NHKBSのロンドンオリンピックプレーバックを横目で見つつ、、、相変わらずフィギュアスケートの話を追求する(笑)
高橋大輔と羽生結弦、この二人のプログラム。それぞれの作戦とか方針とか、いろいろなものが見えるような気がするから、面白い。今季の各大会のジャッジスコアを改めてチェックしてみた。
フィンランディア杯(SP/フリー)
スケートアメリカ(SP/フリー) 中国杯(SP/フリー) NHK杯(SP/フリー) グランプリファイナル(SP/フリー)
全日本(SP/フリー)
今季の二人のプログラム、ショートの構成は大きく違わない。ジャンプは4回転トウループ、トリプルアクセル、3回転ルッツ+3回転トウループ。スピンも種類は違うが基礎点合計は同じ。ということで実際の得点の差は、ジャンプが成功したかどうか、スピン及びステップでレベルが取れたかどうかで決まる。
一方フリーは、羽生の“点取り虫”ぶりが凄い どう凄いかというと、、、
4回転は双方とも2本だが、高橋大輔は4回転トウループが2本。同じ種類だから1本は必ずコンビネーションにしなければならない。冒頭にこの2つのジャンプを持ってきている。前半はほかにトリプルアクセルで、計3本基礎点30.40。後半はトリプルアクセル+2回転トウループ+2回転ループなど5本で計39.93、ジャンプ全体で70.33の基礎点を持つ。
羽生の前半の構成は、4回転トウループ、4回転サルコウ、3回転フリップ。4回転2本だが、種類が違うのでコンビネーションにする必要がない。ここが実は重要で、基礎点が1.1倍になる後半にコンビネーションジャンプを3つとも持っていけてるのだ。しかも基礎点8.50のトリプルアクセルを使って2本は大きい。前半のジャンプ基礎点26.10、後半46.31、全体で72.41。
(シーズン初めのフィンランディア杯、スケートアメリカではトリプルアクセル1本を前半に、最後にフリップを跳んでいたが、構成を変えてきた。むしろ安定しているようだ。)
高橋大輔の構成は、2本目の4回転でコンビネーションにできなかった場合、シークエンス扱いになって基礎点が0.8倍になってしまう。といって、後半でコンビネーションを増やすこともできない(うっかり増やすとザヤックルールで無効0点になる)。羽生のほうは、4回転トウループが3回転になったら、後半のコンビネーションで3回転トウループを2回転にしておけばいいし、4回転サルコウが3回転になっても全く問題ない。ミスがあってもリカバリーを考えなくていい分、負担が軽い。がっつり取りにいってる
スピンは、高橋大輔が特徴的なレイバックスピンを行うのに対して、羽生は足換えフライングシットスピン。レベル4なら基礎点が0.3高い。たった0.3の差だけど、羽生はほぼ取りこぼしなくレベル4を取っている。大ちゃんはNHK杯ではレベル4が取れたが、グランプリファイナルでは3、全日本では2になってしまった・・・。カッコいいんだけどなぁ 中国杯ではレイバックではなく、フライングアップライトスピンでレベル4を獲得しているけど、どっちがいいのやら。
そして高橋大輔の得点源ステップ。今季はレベル4を取ったのがSPで1回、フリーで1回。。。惜しい ステップはレベル3まではGOE加点の係数が0.5だが、レベル4だけ計数0.7になる。つまり、同じGOEプラス2でもレベル3だと1.00にしかならないが、レベル4なら1.40。基礎点の差0.5と合わせると馬鹿にならないのだ。
羽生はスケートアメリカのレベル2以外は3で、シーズン後半も落とさないことが大事になりそう。SPではファイナル、全日本とレベル4を取れているのが進歩だ。
全日本選手権のフリーでは、高橋大輔が演技構成点で6.30引き離した一方、技術点では0.51及ばなかった。あれだけ素晴らしい演技をもってしても、まだ技術点では羽生のほうが上になった。高橋大輔はGOE加点は17点近かったが、ジャンプの回転不足2つや、スピン・ステップのレベルで基礎点が低めだったのが勝負の分かれ目か。
羽生結弦のプログラムは、“ちりも積もれば山となる”じゃないけど、わずかな点も逃さずに拾ってかき集めようという意欲が見える。高橋大輔のほうはそこまでガツガツではなくて、一段ずつ上に上がろうとしている感じだろうか。今季はフリーで4回転2本を課題にしているそうだが、それが入った段階からまた足元を固めていこう、みたいな・・・
高橋大輔は作品の中に要素が組み込まれ、羽生結弦は要素をつないで作品にしていく。そんなイメージ
四大陸まで1ヶ月ちょっと。さらに磨きがかかったプログラムが見られるといいな