日本のインテリのフランス礼賛は、あまりにも異常であった。マルクス主義の影響もあって、フランス革命をブルジョア革命と理解して、その物差しで日本の歴史を裁断しようとしたのである。
だからこそ遠山茂樹などは「自由民権運動は、結局において、知識人という性格をあわせもつ士族と地主の指導する上からの啓蒙運動の域を脱しきれなかった」(『日本近代史Ⅰ』)と断言し、「ブルジョア的発展雄未成熟が、自由・平等・人権。革命という政治意識を政治意識を外来的な物、非日常的なものの止めさせ」(『同』)とまで書いたのである。
そこまで遠山はフランスを理想化しているが、フランスは戦後長らく植民地を持っていた国家であり、現在の内乱状態というのは、そのツケが回ってきただけなのである。
そのフランスの物差しで、日本を遅れた国と規定した者たちの古めかしい思想が、未だに日本の言論界を支配しているのである。フランスで起きているとんでもない事態を、ほとんどテレビが報道しないのは、自分たちが言ってきたことと、真逆のことが起きているからだ。
明治維新というのは、欧米化を推進しただけではなく、「和を以て尊ぶべし」との肇国の精神に立ち返ることであった。国会開設も、議会政治も、我が国独自の歩みをしてきたのである。
もう一度それを見直すべきではないだろうか。パリのモンマルトルは日本にはない、それを日本の知識人は嘆いていたが、それはあまりにも卑屈な態度なのである。
植民地政策を長年にわたって続けてきたフランスは、アルジェリアの移民の対応の頭を悩ませることになったのである。安易な移民政策を行えば、そのような結末を迎えるのだ。そうした政策でいいのかどうか、日本は立ち止まって考えるときなのである。
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