なるところは体に多くの棘があるところ。背にもひとつの大きな棘を持っているが、成長につれて小さくなっていくようである。また体側には小さな暗色斑もあるがこれも成長するにつれて小さくなっていく。このほか背鰭軟条数は10~13であり、これは9~11軟条のキスジイトマキフグよりも少ない(若干数値がかぶっているが)。
水族館のイトマキフグ
イトマキフグを見るのは初めてではない。かつてしものせき水族館「海響館」にはこの個体とおなじくらいのサイズのイトマキフグが愛嬌をふりまいていたし、現在も同館ではイトマキフグを飼育しているが、FacebookにおいてTakaki Nishiokaさんに写真を見せてもらったもののどうも怪しい。棘がなく軟条数も少なく見え、キスジイトマキフグの方なのかもしれない。日本産イトマキフグ科魚類は2種が知られているのみであり、それも深場に生息するのでなかなか手に入る機会がない。しかし、(海響館で今飼育されているのがキスジイトマキフグであるとすれば)、2種を両方見せてくれるという、ありがたい水族館である。この種はごくまれに観賞魚として流通することがあるというが、運よく入手した際は低水温での飼育が必要になるし、皮膚から毒を出すのでやはり単独での飼育が必要となるだろう。これはたまに海水魚店で見られるオーストラリア産のイトマキフグ科魚類についても同様のことがいえる。
イトマキフグ(上)とキスジイトマキフグ(下)
イトマキフグ(上)とキスジイトマキフグ(下)の背面
最後にイトマキフグとキスジイトマキフグ。耳石は採取する予定なのだが、仕事などが忙しいのでまだ冷凍庫に眠っている。フグ目は耳石サイズが小さいため、採取には時間がかかるのだ。なお今回のイトマキフグも愛知県の項明水産 鈴木項太さんより。いつも、ありがとうございます!愛知県の魚の紹介はとりあえず次で最後の予定。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます