岡田克也外相が「日韓共通の歴史教科書をつくるのが理想的」と韓国のマスコミに述べたというのは、あきれて物が言えない。自分が言っていることの意味が分かっているのだろうか。日本も韓国も、独立した主権国家であり、永い歴史をそれぞれ持っている。国旗や国歌が違うのと同じなのである。同じ色で塗りつぶすことはできないし、そんなことをすれば、かえって内政干渉になる。歴史の見方に違いがあっても、それはそれでしかたがないことなのである。戦後民主主義の教育を受けた岡田外相は、国家を抜きにして、国民同士が理解し合えるものと勝手に思い込んでいるようだ。違いがあることを認めることが、相互理解の第一歩だというのを知らないのである。財閥のボンボンに育って、キャリア官僚になり、そして自民党の代議士を手始めに政治家となり、現在は押しも押されぬ民主党内閣の有力閣僚である。挫折した経験がないから、そんな間抜けなことを口にするのだろう。先の戦争で韓国に迷惑をかけたという気持ちがあってもいい。特攻隊になって散華した韓国の若者もいたからだ。しかし、償いをするにしても、限度はあるし、日本として譲れない部分もあるのだ。韓国側に期待を持たせるだけ持たせておいて、実際に実現しないのでは、韓国の人たちを裏切ることになる。仙谷由人官房長官が、個人補償の問題については、日韓の間で解決が付いていない、という発言をしたために、物議を醸している。それについては、岡田外相も仙谷官房長官をたしなめたわけだから、韓国に対する発言は、慎重の上にも慎重であるべきだろう。民主党の政治家は理想論を述べるだけである。そこに近づけることがどれだけ難しいかを、真摯に考えたことがあるのだろうか。
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