保守の原点は家族や家を重視することである。それが崩壊すれば、日本は日本でなくなってしまうのだ。民俗学者の柳田国男は、日本人は死んでも魂はこの世を去らず、小高い丘の上から子孫の生業を見ているとの考えを抱いていた。死者である先祖と生者が一体であるとの信仰にもとづいている。先祖教という言い方をする識者もいるが、我が国では家を守り先祖と一体であることが重視されてきたのである▼選択的夫婦別姓というのは、それを根本から否定する暴挙である。選択であり、強制ではないとの議論もあるが、それが容認されることで、子供の姓も夫婦どちらかの姓名になり、兄弟同士で違うといった事態も生じる。自民党の国会議員の一部が昨日、「選択的夫婦別氏制度を早期に実現する議員連盟」を立ち上げた。入会は100名を超えたと伝えられるが、とんでもないことである。そこに参加した自民党の国会議員は、我が国の国柄をどう思っているのだろう。国家観無き者たちがマスコミの論調に煽られて、保守としての本来の立場を見失ってしまっているのである▼ヘーゲルも書いているように、夫婦が真に一体になるのは子供が生まれることによってである。子育てを通じてその役割を確認するからだ。そこで家族が成立するのであり、安定した生活を営むことができるのだ。家族を解体させ、家としての連続性が絶たれてしまった場合には、「ご先祖様が見ている」という己を律する価値規範が無力化し、利己主義がはびこることになるだろう。そんなことで本当に良いのだろうか。
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