今回紹介するのは、ヤモリザメGaleus eastmani (Jordan and Snyder)という魚です。
魚には「ヘビハゼ」「トカゲエソ」「キッコウフグ」など、爬虫類の名前がつく魚は結構いるものですが、「ヤモリ」の名がつく魚など、数えるほどしか有りません。このヤモリザメを含むヤモリザメ属魚種ととワニトカゲギス目トカゲハダカ科の「ヤモリハダカ」くらいのものでしょう。
このヤモリザメですが、メジロザメ目トラザメ科に属する、立派なサメの仲間です。ただし全長は大きくなっても50cmほどの小型種であり、水深200~300mほどの場所で多く漁獲されることもあって、人に危害を加えることはありません。
習性は他のトラザメと同じく卵生です。今回の調査では卵が採集されませんでしたが、また今度機会があればご紹介したいと思います。
小型種でぜひ水槽に入れてみたいところですが、生息水深200m、水温15~18℃ほどと低い温度に保たなければならないので、飼育は難しそうです。網あげのときに他のサメ(フジクジラやカスザメなど)はくたばっていたのに対し、本種は元気いっぱいでした。
また、和名については面白いことに、同じトラザメ科に「イモリザメ」というのがいます。この種は深海トロでないと採集できない水深にいるので残念ながらご紹介できないのですが、相対する和名で面白いと思います。「イモリ」の名を冠する魚はこのイモリザメしかいないようです(カエルの名がつく魚はいっぱいいます、カエルウオとか、ウミガマとか)。
※標本を精査しましたらニホンヤモリザメの可能性もあります。
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