長編歴史ドラマが相次いで最終回になった
中国の「項羽と劉邦」 韓国ドラマの「龍の涙」
「項羽と劉邦」は紀元前の漢と楚の2大英雄の闘い
「四面楚歌」「韓信の股くぐり」など有名な言葉を残している
項羽の妻「虞姫」は「虞美人」で有名
漢が勝利したので以後の中華民族を「漢民族」というが
楚が勝っていれば「楚民族」だったと何かに書いてあった?
「龍の涙」は朝鮮建国のドラマ、高麗の将軍だった李.ソンゲが大陸の明国の
力を借りてクーデターを起こし、「王氏高麗」を根絶やしに滅ぼした。
(王氏から李氏に王朝が変わる易姓革命)
朝鮮国は1392年から1897年に国名が大韓帝国になるまで500年以上続いた国だ
「李氏朝鮮」を興した太祖から、4代世宗までの殺戮に次ぐ殺戮のドラマ
王妃違いの兄弟、政敵、妻である王妃の一族皆殺し、共に戦った仲間を殺し
息子の妻である王妃の一族を消滅させた3代太宗(イ.バンウォン)が中心
いわば大河ドラマであるが、項羽と劉邦の闘いは、劉邦が敗戦につぐ敗戦、連戦連敗
それなのに、たった一度の初勝利で項羽を殺してしまう
その原因は深入りした楚軍の食料が尽きたのが敗因、いかにも食にこだわる中国らしい
結末である。
だが、戦争ドラマで有りながら、日本や韓国と異なり「あっけらかん」とした人間ドラマ
切れが良く、見ていて後を引かない、女々しさが一つもないからだ
唯一そういう場面は項羽と虞姫のラブシーンくらい
因みに劉邦の糟糠の妻、(呂雉 りょち)は中国三大悪女の一人、苦難の連続をその知性と度胸で
乗り越え、ついに漢の皇后となるが、ライバルの側妻やその一族を残虐な殺戮で消していった。
さらに劉邦を助けた韓信など重臣をも数多く殺した。
韓国ドラマの方は、どろどろとした怨念のドラマ、これでもかと策謀と拷問と
殺人の連続、一番の腹心と自負して臣下最高の地位に就いても殺されてしまうのは
今の北朝鮮とダブって見える
すごいのは王に嫁ぐと、その一族が王亡き後に政権を奪うのではないかと
疑心暗鬼になって、王妃の親兄弟すべてをでっち上げの罪を着せて、拷問で自白させ
殺してしまう、なんともやりきれない暗いドラマだ
唯一救われるのは太宗の長男で王位継承者の譲寧大君(ヤンニョン)の奔放なキャラ
王になるのが嫌で、町の遊び人やごろつきとつるんで遊び回り、美女を見ると
手に入るまでとことん追いかける、王に勘当?されてついに自由を得る
そのため名君と言われた世宗(太宗の三男)が王になる
後に世宗の孫、6代王端宗は、叔父7代王世祖に(世宗の2男)に殺されてしまうが
世祖の伯父である譲寧大君は、この時代にも生きていて何かしらの影響力をもっていたようだ
今時の日本の大河ドラマは、まずは家族愛、友情が中心だ
その後に、志と愛と戦争が
日本の風景と人々の清貧も美しく描かれる
監督や脚本家の意図にもよるが、昔の時代物に比べるときれいすぎる感がする。