日本はあまりにも米国に依存し過ぎたのではないだろうか。それがために安全保障の議論がなおざりにされてきたのではないか。改定された日米安保条約が調印されてから60年目を迎えた昨日、外務省飯倉公館で記念レセプションが開かれ、そこで安倍首相は「日米安保条約は、アジアとインド・太平洋、世界の平和を守り、繁栄を保証する不動の柱だ」(産経新聞)と胸を張った▼我が国にとっては、日米同盟は基軸でなければならない。しかし、それを頼りにして防衛力の整備を怠ってきたのも事実である。憲法9条によって交戦権が否定されているわけだから、陸海空自衛隊は手足を縛られているのである▼私たちは今こそカール・シュミットの言葉を噛みしめなくてはならない。「或る民族が政治的生活の苦労と危険とを恐れる場合には、彼の『外的に対する保護』を引受け、従って政治的支配をも受けることにより、彼からこの苦労を取去ってくれるような他の民族が存在することであろう。しかる時には保護と服従との永久的関係に基づいて、保護者が敵を決定することになるのである」(『政治的なるものの概念』清水幾太郎訳)▼片務的な日米安保条約を見直し、自主防衛力を強化しなければ、我が国は国益を主張せることはできないのであり、一日も早く不甲斐ない日本から脱皮すべきなのである。
応援のクリックをお願いいたします
マイクロソフト・イスラエル社の最高技術責任者(CTO)のヨラム・ヤーコブィ氏は、『イスラエルの企業家精神は、兵役期間中の軍の教育で涵養される』と断言する。『兵役で培ったことはその後の人生にとって、決定的な意味を持ちます。たとえば、上官の指示を盲信せず、自分で問題の本質をとらえ、独自に解決策を生みだしていく過程が、企業家精神に繋がるのです。』
高校卒業したての若者が、兵役につくことで母国が置かれている国防の状況を実地で学ぶ。そこで大きな責任を与えられ、仲間と切磋琢磨する中で自主独立の精神を養い、自信を持って自立の道を歩む。また『同じ釜の飯』を食った同士で助け合う。
ユダヤ人は『個』の強さを磨き、臆せず自己主張するように育てられるが、ネットワークを通じて助け合うことで、迫害を逃れてきた。そしてイスラエルの場合、兵役の2年~3年の間に、『個』のエゴを上回る『大義』に尽くすことの大切さを叩きこまれるのではないか。国防の現場で直面する難問を解決してゆくには、『個』の潜在力を思い切り発揮させると同時に、ライバルと競いつつも協力しあわなければならない。イスラエル人は、若くて頭の柔らかい段階で兵役につくことによって、『個』と『大義』の関係をあたかも縦糸と横糸のように編み上げる感覚を身につけているのかもしれない。
最終的な目的は、国を守り、『生存』を図ることだ」(米山 伸郎『知立国家 イスラエル』を要約・再構成)。
現在の日本で「徴兵制」は、ありえない。しかし、「国防」に対する国民の関心、関与を増大し、「国防軍」としての誇り、地位を確立し、その待遇や除隊後の処遇の改善に取り組む必要がある。
さらに、「上官(上司)の指示を盲信せず、自分で問題の本質をとらえ、独自に解決策を生みだし」「『個』と『大義』の関係をあたかも縦糸と横糸のように編み上げる」ことができるようになる教育を、義務教育段階から実現しなければならない。