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各局で浅田真央さん関連番組が次々放送されているが、NHK・BS1は演技を振り返る。
今夜9時から、バンクーバー五輪ショートプログラム。明日14日夜9時からはフリー。
15日(土)正午からソチ五輪、午後9時からは浅田選手の軌跡を振り返る特別番組「たっぷり見せます 浅田真央 完全保存版」だそうで。
16日(日)朝8時から、髙橋大輔さんをはじめとする世界のトップスケーターたちと、スイスのジュネーブで競演したアイスショー「2016アイスレジェンド」。これは前に放送したのを覚えている。
当時の録画はどこにあるか思い出せないから やっぱり録画しなきゃ
浅田真央が引退と聞いて、キャリアを確認して気づいた。ジュニアに上がった2004/2005シーズンは、6.0システムに変わってISUジャッジングシステムが本格導入された年だった。彼女の国際大会キャリアは、新システムが試行錯誤しながら進む過程と一緒だったんだ・・・
私がフィギュアスケートを関心を持って見始めたのは、2005/2006シーズンから。それまでは、年末に帰省してるときに全日本を見てたくらい。というのは、フィギュアスケートなんかほとんどテレビで放送がない地域に住んでいたから。
帰国した年に、ちょうどトリノ五輪代表選考の激戦 その一方で、15歳の可憐な少女がぴょんぴょんトリプルアクセルを跳んでグランプリファイナルに優勝、「どうしてオリンピックに出られないの?!」と日本中が残念がっていた。
トリノで荒川静香が金メダルを獲得すると、翌シーズンは可憐な少女がシニアに本格参戦。フィギュアスケートが一気にブームに
そして登場するライバルのキム・ヨナ。マスコミが対決と煽っては、勝ったの負けたのというもんだから、だんだん「どうしてこの演技にこの点が出るの?」と疑問がわいて、ジャッジスコアをしみじみ読むようになった。このジャンプにGOEが+2、こっちはほとんどプラスがつかない、どうして? 演技構成点のこの差はどこから? 詳しい人のブログを読んだりして、わからないなりに研究したりして
今もそうだが、トリノ五輪の後バンクーバー五輪までの間は特に、選手たちはルール変更に対応するのが大変だった。
2006/2007シーズン、ジャンプの回転不足が厳しく判定されるようになり、回転不足=1回転少ないジャンプと見做すダウングレードとなる。ダウングレードだと決まったように見えてもGOEでさらに減点されるので、見た目より得点が大幅に下がってしまい 見ているほうはあれ?と思うし、選手たちはがっかり・・・なのだった。
さらに2008/2009シーズン、ルッツとフリップの踏み切りエッジを厳しく判定することに。eマークがつくと、GOEでがっつり引かれてしまう。浅田真央を含めて多くの選手が懸命に矯正していた。
一方で、ジャンプの基礎点は浅田真央にさして有利ではなかった。2007/2008シーズンまで、トリプルアクセルの基礎点は7.5。ダブルアクセルは3.3から3.5に上がった。GOEはダブルアクセル以上全部+1=1点の加点。ということは、ダブルアクセルでジャッジ全員から+2をもらえば5.5点、+3なら6.5点。逆にトリプルアクセルで少しミスがあれば-1や-2はすぐ引かれてしまうので、、、どっちが得
キム・ヨナがフリップ・トウ3-3やルッツ・トウ3-3をクリーンに決めると+2や+3がずらっと並び、浅田真央のトリプルアクセルはあまり+がもらえない。どうして?と切歯扼腕していたのを覚えている。
今なら、キム・ヨナの3-3の幅や流れに大きく加点がついたのは理解できる。浅田真央のジャンプは真上にすっと上がるタイプのせいか、着氷後にすーっと長く流れることが少なかったのが、加点がつきづらい原因の一つだったと思う。
2008/2009シーズン、トリプルアクセルの基礎点は8.2点に上がったが、GOEマイナスも-1=-1.4点。転倒したら-4.2点って 加点のほうは変わらず、挑戦を促さない方向だったのかしら コンビネーションの第2ジャンプに3回転トウループがなかった浅田真央にとっては、ますますトリプルアクセルが頼りになっていく。
そして迎えたバンクーバー五輪シーズン。エッジのeマークがつきやすいルッツをはずし、ショート(アクセルはダブルが必須だったのでコンビネーションで!)とフリー合計3本のトリプルアクセルを跳んだ しかしフリー中盤のジャンプでミス。ノーミスで滑れていたら、、、とみんな思ったが、当時のキム・ヨナの加点の嵐には勝てなかった。たぶん。
完成度を高めて加点を稼ぐ作戦が、当時の採点基準では最も強かった。ファンのブログでは、ダウングレードやエッジエラーなどの減点を防ぎ加点を得る対策を、早い段階から十分にできなかった連盟やコーチの責任を問う声もあったのを記憶している。でも浅田真央はおそらく、トリプルアクセルを減らしてほかで加点を得る作戦には同意しなかっただろう。
また、演技構成点では、振付の“わかりやすさ”と全体のスピード感でキム・ヨナに分があったのかな、と思う。今考えれば、だけど。
その年の世界選手権、ショートもフリーもダウングレードされたがトリプルアクセルを跳び、ほかのジャンプもまとめて優勝。(さすがにこのときは集中力がなかったキム・ヨナだったが、ミスがなかったらどうなったかはわからない。)
男子の4回転論争もあり、2010/2011シーズンに基礎点の大幅改定があった。女子ショートでアクセルはトリプルも可となる。トリプルアクセルは8.5点になり、ダブルアクセルは3.3点に戻る。ジャンプのGOEは、アクセル以外の3回転は+1=0.7点、ダブルアクセルは+1=0.5点に。さらに4分の1回転以内の回転不足はアンダーローテーションとして、基礎点の70%がもらえることになった(2分の1回転以上足りない場合はダウングレード)。
浅田真央には相当有利になる改定だったが、佐藤信夫コーチの元でスケーティングの基礎からジャンプまで見直していたこの時期、それを有効に使えないことが多く それでも、ダブルアクセル+3回転トウループに挑む等、幅を広げていた。翌年2011年12月にはお母様が亡くなられてグランプリファイナルを棄権。気丈に全日本、四大陸、世界選手権と戦い続けた。
2012/2013シーズンはグランプリファイナル、四大陸優勝に世界選手権2位と安定した強さで終え、いよいよソチ五輪シーズンへ。グランプリシリーズとファイナルは完全制覇で期待が膨らんだが、、、
ソチ五輪SP。この2日間のニュース映像では「トリプルアクセルで転倒してまさかの16位だった」と紹介されるが、転倒だけならそれほど痛くない。トリプルアクセルと3回転フリップの回転不足、ループが2回転になってコンビネーションにできなかったのが大きく響いた。
その後のフリーの素晴らしかったことは、前人未踏の8トリプルと共に、永遠に記憶に残るだろう。そして世界選手権ではショートプログラムで当時の世界最高得点を叩き出した。
「ハーフハーフ」と言って休養したのちに戻ってくると、また苦労が ルッツとフリップのエッジエラーで、基礎点が70%に。気をつかうせいか、なかなかクリーンに下りられず、、、。
ちょうど1年前、クローズアップ現代で、平昌五輪へ向けて手ごたえをつかんだ浅田真央を特集していた。その頃は、1年後にこんなことになるとは想像もしなかったけど
最後の全日本、ジャンプこそうまくいかなかったけれど、妖艶な身のこなし、ほかの誰にもできないようなステップにぞくぞくした。フリーのステップはレベル4でジャッジ全員が+3をつけて、“満点”の6.00だった。
トリプルアクセルが代名詞と言われるけれど、最後の数年はステップとコレオシークェンス、スケーティングが成熟していったと思う。ソチのラフマニノフはもちろん、「白鳥の湖」の華麗で勢いのあるステップ、エキシビション・ショパンのバラードやチェロ・スイートで見せた基礎技術の確かさ。
競技では得点に占める割合が小さいけれど、見るものに間違いなく伝わるものだった。
今の若手たちは、初めから新システムのもとで育ち、技術もそれに合わせて習得している。ルッツとフリップで正確なエッジで跳び、ジャンプで手を上げて加点を得るなど、“勝つ”作戦をしっかりこなしてくる。
それでも、長年かけて磨き上げるものは、簡単には手に入らない。その部分に光を当て、評価するシステムになっていってほしい。若い選手が次々出ては消えるスポーツでなく、浅田真央のような偉大な選手がじっくり育っていくように。
真央さん、お疲れさま