山で自然に育った芋を、自然薯(じねんじょ)と言う。但し、最近は畑で栽培された「山芋」が多く出回っているが、擂鉢で当たった時の粘りけが全く違う。とても同じ芋とは思えない。自然薯は、栄養価が高いので昔から「山薬」と言われていたそうである。
秋に山に入り、山芋のツルを見つけたら、根元に麦を蒔き、ツルを刈ってしまう。そして、冬になってから、芽吹いた麦を見つけて掘るのだという。自然薯は、秋の季語であるが、真冬に掘った方が太っていて美味い。
自然薯をすりおろし、少しずつ出汁を加えて、ゆるくすった「とろろ汁」を麦飯にかける「麦とろ」は、白米だと食べ過ぎるので、それを防ぐためだそうである。
いづれにしても、どんなにとろろを腹いっぱい食べても、私は胸焼けしたことがない。