一韶の俳句ブログ

俳句を詠うのは自然・私・家族・夢や希望・社会など。読む時はどんな解釈が浮かぶか読み手の経験や生活によって様々

848  来るたびに捻華微笑や高尾梅  ウー

2013年02月12日 | 

(くるたびに ねんげみしょうや たかおうめ) 

 高尾山は、東京都八王子市にある標高599mの山。登山者は、年間260万人で世界一。元来は修験道の霊場であり、現在は真言宗智山派、大本山高尾山薬王院有喜寺の寺域。

 捻(拈)華微笑(ねんげみしょう)とは、「お釈迦様が蓮華(ハス)の花を手に取り、それをお弟子さんたちに示された。が、お釈迦様の意中をはかりかねて、みんなは呆気にとられて黙っていた。しかし、それを見て迦葉(かしょう)だけが、お釈迦様の意中を悟って一人にっこり笑ったという。これを古来から世尊拈華破顔微笑と言っている」そうである。

 さて、百名山に50以上登ったカンボジア人のウーさんは、登る度にメールで登頂の写真と俳句を送ってくれる。かれは、顔立ち、体形、言葉のどれを取っても日本人と全く変わらない。そして、彼のさりげない文章や俳句に、仏教に造詣が深いことが読み取れる。

 この句の「来るたびに」には、高尾山に嵌まってしまい、毎週のように訪れている彼の感動や喜びが感じられる。

 

薬王院の紅梅

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847  どう見ても姉さん女房猫の恋   俊次

2013年02月11日 | 

 「姉さん女房」とは、勿論年上の妻のこと。厚生労働省の統計によると、全夫婦の4組に1組が姉さん女房だとか。女性にとって、古い価値観にとらわれている年上の男より、柔軟な感性の年下の男性の方が、馬が合うらしい。

 男性から見ても、姉さん女房は夫を立ててくれるし、家事万端をこなすし、良いことずくめなのだとか。

 はてさて、恋猫にも当然姉さん女房があるだろうが、見て分かるのだろうか。どんな猫夫婦なのか興味深い。

フクジュソウ(福寿草) キンポウゲ科の多年草

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846  早春の君は気紛れだから好き  ゆかり

2013年02月10日 | 

 「女心(男心)と秋の空」は、人の心が秋の空のように変わりやすい、移り気だ、という例えのようだ。

 しかし、冬の太平洋側は晴天が多く、春になってようやく雨や雪が多くなり、天候不順が続く。逆に秋の方が「天高し」「秋晴れ」などの季語が示すように、晴天のイメージが強いのではないか。だから、秋の空より、早春の空の方が、相応しいような気もする。

 この句の「君」は、恋人のことなのだろうが、気紛れな早春のことを指していたとしても、少しもおかしくはない。

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845  猫の妻猫撫で声をもて応ふ  素六

2013年02月09日 | 

 猫の句には、面白いものが多い。ところで、「猫撫で声」の解釈が又面白い。声を出しているのは①猫を撫でている人間、②撫でられている猫、さあ、どちらでしょう。

 文法的に言えば、「猫を撫でている人間の声」と読むのが普通。しかし、人の関心を呼ぼうとして、甘えてすり寄って来た「撫でられている猫の声」と読めなくもない。この句の場合は、②「撫でられている猫の声」と解釈した方が良さそうである。

メス猫には、オス猫を選ぶ権利があって、嫌いな雄猫を絶対拒否するため、オスに引っ掻かれて全身傷だらけになって帰って来ることがあるそうだ。これは、猫好きから聞いた話。

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844  雪催ひねもす降らず暮れてゆく

2013年02月08日 | 

(ゆきもよい ひねもすふらず くれてゆく)

  熱海といっても、ここは標高400mあるから、結構雪が降る。多い年は、年30回を越えたこともあるくらいだ。しかし、今年は雪が降らない。最近も関東に2度雪が降ったが、ここは雨だった。

 そう言えば、今日はまだ2月8日。実際雪が降るのはこれからで、3月末に降ったことさえあるのだから、気を取り直して雪を待とう。年に一度くらいは、雪見酒をやらないとつまらないし、話にならない。

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843  割られたる楠芬々と寒明ける

2013年02月07日 | 

(わられたる くすふんぷんと かんあける)

 この2カ月、ほとんど毎日薪を割っていた。マツ(松)、ホルトノキ、イチョウ(銀杏)、クスノキ(楠)など。

その中で、最も香りの強いのが楠。臭し(くすし)から、薬(樟脳)の木からクスノキの語源となったという説がある。

クスノキから樟脳(防虫剤・鎮痛剤)を作ることができ、木材は仏像、家具などに利用されている。

熱海の来宮神社には、樹齢2,000年、幹回り24mの、全国で2位の巨木の御神木がある。

 

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842  蓋のなき電子ピアノや春の塵

2013年02月06日 | 

(ふたのなき でんしピアノや はるのちり)

 2年前、娘から電子ピアノを引き取った。ピアノを調べてみると、ハープシコードやビブラフォン、オルガンなども付いていた。勿論、音量調整もできるし、ヘッドフォンもある。さすが、便利な電子ピアノ。そこで不思議に思うのは、どういう訳か蓋がないのだ。

 オルガンなら、練習してみたい曲があった。初心の私でもできそうなヘンデルの「ラルゴ」である。楽譜を取り寄せて、練習を始めてすぐ分かったことは、ブラインドタッチができないから、暗譜する以外ない、ということ。

あれから独学で1年。なんとか暗譜できたが、毎日練習しなければならない。怠けると、すぐ忘れるからだ。

さて、春塵と言えば黄砂。黄砂と言えば、中国大陸から飛んで来る細かい砂塵。ところが、最近は黄砂に混じって、有害な大気汚染物質も飛んでいるらしい。

又、韓国や中国には、多くの原子力発電所があり、まだまだ増設するらしい。それらがメルトダウンすれば、死の灰が必ず飛んで来る。恐ろしいことだ。

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841  立春の虹もう誰も見ていない

2013年02月05日 | 

  空中に浮遊する水滴がプリズムとなって、白色の太陽光線が七色に分散されて、私たちに見えるのが虹。運のいい人は年数回見るかもしれないが、運の悪い人は、一生に数回かも。だから、虹を見ると「幸運」と思われる。

  虹には、「多様性」「共存」という概念が象徴されるらしい。この虹のフラッグを掲げるハンガリーの「インターネット民主党」次世代の政党かもしれない。

  さて、どんな素晴らしい御馳走も、毎日食べれば必ず飽きる。どんな素晴らしい音楽も毎日聞けば必ず飽きる。どんな素晴らしい・・・・・・も必ず飽きる。

どんなに素晴らしい虹でも、たぶん5分で飽きるだろう。

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840  ふゆは外はるは内とや豆を撒く

2013年02月04日 | 

  立春の前日が節分。古来、季節の変わり目には邪気が生じると考えられており、それを追い払うための悪霊を払う行事が、平安時代より「追儺」として宮中で執り行われたようである。

 節分に撒く大豆は、「摩滅」に通じ、生命力と魔除けの呪力が備わっている、と信じられていた。豆を投げる掛け声の、「鬼は外、福は内」も、「鬼は内、福は内」や「福は内」だけだったり、地域や寺社によって色々。

 それよりも、私には、節分が寺社の別なく行われるのが不思議。気分は「冬は外。春は内」

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839  元朝や豚児一家の寝息かな  炎火

2013年02月03日 | 新年

 知らなかったが、「豚児」とは、「自分の子供をへりくだっていう語」とある。愚妻、愚息などと同様だが、最近は余り流行らない。驚きだが「うちの馬鹿親」というのもあるそうだ。

 叱る、怒鳴る、殴る、という暴力的スパルタ教育から、「誉める教育」に世の中が変わってきたのは、誉めた方が効果があると、特に海外で科学的に証明されているからである。

 女子柔道の園田監督も、最新のスポーツ科学やスポーツ教育の勉強不足だったんだろう。生徒に連名で告訴されるというのは、「愛の鞭」から「愛」が欠けていたんだろうな。

 ところで人前で、我が子を「可愛い可愛い」と連発したり、チャン付けで呼ぶ単なる甘やかしの母親を見ると、「おかしいのではないか」と思うのは、私だけだろうか。

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838  一病を自慢しあいて冬茜      洋子

2013年02月02日 | 

 若い頃、といっても20年前くらいだろうか。10人程のほとんどが老人の新年会に出席したことがある。ところがあちらの席でも、こちらの席でも、会話のほとんどが、病気の話であった。当然、私はそれらの話には、入っていけなかった。

 そこで、座が静かになった時、「皆さん、折角の新年会ですから、もっと楽しい話をしませんか」というようなことを言ったところ、一人の方が「それならまず、あなたが楽しい話をしたらいい、どうぞ」とすごい剣幕で切り返されて、困ったことがあった。

 今この齢になって当時を考えると、反省しきり、穴があったら入りたい心境である。

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837  阿部サダの住みし色町柳に雪  稱子

2013年02月01日 | 

 絞殺した男性の局部を切断後持ち歩いた、という,昭和11年の「阿部貞事件」は、2月の二、二六事件の後の鬱屈した日本社会を興奮させた猟奇事件と言われている。

 戦後、この事件を題材にした小説や映画が多く発表されたが、特に、先日亡くなった大島渚監督の「愛のコリーダ」が有名。この映画も性描写がわいせつと裁判にまでなっている。

 さて、阿部サダの住んだ色町とはどこのことなのか、私にはさっぱり分からないが、そんな面影を残した場所が今でもあり、どうやら未だに世の噂になっているらしい。

 この句は、大島渚監督の死が、引き金になって作られたような気もする。

キンカン(金柑) ミカン科キンカン属

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