遅すぎた嫌いはあるが、反撃能力を持つことを防衛三文書で銘記した我が国としては、当然のことである。防衛省は昨日、潜水艦から発射可能の長距離射程ミサイルの開発に着手することを明らかにした。
開発年度は今年度から2027年度まで。すでに三菱重工業とは去る7日に契約を終わっており、これによって我が国は対艦、対地攻撃を格段に強化することになる。
搭載を検討しているのは、陸上自衛隊の「12式地対艦誘導弾」をもとに新たに開発する長射程巡航ミサイルで、射程は1000キロ。相手の射程圏外から発射できるスタンド・オフミサイルである。すでに自衛隊は、魚雷菅から発射する対艦ミサイルは装備しているが、スタンド・オフ・ミサイルよりも射程が短かった。
「12式地対艦誘導弾」能力向上型は、地上発射型、艦発射型、空中発射型の開発を加速させている。5年後までには多様なプラットホームからの発射が可能になる。
自衛隊の潜水艦は、航続性能や先行する静粛性では、世界最高レベルにあるといわれ、我が国の南西諸島防衛の虎の子である。現在は21隻体制で守りを固めているが、装備が充実することで、これまで以上に抑止力が高まることになる。専守防衛という足枷によって、わざわざ射程に制限を付けていたのをやめるだけなのである。
戦争の危機は日々高まってきているが、我が国が最善の策を講じることで、何としても平和を守り抜かなければならない。日本を取り巻く周辺国が「諸国民の公正と信義」を持ち合わせているとは思えないからである。