魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中です。ご容赦願います。 ぶろぐの写真はオリジナルです。無断転載はお断りします。

キュウリウオ

2017年04月14日 01時33分44秒 | 魚紹介

このでっかいワカサギみたいな魚はキュウリウオという。キュウリウオはサケ目・キュウリウオ科・キュウリウオ属の魚である。

キュウリウオ科と聞くとあまりなじみのないように思えるが、重要な食用魚であるワカサギやシシャモもこの科の魚である。日本には6種が分布し、そのうちシシャモは北海道の太平洋岸にのみ生息する日本固有種である。

本種はほかのキュウリウオの仲間と比べて口が大きく、上顎後端は眼後縁直下に達すること、臀鰭外縁があまり丸くないなどの点で見分けられる。口は大きく、鋭い歯を持っている。

しかし写真からは全くわからないにおいがある。それがこの魚の「におい」である。本種はキュウリウオという名前なだけあって、キュウリの匂いがする。ワカサギなどと比べてやや大きくなるが、フライや焼き物などで美味しく食べられる。坂口太一さん、ありがとうございました。

分布域は広く、朝鮮半島の元山~カナダのブリティッシュコロンビア、オホーツク海、ベーリング海をへて北極海にまで生息している。日本では北海道のオホーツク海岸、太平洋岸に分布しておりよく釣れるようである。産卵のために河川を遡上するため浅海性であると思われるが、水深290m以浅の海底に生息し、底曳網で漁獲されることもある。なお、この個体はカレイの刺網にかかったものと思われる。

学名については従来はOsmerus eperlanus dentex、つまりO.eperlanusの亜種とされていたが、現在はそれぞれ別種とみなされているようだ。北西大西洋にはOsmerus mordaxが分布し、O.eperlanusは北東大西洋(欧州北部沿岸)に分布している。後者は英語ではEuropean smeltと呼ばれている。Osmerus dentexは北太平洋と北極海に分布しており、日本のキュウリウオの学名にはこれが適用されている。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

シマヨシノボリ

2017年04月13日 00時04分20秒 | 魚介類飼育(淡水)

今年はじめて採集したハゼ科の魚は、ゴビオネルス亜科・ヨシノボリ属のシマヨシノボリであった。1月に遠出をした際に採集したもので、タモロコやオイカワ、ヤリタナゴなどの魚種と同所で確認。平べったい岩を岩ごと網で掬ったら本種が入っていた。今回は3個体お持ち帰りしたものの、共食いかほかの魚(タモロコなど)に食われたか、現在は1匹のみ。この子は大事に育てたい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ヤナギムシガレイ

2017年04月11日 12時33分57秒 | 魚紹介

今日はカレイ目カレイ科のヤナギムシガレイのご紹介。

ヤナギムシガレイ属は本種のみの1属1種。体が細長くて背鰭軟条数は84~102軟条。臀鰭軟条は72~81軟条。口は小さい、有眼側の鰓蓋上端は胸鰭より上にある、背鰭や臀鰭に明瞭な帯がない、有眼泡の背鰭や臀鰭の縁辺が黒くない、などの特徴で日本に分布するほかのカレイ科の多くの種と見分けることができる。

本種にそっくりなものに「ヒレグロ」というのがいる。ヒレグロ~という魚は多いが、「ヒレグロ」だけで標準和名である。ヤナギムシガレイとヒレグロとの違いは、ヤナギムシガレイは眼の上に鱗があるのに対しヒレグロにはないこと、ヒレグロの無眼側頭部には粘液孔があるが、ヤナギムシガレイにはそれがないことにより区別できる。またヒレグロは有眼側の背鰭・臀鰭縁辺部が明瞭に黒いことによりヤナギムシガレイと見分けることができる。

高知県足摺沖で採集されたもの

「東シナ海・黄海の魚類誌」という本によれば、日本近海産のものと黄海のものではややサイズが異なるらしく、黄海のものは体長35cmくらいになり、無眼側も黒っぽくなるなどの特徴があるという。これだけのサイズになるとは、と驚かされるが、私も足摺沖で30cmを超える本種を見たことがある。水深270mから漁獲されたものでかなり大きなものであった。同書によれば日本近海のものは全長32cmを超えるものは極めて少ないという。なお体長165mmを超えるものはすべて成熟個体とされている。

ヤナギムシガレイの分布は北海道~九州までの日本海、北海道~足摺までの太平洋岸、豊後水道、東シナ海。海外では朝鮮半島、済州島、東シナ海北東部、渤海などに生息している。分布という点でも北海道~山口県、千葉県銚子(愛知県にも?)に分布するヒレグロと見分けることが可能であろう。一方Fishbaseでは台湾にも分布するように書かれているが、本当かどうか不明。トップ画像の個体は茨城県日立市久慈沖で採集された個体。中トロ、小型問わず底曳網漁業により漁獲され、地域によって「ササガレイ」と称しているが、ここではムシガレイとして販売されていたと思う。「ホンモノ」のムシガレイよりもやや高めのお値段であったが、一夜干しにして焼いたものや唐揚げは非常に美味しい。なお学名は従来Tanakius kitaharaiという学名が使われてきたが、魚類検索第三版はTanakius kitaharaeとなっている。もちろんKitahararieではない。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

水槽リセット

2017年04月09日 22時20分36秒 | 魚介類飼育(海水)

今日は底砂を購入。海水水槽もそろそろリセットしたほうがよいのかもしれません。サンゴ、魚の調子がイマイチな感じに見えます。サンゴを飼育するのにナチュラルシステムが流行していますが、魚を多く飼育するのには向きません。この間掃除したらかなりの量のリン酸が出てしまいました。海藻はアイゴに食べられてしまったので、また地道に増やしていきたいと思っています。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ネズミギンポ

2017年04月07日 01時06分40秒 | 魚紹介

スズキ目・タウエガジ科・ネズミギンポ属のネズミギンポ。

ネズミギンポは深海性のタウエガジ科魚類で、水深1000mを超えるような場所からも採集されている。分布域は極めて広い。北太平洋、日本海、オホーツク海、ベーリング海から北大西洋グリーンランド近海にまで極めて広い範囲に分布している。日本においては北海道~東北地方までの太平洋沿岸、北海道~新潟県までの日本海岸、大和堆にまで分布している。

タウエガジ科の魚はいくつかの亜科に分けられている。魚類検索では亜科については触れられていないが、Fishbaseを参考にしたら概ねこんな感じになる。

●Azygopterinae

北海道にも分布するオビギンポと千島列島に住むAzygopterus corallinusの2種のみを含む小さなグループ。

●Chirolophinae

多くの種が頭部に皮弁を有する。フサギンポ、フサカケギンポ、ケムシギンポ、キタフサギンポなど4属12種をふくむグループ。沿岸の藻場などに多いイメージ。

●Lumpeninae

今回のネズミギンポはここに含められる。ヤセギンポやモンツキガジ、ヌイメガジ、ウナギガジなど。2009年に新種記載されたフリソデガジもこの属の中に含まれている。体は軟弱そうに見えるがかなり大きくなる種も含まれる。

●Opisthocentrinae

ムロランギンポやドロギンポ、ガジなど。トンガリギンポ属もこの仲間に含められているが、左右の鰓膜が癒合しているものが多いようである。一見ニシキギンポ科の魚に見えるようなものもおり、ドロギンポは水深15~60mほどの場所にいるとされるが、そのほかの種は浅い藻場に多いようなイメージがある。6属12種が知られ、日本産は7種。

●Stichaeinae

タウエガジやゴマギンポ、ムスジガジ、トゲギンポなどのグループ。臀鰭軟条の最後方の軟条が棘状になるというかわった特徴をもつものも知られている。タウエガジ属をのぞき複数列の側線を有しているよう。沿岸の岩礁域に多いイメージ。6属14種。

●Xiphisterinae

ダイナンギンポやキタノトサカ類などのグループ。短く茶褐色の体がユニーク。主に浅い海に見られ、潮だまりでもよく見られるイメージ。9属19種が知られる。

●Neozoarcinae

背鰭に軟条があり、これをゲンゲ科に入れることもある。背鰭棘条数が120以上とほかの種よりも多くの背鰭棘をもつものがいる。イトギンポ属、ヒメイトギンポ属、カズナギ属の3属13種からなり、分布域は日本や韓国、極東ロシアなど東アジアに限定される。日本には9または10種が分布。ヒメイトギンポ属とカズナギ属は沿岸域の岩礁や藻場に生息しているが、イトギンポ属は深海性でトロールで漁獲される。

ネズミギンポは上記の通りLamperinaeに含まれる種。鰓膜も切れ込み、ドロギンポみたいに癒合していない。亜科の標準和名の表記はあえてしていないのであるが、ウナギガジ亜科という標準和名はあるようだ。上顎は伸縮できず、前鋤骨や口蓋骨に歯がないなどの特徴があり、ほかの同亜科の魚と区別できる。なお、ネズミギンポ属は本種のみの1属1種である。

私がこの奇妙なタウエガジ科魚類と出会うのは今回が初めてではない。かつて東北地方太平洋岸の深海底曳網で漁獲された個体をいただいているのだ。そのときの個体は今回よりもかなり小さい。今回入手したのは体長298~307mm(全長324~333mm)の個体であったが、この個体は94mmであった。体に特徴的な模様がなく、ヌイメガジやウナギガジなどと区別できるとされるネズミギンポであるが、この個体は灰色の体に濃い黒っぽい斑紋が見られた。臀鰭軟条数はやや少ないのも見分けるポイントとなるようだ。大きいものでは全長40cmに達する。

底曳網漁業で漁獲されるが、練製品原料となる程度であまり食用とはされない。今回はアカゴチなどほかの魚とともに唐揚げでいただいた。美味しいのであるが、細身の体で骨が気になりやや食べにくい。今回のネズミギンポも坂口太一さんよりいただいたもの。いつもありがとうございます。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする