ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2013.1.25 親孝行をしたくなりました~東京家族~

2013-01-25 20:11:20 | 映画
 標題の映画を観た。
 「東京物語」をモチーフにした山田洋次監督の監督50周年記念作品だ。
 私は小津安二郎監督の1953年作品「東京物語」は観ていないけれど、本作は、東日本大震災によりクランクインが遅れ、小津作品のストーリーをほぼ踏襲しつつ、震災後の世界も意識して作られたというもの。

 何度も予告編を観ていたけれど、とても穏やかな映画だった。どこにでもいそうな、普通の家族をめぐる物語。
 東京郊外でクリニックを開業する長男夫婦、同じく東京で美容室を経営する長女夫婦、舞台美術の仕事をする次男とその彼女。
 瀬戸内の島から、子どもたちに逢うために久しぶりに上京してきた両親との数日間を描く。

 住宅事情はやはりリアルな東京だ。長男夫婦宅では、2階にある中学生の長男の机を隣の小学生の次男の部屋に移動させて、両親が泊る部屋を作る。中学生からは「ホテルを取ればいいのに。」との台詞も。長女宅では、仕事場の2階の狭い部屋をなんとか提供する。
 仕事やら町内会の行事やらで、両親に付き合っていられない長男と長女が申し合わせて、高級ホテルでゆったり過ごしてもらおうと、2泊3日の予定で“みなとみらい”の高級ホテルを手配する。が、1泊で帰ってきてしまう2人。
 さて、その夜はどうするの、ということで、父は旧友宅に泊めてもらうつもりで出かけるが、聞かされていた状況とは違い、断られ宿なしに。一方、母は1人暮らしの次男の部屋を訪れ、幸せそうに食事の支度やら何やら世話を焼く。そして、一番心配していた末っ子の次男に、思いもかけず素敵なフィアンセがいることを知り、安心する。
 そんな母が、次男の様子にご機嫌で帰宅した直後、その理由を話す間もなく孫の前で倒れ、自分が先に逝くのが一番、と言っていた夫を遺し、意識不明のまま翌朝急逝する。帰島する時は遺骨になって・・・というストーリーだ。

 ちょうど週刊朝日の連載「大往生のために過剰な医療から卒業を 延命治療をしないという選択6」で、老人ホームの配置医師として300例以上の「自然死」を経験してきた中村仁一医師が書いていた【よき「死」のための3カ条】を読んで、本当にそうなのだと思ったこと・・・死も病気も老いも自分と無関係なことと考えずに粛々と受容しつつ、自分はどのようにそれらを迎え入れるのかを今から考えておくべきであることこそ、自らの限りある生を大切に悔いなく過ごす極意ではないか・・・と重なったので、以下に転載させて頂く。

※  ※  ※(転載開始)

 「死という大仕事」を果たすために 老人ホーム「同和園」附属診療所所長・中村仁一医師

(前略)
 悔いなく死ぬには、悔いなく生きること、行動を起こすことです。生き方と同時に自分の死についても考えることです。とくにこのごろは、抗加齢という言葉や考え方がはやり、老いそのものを受け入れられない中高年が増えている。具合が悪い、シワができた、という自然の摂理を「年のせい」と認めたがらない。老いを認めなければ死の受容もできないのです。前段階として、老いを認めましょう。少しでも自然死に近づきたいなら、そこからです。

【よき「死」のための3カ条】
一、「老」「病」「死」を我がこととして引き受ける覚悟をする
一、医療はあくまで限定利用にとどめ、頼りすぎない
一、60歳を過ぎたら死を視野に入れて生きる
 子どもが親に対して無理な延命に走るのも、生きている間に、死を想定した、悔いのない関わり方をしてないからだと思いますね。日頃からそういう「いざ」を考えて接していれば、おかしなことになりません。夫婦間でも60歳を過ぎたら同じことが言えますよ。
 親やパートナーとの関係を改めるには、「余命6カ月エクササイズ」がおすすめです。親やパートナーの余命があと半年だと仮定してみます。何を一緒にしたいか、何を話し忘れたか、必ず浮かぶはずです。死を避けるのでなく受け入れることで、本当に大切な生き方が見えてくるものなんですよ・・・

(以下略)(転載終了)

※  ※  ※

 病を得て、40代から“死”を視野に入れて生きざるを得なくなった。高齢の両親や施設で寝たきりの義母と、お互いに生きているうちにあと何回逢えるだろう、そう思ったら、やはり悔いのない関わり方をしておかなければ、と改めて思う。無理な延命はさせたくないし、自分もしかり。だからこそ、今出来ることを今出来るだけやっておかなければならないのだろう。

 どんな高級ホテルを手配してあげるより、一緒に過ごして話を聞き、話をすることこそ一番の親孝行なのかもしれない。
 自然と親孝行がしたくなる不思議な映画だった。

 ようやく休むことなく無事に5日間の勤務が終了した。
 夕方から事務室の窓口改修工事が本格的に始まり、ドリルの音で頭痛がしそうになった。来週水曜日には新しい窓口が完成する予定なので、週明け2日間の辛抱だ。私は来週水曜日が通院日なので、1日遅れでお披露目になるけれど。加えて1か月以上工事中で使えなかった一番近いお手洗も改修が終わり、来週から使えるようになる。
 これまで隣の号棟まで行っていたので不便だった。まぁ、移転以来20年以上経って初めての大改修なので、どこもかしこも大変である。
コメント (2)
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