血液型で人を決めつけてはいけない。そんな調査結果が日本心理学会の機関誌に発表された。日米の1万人へのアンケート結果をもとにしたもので、、九州大の縄田健悟講師の「血液型と性格の関連性に科学的根拠はない」とする論文である。人間というのは物事を単純化して考えがちな動物であることは否定できない。それに符合するのが血液型による人間の評価であった。そこに一石を投じたのだから、世間に対してのある種の警告になるだろう。政治だってそれと大差がない。安倍晋三首相イコールタカ派とレッテル貼りをやり徹底的にけなす。そんなことが許されてよいのだろうか。それよりも、具体的な事実を列挙して検証すべきだろう。単純化は思考の停止であり、他人との共通のベースを確認する妨げになる。ベーコンは人間が陥りやすい偏見として、種族のイドラ(人間の感覚など)、洞窟のイドラ(教育や他人からの影響などで培われる)、市場のイドラ(言葉を絶対化する)、劇場のイドラ(思想家たちの誤った学説に支配される)の4つを問題にした。処方箋としてベーコンは、確実な価値を共同作業で踏み固めて行くことを主張したのだった。真理はすぐには手に入らず、それを探求することにおいて、徐々に明らかになっていくのである。経験論は人間が生きていく上での智恵であり、一つの結論から導き出そうとする合理主義とは真っ向から対立する。日本のインテリの多くは、血液型に振り回される人たちと大差がない。まさしく観念論でしかないマルクス主義を絶対視し、現実を直視せずに、文献をほじくることだけに専念した。それが結果的に日本における知的な退廃をもたらしたのである。血液型ではないが、本を読んで世界を解釈するのではなく、まずは自分たちが生きている世界があっての理論なのだから。
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