魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中です。ご容赦願います。 ぶろぐの写真はオリジナルです。無断転載はお断りします。

シモフリカジカ

2017年04月20日 11時01分48秒 | 魚紹介

 

北海道は魚の種類が南方よりは少ないが、個性的な魚たちに出会うことができる。カジカの仲間も種類は豊富であるが、素人目にはなかなか同定しにくいものもあったりする。写真の魚はスズキ目・カジカ亜目・カジカ科・ギスカジカ属のシモフリカジカ。全長30cmほどになり、日本産のカジカの仲間では大きめの種である。シモフリカジカは北海道沿岸~青森県以南の太平洋岸に見られる普通種。北海道では全沿岸に分布するが、日本海における分布は北海道を除けば青森県、朝鮮半島とロシア沿海州に限定されるようである。生息地は沿岸の浅瀬、藻場や岩礁域である。

日本産のギスカジカ属魚類は4種からなる。トゲカジカやオクカジカは後頭部に2対の棘があるのに対し、シモフリカジカでは2対の皮弁を有することによりこの2種とは容易に区別することができる。

ギスカジカ

シモフリカジカに似ているものに、ギスカジカがいる。ギスカジカは北海道から東北地方の沿岸に生息する種で、シモフリカジカ同様ギスカジカ属の代表的な種である。ギスカジカも後頭部に2対の皮弁を持つのが特徴だ。ギスカジカは大きくなり、体長40cmを超える。

この2種を見分けるにはどうすればよいのか。それは腹面を見ればよい。シモフリカジカの腹面の模様、とくに肛門より前方は縁辺部にのみあるが、ギスカジカの模様は中央部に近づく。

シモフリカジカの腹面(写真上はトゲカジカと思われる)

ギスカジカの腹面

 

また眼隔もギスカジカのほうがひろい。シモフリカジカの眼隔も広かったが、ギスカジカはさらに広いのだ。ただし地方によって眼隔が広いものなどもいるかもしれない。この写真のギスカジカは北海道ではなく岩手県産。ギスカジカ属は様々な種が記載され、標準和名もつけられてきたが、変異個体とされたものも多い。

シモフリカジカの眼隔

ギスカジカの眼隔

日本のギスカジカ属魚類は4種類いるがいずれも食用となっている。身だけでなく肝臓や卵、胃なども一緒に汁物にいれたら極めて美味しい。今回の個体は雌で卵をもっていたがこれも美味であった。坂口太一さんに感謝です。

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エゾクサウオ

2017年04月19日 23時02分25秒 | 魚紹介

今日は魚のお話の前に。今日19日は「こじはる」こと小嶋陽菜さんのお誕生日なのですが、彼女は今日で10年以上在籍していたAKB48を卒業してしまうのだそうです。残念な気持ちです。

残念な話題はこれくらいにして。北海道の魚シリーズもあとわずか。今日の北海道産魚はスズキ目・クサウオ科・クサウオ属のエゾクサウオ。慈雨はこのぶろぐでクサウオ属の魚が登場するのは2回目。大きめになる種は今回が初めてなのだ。

実は今回のエゾクサウオは状態があまりよろしくない。刺網で漁獲されたのかもしれないが、皮の部分がむけていたり、鰭が傷ついてしまっているのもあった。しかし初めて見る魚、純粋にうれしいものである。

日本には10種、または11種のクサウオ属が知られているが、エゾクサウオは鼻孔が2対ある、鰓孔下端は胸鰭上端よりも下方にある、背鰭軟条数40~44、臀鰭軟条数32~35、胸鰭軟条数35~40、尾鰭基底付近に明瞭な白色斑がない、背鰭・臀鰭と尾鰭は尾鰭後半部で連続する、大型種で全長40cmに達するなどの特徴で日本に生息するほかのクサウオ属魚類と見分けることができる。

北海道では全域に分布し、日本海岸では佐渡、太平洋岸では東北地方太平洋岸、海外ではピーター大帝湾にまで見られる。坂口太一さん、ありがとうございました。

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キチジ

2017年04月17日 11時06分18秒 | 魚紹介

北海道シリーズもあとわずかとなりました。今日はスズキ目・キチジ科・キチジ属のキチジ。

キチジ科の魚はメバル科の魚と似ている。学者によっては、キチジ科をメバル科の中に入れているが、メバルの仲間とは異なるところが多いようだ。

キチジの頭部

深海性のメバル属(メバル科)魚類であるアコウダイの頭部

 

キチジの最も大きな特徴は眼下骨系の頬の部分に棘があること。メバルの仲間はほとんどの種でこの棘がない。また眼の上にも多数の棘があり、メバル科よりもフサカサゴ科に近いような印象をうける。ヒメキチジは名前だけ似ているが口がキチジと比べるとやや小さく、頬部の棘の数がキチジよりも多い。

胸鰭の中央部に欠刻がある。メバル科の中にも欠刻があるものがいるが、本種ほど深くはない。ヒメキチジは本種に似ているが別科とされている。しかしながら本種のような、大きな欠刻のある胸鰭を有している。

キチジの背鰭

キチジ属魚類は北太平洋に3種が分布している。うち日本近海に生息しているのは2種。本種とアラスカキチジである。写真はキチジの背鰭で、背鰭棘は細い。背鰭棘の鰭膜には大きな黒色斑があり、アラスカキチジと見分けることができる。またアラスカキチジは本種よりも体が長めな印象。下の写真、私が以前食したアラスカキチジはカナダのものであるが、たまに日本のスーパーでも販売されている。

カナダ産のアラスカキチジ

アラスカキチジは茨城県以北の北太平洋からベーリング海を経てアラスカ、南はカリフォルニア半島にまで広く分布しているが、キチジの分布域はそれほど広くなく、島根県、相模湾以北(ごくまれに三重県)~アリューシャン列島までである。日本に分布しないキチジ属Sebastrolobus altivelisはアリューシャン列島からメキシコのバハカリフォルニアにまで分布している。背鰭棘がよくのびているのが特徴のようだ。生態はどの種も深海産、キチジは水深1500m以浅の深海に生息し、アラスカキチジも同様であるが、アラスカキチジは浅瀬にまで出現することがあるという。実際に水中写真も撮影されているのだ。

キチジの仲間は通称「キンキ」と呼ばれ食用になる。やわらかめで煮物や鍋などで美味しい。坂口太一さん、ありがとうございました。

 

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イシガキダイ

2017年04月16日 10時22分50秒 | 魚紹介

今日はFacebookのコミュニティの中で、イシガキダイの子の話が出てきたので。ちょっとイシガキダイの幼魚のことを。

スズキ目・イシダイ科・イシダイ属の魚であるイシガキダイの子は全身が茶褐色で、黒色点が散らばり眼を通る帯があり、チョウチョウウオの仲間のように見えることがある。チョウチョウウオの仲間と違うところは、イシガキダイは好奇心旺盛で潜っていると近づいてくるが、チョウチョウウオの仲間は逃げることが多いところであろうか。

もう少し大きくなると黒い斑点が大きくなり、黒い色の領域のほうが多くなる。釣り人が知っているイシガキダイの姿になっていく。

五島列島産の成魚。全長50cmほど。体側の黒い斑点が細かい。一方老成した雄はこの斑点が消え、口の周りが白くなる。これが通称「クチジロ」である。イシダイの雄は逆に口の周りが黒くなる。これが「クチグロ」だ。イシガキダイの雄は全長80cmを超える大型種。南方の磯にいけば大きいのが釣れたりする。

このイシガキダイの稚魚は春から初夏、流れ藻についてくる。流れ藻採集の実習では親指の爪くらいのかわいいサイズの個体を採集したことがある。その時はほかにもメジナの子やホウボウの子などが採集されていた。春の終わりの海には稚魚がたくさん現れる。プランクトンも多いから稚魚も育ちやすいのだろう。イシガキダイの稚魚は水槽で飼育するとほかの魚をつついたりする。好奇心旺盛だが、様々な魚を混泳する水槽には向いていないのだ。逆に大きな魚と一緒だと、ちょっとしたことで状態が崩れることも。

以前モジャコ漁で漁獲されたイシダイ属の幼魚をもらってきたことがあったが、イシガキダイとイシダイ属の交雑種(イシダイ×イシガキダイ)も多く見られた。イシダイは重要な食用魚で養殖もおこなわれる人気の魚であるが、イシガキダイはあまり人気がないらしい。以前のシガテラ毒の件が尾を引いているのかもしれない。マスコミも常に大げさな点があるような気もするのだが。

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コマイ

2017年04月15日 20時12分57秒 | 魚紹介

日本にはタラ目・タラ科の魚は4種いるが、うち1個体はタイプ標本しか得られていない。これまでマダラ、スケトウダラという2種をご紹介してきたが、最後のもう1種。

タラ目・タラ科・コマイ属のコマイ。

コマイはタラ科の魚で、背鰭が3つ、臀鰭が二つ。体がややずんぐりとしていてマダラに似ているのだが、体はマダラほど太くはない。

吻部にも特徴がある。下顎は上顎よりも前方へ突出しないことでスケトウダラと下顎のひげが極めて短いことによりマダラとそれぞれ区別することができる。この個体はひげが小さく最初は網でとれたときにひげが切れてしまったのかと思った。またマダラと比べると頭部が小さいのも特徴、というかマダラの頭がかなりでっかいのだ。

生息地は浅海~水深300mまで。汽水域でも漁獲される。刺網や定置網、底曳網や釣りなどで漁獲され、食用となっている。分布域は広く山口県・宮城県~北海道までの沿岸、海外では朝鮮半島からベーリング海を経てアメリカ西岸にまで分布する。コマイ属は1属2種で、もう1種Eleginus nawagaは北極海に分布している、なお、「新顔の魚」で故阿部宗明博士により命名されたカナダコマイMicrogadus tomcodはコマイ属の魚ではないので注意が必要。

●3種を並べてみる

 

上からコマイ(マリコではない)、マダラ、スケトウダラの順。マダラはかなり大きな頭部が特徴的である。

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