南の島でみた、「竜安寺海岸」
■今朝のラジオで、住信基礎研究所主席研究員の伊藤洋一さんが、「シリコンはレアメタルだ!」といっていた。
ぎょっとした。そんなことはないはず。シリコンは地殻において、酸素についで存在度の高い元素。つまり、元素記号Siのシリコン=珪素は、酸素についで最もありふれた元素。
構成元素の観点から見ると、石ころの半分は実は酸素原子。シリコンと結びついて、珪酸塩を形成している。
もっともレアメタルという言葉の定義次第といも言えるので調べた。
Wiki: レアメタル
レアメタル(希少金属)は非鉄金属のうち、様々な理由から産業界での流通量・使用量が少なく希少な金属のこと。
レアメタルは非鉄金属全体を呼ぶ場合もあるが、狭義では、鉄、銅、亜鉛、アルミニウム等のベースメタル(コモンメタルやメジャーメタルとも呼ばれる)や金、銀等の貴金属以外で、産業に利用されている非鉄金属を指す。
一覧にもシリコンは入っていない。 やっぱり、シリコンはレアメタルではないのだ。あたりまえだが。
■でも、なぜ伊藤洋一さんが、「シリコンはレアメタルだ!」と言ったか考える。その発言は、太陽電池関連のニュースの解説の中でなされた。つまり、太陽光発電が普及しないのは、材料のシリコンパネルのコストがかかるからという文脈。「シリコンは中国で取れて、シリコンはレアメタルだ!」という発言となった。
一方、「シリコン、レアメタル」という語でググると、シリコン・レアメタルという連結語でシリコンの販売のサイトが羅列される。そうなのだ。レアメタルを扱っている業者がシリコンも扱っているのだ。そして、最近は中国製のシリコンが増加しているらしい。背景は、シリコンを製造するにはシリコンの酸化物である岩、砂である珪砂を還元する。それには多量の電力を使う。中国では電力コストが低いので、最近中国におけるシリコン生産量が増大してきているらしい。かつ、中国政府は国内需要を確保するためシリコンの輸出を規制しはじめた。レアメタルの輸出制限と合わせてである。
こういう背景で、伊藤洋一さんは、中国―レアメタル―生産不足―シリコン―政府が規制するレアもの、という連想で、「シリコンはレアメタルだ!」という発言になったと推定できる。
■つまり、シリコンがこの世での存在度と実際に利用できる量にギャップがありすぎるのである。なぜか?それは、シリコンは酸素と結びついて酸化物として地球に存在しているのに、人間様は酸素を取った金属(正確にはシリコンは半導体)が欲しいから。(今気づいたが、シリコンはレアメタルという命題はそもそも成り立たない。なぜなら、シリコンはそもそもメタルではないからだ。シリコンはレアセミコンダクターという言い方ならまだ検討の余地がある。もっとも、圧力をかけるとSiは半導体→金属転移をするのだが.....。)
■太陽光発電のコストを低くするためにはシリコンの材料価格を下げなければいけない。そのためにはシリコンの製造コスト、つまりは酸化ケイ素を還元するために使う電力コストをさげなければいけない。そして、太陽光発電を普及させるには多量のシリコン生産が必要。つまり、クリーンエネルギー開発のために、火力発電か原子力発電か多量の電力供給を必要とする。エネルギーの消費!さらには、シリコン純化・還元には炭素を使う。炭素を使って二酸化珪素の酸素を奪ってやることで、シリコンを純化する。二酸化炭素の発生! もっともこれは生成したシリコンが発電する電力量と生産に必要であったエネルギーとの兼ね合いで、太陽光発電が本当にクリーンエネルギーであるのか判断される。
【でも、やっぱり、シリコンはレアメタルだ!】
ぬんげんが必死に酸化物を還元させて作るシリコン単体元素。本当に地球上にないのであろうか? 調べた。あった。
→mineral silicon
どうやら、金 (native gold) の中でのみ安定に存在するそうだ。 贅沢なやつだ、シリコン単体元素@半導体。
▼急いで書き加えなければならないことは (W !);
南の島の珊瑚礁のなれの果て、石灰岩
石ころの半分は酸素であり、残りの半分以上はシリコンじゃないレア物もあるよ。
CaCO3 石灰岩