いか@ 筑豊境 寓 『看猫録』

Across a Death Valley with my own Distilled Resentment

新しい街でもぶどう記録;第36週

2015年07月04日 18時41分00秒 | 草花野菜

■ 今週の看猫

■今週の 落ち花

■ 今週の 落ち羽根

■ 今週の 落ち髭 /洞毛(どうもう)

■ 今週の 「自伝的私小説」

 今週、加納作次郎 [1885-1941](wikipedia)を知る。自伝的作品、『世の中へ』をネット上でタダで読む(⇒青空文庫)。読みやすい。面白い。一気に読んだ。

 知った理由は、林芙美子の『文学的自叙伝』に次のようにあったからだ;

私は両親と別れて、一人で夜店を出すようになりました。寒い晩などは、焼けるようなカイロを抱いて、古本に読み耽りました。私の読書ときたら乱読にちかく、ちつじょもないのですが、加能作次郎と云うひとの霰あられの降る日と云うのを不思議によく覚えています。いまでも、加能作次郎氏はいい作家だと思います。加能氏が牛屋の下足番をされたと云うのを何かで読んでいたので、よけいに心打たれたのでしょう。

   (これもタダで読める⇒ 青空文庫) 

 下足番をやっていて私小説家になった人といえば、車谷長吉を思い出す。そして、加納作次郎の『世の中へ』は、確かに、車谷的世界に似てる。もっとも、加納作次郎は大正-戦前に活躍したのだから、加納様が先達だ。ネットで「加納作次郎 車谷長吉」と引いても時に有益な情報は出ない。車谷が加納を読んでいたとか。

 それにしても、加納作次郎の『世の中へ』の伯父と、車谷長吉の『塩壺の匙』の曽祖父・勇吉は"キャラがかぶり"過ぎではある。

 さて、林芙美子の自伝的小説である『放浪記』は、作風は加納作次とは違うが、「世の中へ」というテーマが同じだ。

なお、加納作次郎、『世の中へ』は相当周到に整理されて書かれおり、それだから読みやすいのだと思う。小説の読みやすいさは、文学的表現というより、きちんと言及すべき情報について語り、整理して書くことである。そして、全体としてのまとまったストーリーが鮮明だ。

この点が、段落ごとに完結し、その段落の寄せ集めで構成される林芙美子の自伝的小説『放浪記』との違いだ。段落の寄せ集めで構成される『放浪記』はバージョンごとに段落が増え、全体としてのまとまったストーリーが不鮮明だ。

蛇足: 加納作次郎、『世の中へ』に出てくる金沢、そして主舞台となる京都は、どちらもB-29が来なかった街である。

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