神様がくれた休日 (ホッとしたい時間)


神様がくれた素晴らしい人生(yottin blog)

テレビドラマ「北の国から」考 (3)都会で生きるか田舎で生きるか 

2021年08月25日 06時35分22秒 | 映画/ドラマ/アニメ
北海道に移住して半年、ようやく春になった
紆余曲折があって五郎は純に対する態度を改めてようやく正しい親子関係が戻った、純も明るくなり北海道で暮らす覚悟ができたらしい
東京では令子が体調を崩して入院した、純は五郎の許可を得て5日間母の見舞いに雪子と東京に行った

舞台 北海道の真ん中、富良野から山に入った麓郷(ろくごう)という寒村

黒板五郎= 妻玲子の浮気を許せず北海道に息子の純、娘の蛍を連れて廃屋を直して住み着いた(東京ではGS店員)
純=(主人公) 蛍= 五郎と令子の子供 小学生
令子= 五郎の妻、生まれ育ちは東京、同級生という吉野と不倫する 東京で美容院経営
宮前雪子=令子の妹 東京で妻子ある男にふられて傷心で北海道に来て五郎の家に住む
北村草太=牧場経営の北村清吉の4男 説得されて嫌嫌、牧場を継ぐ つららと結婚しそうだったが雪子に一目惚れしてしまう ボクシングをやっている
つらら=農家の娘で農協店員 草太を見限って札幌で風俗の仕事に入る、田舎娘が風俗界で垢抜けして明るい大人の女になり、会った雪子や純を驚かす
吉野=東京の会社員、令子の同級生?で不倫相手、今は独り身 渋くて男っぽい都会の男、純は反発しながらも吉野に傾倒していく

五郎と令子は法的にはまだ夫婦であり、令子は復活を願い五郎は拒み続けていた、令子の友人の女弁護士(宮本信子)が説得に来たが、子供たちの反発で挫折した
そのうち令子と不倫相手の吉野との関係が復活した、病院は吉野が世話をした、吉野の先輩の親戚の病院だという
雪子は様々な症状や友人の医者などと相談して、この病院が適切な治療をせず病状を軽く見ていると判断して令子に転院を進めた
しかし令子は吉野の立場を考えて転院を拒み続けて怒りだす始末だ

純は東京に半年ぶりにやってきた、仲良しのけいこちゃんに会いに行くと、英語塾へ行ったという
覗きに行くと中ではかっての同級生たちがみんな勉強していて、純よりできなかった友達も英語をペラペラ話していた
純はショックを受けた、北海道の自然の中で過ごす半年の間に完全に学力の差がついてしまった
分校での勉強は涼子先生の自然観察や平等主義で純のようなできる子より、できない子を分からせるほうに重点が置かれた、内容も緩い

翌日、純はけいこちゃんや友達と遊んだ、だがテレビや映画、流行りものの話に全くついていけない、テレビも新聞もない生活では当然だった
唯一、北海道の動物について聞かれた時だけが独壇場でホラも交えてうっぷんを晴らしたがむなしさが残るだけだった
そんなとき、母を奪った吉野が一日純を遊びに連れて行ってくれるという、映画を見ると聞いた時、純は無条件に喜んだ
遊園地にも行き、おいしいものを食べた、純は嫌いなはずの吉野にかっこよさと強さと男らしさを発見してなぜか好きになった
父と比べてみてもあきらかに吉野の方が魅力があった

食事をしながら吉野が純に言った
「おまえは母さんが可哀そうだと思わないか? 二人とも父さんの方に行って不公平だと思わないか、お前は男だろ母さんと一緒にいてやるべきだ」
「でも母さんにはおじさんがいるじゃないですか」
純の反撃に吉野は一瞬唖然とした、そして「それじゃおじさんが母さんをもらっていいんだな」
「もう一緒にいるじゃないですか」
「違う、正式にもらっていいんだなと言っているんだ」
「僕がかあさんと東京で暮らせば、おじさんは来ませんか」
「それはわからん」
「それって卑怯じゃないですか」
「そんなことはない、わからんからわからんと言った」
「卑怯です」
「そんなことはない、分からんのに約束する方がよっぽど卑怯だろ」

純の頭の中はパニックになった、何が正しいのかわからなくなった、母か父か吉野と母はこれからどうなるのか、そして自分は母か父か
純は母との五日間が終わり変えることになったが、母に問われ結局東京に残ることに決めた、だが夜中に心が変わった、翌日の母との約束を破って黙って北海道に帰った

*純の女友達のけいこちゃんは知的で理性的で品の良いお嬢さんだ
パパは外国で仕事をしていて、ママと二人で東京で暮らしている
けいこちゃんは純に東京で母さんと暮らすことを勧める、純の母さんが可哀そうだという、吉野にも同じことを言われた
けいこちゃんのママも同じ考えで純には自分たちの家に来てもらえばいいという、なんなら純の母さんも一緒に住めばいいという
きっとママ友なんだろう、令子は上品だし清潔だし学歴もあるから中流の上らしい生活のけいこちゃんの家庭に溶け込める
純の心はだんだん東京で母と暮らす方に傾いてきて、雪子に相談するが「勝手にすれば」と雪子はつれない、雪子は北海道で生活するつもりは変わらない

純にとって勉強環境と生活環境、情報量においてかっての同級生に置いて行かれたのは大ショックだった、いまならまだ取り返せる

両親が問題なく東京で一緒にいた頃、家族はアパートで暮らしていた
友達の間で自転車ブームが起こり、純以外のだいたいが流行の自転車を持っていた、純も自転車が欲しいと言った
令子がすぐに「買ってあげる」と言った、ところが五郎は黙って出ていき、大型ごみの集積場に放置されていた自転車を持ってきて改装して乗れるようにした
それを純にわたして「新車なんかなくてもこれで充分乗れる」と言った
仕方なく中古の自転車でみんなに交じったが肩身が狭い、みんな最新式の変速機付きだ
そのうち警察がやってきて「盗難の訴えが出ていて、お宅の自転車の元の持ち主が返せと言ってきている」と返還を求めた
これは人の物をかってに持ってきたのだから窃盗の疑いもあるが、先方も知っている間柄だから穏便にしたいと言っているから返してもらえば大事にしない
令子は警官に「あらためてお詫びに行きます」と言った、警官も「それがいいでしょう」と収めた、なのに五郎が出てきて
「一か月もゴミ置き場に放置してあったゴミを拾ってきて改装したのが悪いのか、捨てておいて今さら返せとは理不尽だ」と警官にくってかかった
令子が止めても五郎は自分の正義を警官に言い続けた、警官も心証を害されて逮捕する勢いになってきた、なんとか令子が抑えて終わった
すぐに令子は最新式の5段変速機を純に買い与えた、純は大威張りで先頭を走った

父との約束を破って北海道に帰るのを伸ばすと決めた純は「東京で母と暮らす、けいこちゃんの家で暮らす」という夢に浸った
ところがなぜか自転車の事を思い出した、簡単に新車を買ってくれた母と、拾ってきた自転車をまだ使えるとなおした父を見比べた
お金さえあれば何でも手に入る東京、ボロボロで人が住めそうもない廃屋、水道も電気もなくすべて父が労働でそれらの問題を解決した麓郷の生活
純の思考は次第に父を理解し始めていた、どうしてよいかわからなくなった、けれど純は翌日母に会うことなく北海道へと帰っていった
だけど純は母の恋人である吉野をなぜか好きになっていた