草莽隊日記

混濁の世を憂いて一言

秋風が身にしむ季節と芭蕉の「野ざらし紀行」!

2012年10月10日 | エッセイ

 秋風が身にしみるようになってきた。この季節になると、決まって芭蕉の句が思い出されてならない。「野ざらしを心に風のしむ身かな」「猿(ましら)聞く人捨子に秋の風いかに」の二つの句である。人の世のあてどない歩みは、最終的には白骨をさらすだけであり、それが野ざらしになっているのが胸に迫るのである。しかも、人生を旅にたとえるならならば、途中で行き倒れになるのが、ある意味では理想ではないだろうか。そして野辺に屍を横たえるのである。そこに吹き渡る風が天空に魂を運んでくれるのではないだろうか。もっと切ないものがこみあげてくるのは、捨て子が放置されている情景を詠んだ句である。そこに人生のつれなさが感じてならない。人命尊重の観点からも、本来であるならば、抱きかかえて助けてやるべきであるのに、それを無視して通り過ぎてしまう。そこに人の世のはかなさを見るのが、日本人の常なのではないだろうか。芭蕉は「いかにぞや、汝父に悪まれたるか、母に疎まれたるか。父は汝を憎むにあらじ。母は汝を疎むにあらじ。ただこれ天にして、汝が性の拙なきを泣け」と言ったのである。「野ざらし紀行」に収録された二つの句から、いかんともしがたい運命に翻弄されるのが人生であることを、還暦を過ぎてようやく私も身につまされるようになった。老いにさしかかって、どこまで歩いていけるかは心もとない。しかし、歩けるところまで歩きたいと思う。


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事業仕分けの過去を隠したい民主党 (福島の被爆者を助けるのが最初だろうが民主党)
2012-10-10 23:45:57
山中教授らに今後10年で約300億円を助成 文科省

テレビ朝日系(ANN) 10月10日(水)13時25分配信
 文部科学省は、山中伸弥教授が率いる研究所を中心に、今後10年間、約300億円を助成する方針を固めました。iPS細胞の研究を巡っては、国はこれまでに2008年度から5年間で約100億円を助成していました。助成の上限が原則的に5年間の科学研究の分野では異例の措置で、文科省はこの支援のもと、iPS細胞の早期実用化を目指してほしいとしています。
返信する
Unknown (Unknown)
2012-10-10 23:24:21
<復興のためと称して大増税して国民から奪い取ったカネを自分たちのために勝手に使っている財務省以下の役人どもは完全な犯罪人。野田政権は初めからこの犯罪に意図的に関与しているという疑惑>

 東日本大震災の復興予算が沖縄の国道整備や中央省庁の耐震改修などに使われていたことが発覚、大騒ぎになっているが、こりゃ、内閣総辞職モノのデタラメだ。
 復興予算とは震災の復旧、復興のために組まれた特別会計(東日本復興特別会計)で、5年間で少なくとも19兆円を投じることになっている。うち、10.5兆円は復興増税(所得税や住民税)で賄うもので、国民も「被災者のためになるなら……」と認めたものだ。
 ところが、そんな予算が被災地とはまったく関係ないところで、てんで関係ないものにジャブジャブ使われていたのである。
 主なものは別表にまとめたが、見れば見るほど、腹が立ってくる。被災地以外の道路整備や官庁施設、公営住宅の耐震化に使われた「全国防災」名目の予算は4827億円。「多くの納税者の安全に耐震化は必要」とか言って、都内など12カ所の税務署も耐震化されたが、その一方で、被災地は置き去りなのだ。震災で本庁舎の建て替えが必要な自治体は13市町村に及ぶが、ひとつも着工していない。よくもまあ、財務省はテメーの税務署だけを先行させたものだ。
「武器弾薬にも巨額の復興予算が使われていますよ。武器車両等整備費に669億円、航空機整備費に99億円。防衛省は『津波で被災したから』というが、武器より、被災者の生活改善が先でしょう。他にも北海道と埼玉県の刑務所では小型油圧ショベルなんて買っていた。被災地に近いのでガレキ撤去作業のための職業訓練という名目です」(野党関係者)
 そんなこんなのデタラメが5000事業もあるのである。

 経済産業省が企業の国内での立地や設備投資を支援するために2950億円もの予算をブン捕った「国内立地推進事業」にも驚かされる。一見、被災地の産業復興、雇用改善に役立ちそうに見えるが、補助金対象510件のうち、被災3県の事業はたった30件しかなかった。残りはどこが受け取ったのかというと、トヨタやキヤノン、東芝などの大企業の名前が出てくるのだ。
 これじゃあ、単なる大企業支援だが、もっと驚くことがある。こうした復興予算の“転用”“流用”が明らかになった今、平野復興相が何と言ったか。
「個々の予算で見た場合、いかがなものかというものもないわけではない。きちんと精査し、来年度予算以降は被災地に特化した予算をつくる」
 まったく他人事なのである。岡田副総理はこう言った。
「国民から理解が得られない部分があるなら手直しすることが大事だ。被災地にお金が十分、行き渡らないことになれば本末転倒で、見直しが必要だ」
 自分たちが予算をつくってバラまいたくせに、この言い草。何がこれから精査、見直しだ。自分たちが当事者ではないか。こんな失態が明らかになった以上、責任をとって辞めるのが当たり前だ。いや、これは失態といえるのか。コイツらだって分かってやっていたのではないか。国民の善意を踏みにじり、震災を悪用、焼け太りするなんて、許し難いゴロツキどもだ。
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