安倍さん亡き後の自民党の混迷は深まるばかりだ。岩盤保守層が自民党候補を応援しないといった、とんでもないことが起きている。衆議院千葉5区の補選で自民党は英利アルフィア候補を担いでいるが、岩盤保守層は立民の矢崎賢太郎候補や、国民の岡野純子候補への投票を呼び掛けており、自民党本部の方針とは真っ向から対立している。
岸田首相や茂木幹事長、さらには河野デジタル大臣は、リベラル色を前面に出し、帰化一世の英利アルフィヤ候補を擁立した。彼女がウイグル人でありながら、中国によるジェノサイドを批判せず、多様性をことさら強調することに、岩盤保守層が猛反発しているからだ。
本来であれば衆議院千葉5区は、自民党が圧勝する選挙区である。そこでの出来事であるだけに俄然注目を集めている。奈良県知事選挙のときもそうであったが、自民党本部は自分たちだけで物事を決定し、支持基盤をガタガタにしている。
保守合同で誕生したのが自民党である。それに即した人材を国政に送るべきである。そして、保守というのは明白である。大切な日本の国柄を守り育てるために、改革を進めるのであって、過去を全て否定するのは、保守とは言えないのである。
安倍元首相がもっとも危惧していたのは、党の分裂であった。今回の事態を岸田首相は深刻に考えるべきであり、甘く見てはならない。リベラル色にこだわる茂木幹事長を更迭し、保守政治家を据えるべきだろう。高市経済安全保障大臣か萩生田政調会長がふさわしい。それこそ人事が好きな岸田首相は、今すぐに決断すべきなのである。