入江隆則の『衰亡か再生か岐路に立つ日本』を読み返して、日本が危機に直面していることを再確認した。入江はマッキンダーの地政学を紹介することで「海洋国家としての日本文明にとって朝鮮半島の帰趨は、百年前の明治時代と同様に、あるいは五十年前の朝鮮戦争の時代と同様に、注意すべきものがある」と警告を発していたのである▼十二年ほど前のことである。韓国に新北朝鮮の政権が誕生したことで、最悪の事態は現実のものとなった。明治維新以来、日本人が日清、日露戦争で血を流したのには理由がある。朝鮮半島が日本に脅威をもたらす勢力の支配下に入るのを阻止するためであった。戦後の日本は韓国に莫大な支援をしてきたが、もはやそれも意味をなさなくなってしまった。韓国が変わってしまったからだ▼もっとも入江が恐れていたのは、韓国に「北朝鮮の核保有を容認する政権さえ生まれるかもしれない」ということであった。今の大統領の文在寅はまさしくそうである。アメリカの力が弱まっているなかで、日本は独力で行動する実力と気力を備えなければならない。それが感じられない日本人を入江は嘆いたのだが、まずは憲法改正を実現しなくてはならない。日本は国家として身構えなくてはならないのである。平和ボケで乗り切るのは難しい。自主防衛力を増強して、日本という国家を守り抜く決意を世界に示すときなのである。
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