民主党が自衛隊のOBから批判されたからといって、北沢俊美防衛大臣が「政治的な発言をする団体に防衛省や自衛隊がかかわる行事への参加を控えてもらうように」と防衛省事務次官名でわざわざ通達まで出させるのは、行き過ぎ以外の何物でもない。隊員以外の、一般民間人の言論まで封じるのは言語道断である。しかし、忘れてならないのは、自衛隊は武装組織であり、時の権力者の思いのままに操られたり、政争に巻き込まれる危険性は常に存在するということだ。明治天皇が下賜された軍人勅諭は5ヶ条からなっているが、その第一条で「軍人は忠節を尽すを本分とすへし」と述べるとともに、「抑(そもそも)国家を保護し国権を維持するは兵力に在れは兵力の消長は是(これ)国運の盛衰なることを弁(わきま)へ世論に惑はす政治に拘(かかは)らす只々一途に己か本分の忠節を守り義は山岳よりも重く死は鴻毛(こうもう)よりも軽しと覚悟せよ」と政治に関与することを戒めている。政治から距離を置く意味でも、三島由紀夫が主張したように、自衛隊に栄誉の大権を与えるのは「文化的な概念としての天皇」しかないのであり、それを明確にしないことこそが問題なのである。
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