柔道、剣道、合気道、茶道、華道、などと、日本には職業や趣味を「道・どう」と呼ぶ考え方がある。「道」を自己本位に楽しむのが「道楽」であろう。
江戸時代には、御隠居さんが楽しむ三道楽と呼ばれた園芸道楽、釣り道楽、文芸道楽があったそうである。嬉しや、我が俳諧も道楽の一つに数えられている。
一方、道楽と言えば酒道楽、博打道楽、女道楽、道楽息子などと悪い意味にも使われているから注意せねばならない。
明治44年、漱石は明石で行った講演「道楽と職業」の中で、『禅僧・芸術家・科学者・哲学者などは、社会に迎合せず、自己本位でなければいい仕事ができない。彼らは、自分中心の道楽生活をしている』と言ったそうである。
さて、この句の作者は、仕事が道楽になったという。ということは、義務感や金儲けから解放され、ようやく本来の自分・本来の仕事を取り戻した、と言えるのではないだろうか。めでたし、めでたし。