★2月に発売された演歌新曲のうち、若手女性二人の曲に何となく心が引かれている。音羽しのぶの『風の吹きよで』と、上杉香緒里の『おんな酒』である。どちらも女がひとりで淋しく酒をあおりながら、別れた男への未練を吐露するという、まあ演歌にはよくあるパターンといえる。演歌が嫌いな人には、いじいじしていて退嬰的でと、さんざんけなされそうな内容である。
でもその歌詞をじっくり味わってみると、微妙な感情のあやが面白いのであって、それも演歌を聴く楽しみだと思う。旅情演歌の場合は主人公が旅に出ていて、情景描写でメリハリをつけることができるが、こういう内面的な心理描写だけの曲は歌詞のよしあしがより重要な気がする。
●『風の吹きよで』は、大ベテラン星野哲郎氏の作詞だ。各コーラスとも、単語を二度くりかえすところが3回出てくるのが特色。1番が「よしな よしな」「飲んで 飲んで」「そうね そうね」、2番が「昔 昔」「恋の 恋の」「ばかね ばかね」、3番が「だめね だめね」「憎む 憎む」「そうよ そうよ」。この曲全体が、自分に言い聞かせている内容なので効果的である。音羽しのぶは『泣き酒』や『二年酒』など、こういう傾向の曲が多く、ひとつの個性になっている。やはり声質がどちらかといえば重いので向いているのだろう。
●『おんな酒』は、大阪在住の新進女性作詞家の城岡れい氏の歌詞である。この作詞家には大いに期待している。「あんたなんかにゃ わかるまい」とあるように、これも演歌によくある強がる気持とうらはらの悲しさの表現である。この曲の歌詞で面白いと思ったのは、3番の「こころ二つを持つひとは どちら向いても 淋しいはずよ」という部分。この微妙な思いやりの感情がいい。上杉香緒里は最近海峡ものが3曲続いたが、一区切りつけた感じ。若手というより実力派中堅として地歩を固める曲になってほしい。
でもその歌詞をじっくり味わってみると、微妙な感情のあやが面白いのであって、それも演歌を聴く楽しみだと思う。旅情演歌の場合は主人公が旅に出ていて、情景描写でメリハリをつけることができるが、こういう内面的な心理描写だけの曲は歌詞のよしあしがより重要な気がする。
●『風の吹きよで』は、大ベテラン星野哲郎氏の作詞だ。各コーラスとも、単語を二度くりかえすところが3回出てくるのが特色。1番が「よしな よしな」「飲んで 飲んで」「そうね そうね」、2番が「昔 昔」「恋の 恋の」「ばかね ばかね」、3番が「だめね だめね」「憎む 憎む」「そうよ そうよ」。この曲全体が、自分に言い聞かせている内容なので効果的である。音羽しのぶは『泣き酒』や『二年酒』など、こういう傾向の曲が多く、ひとつの個性になっている。やはり声質がどちらかといえば重いので向いているのだろう。
●『おんな酒』は、大阪在住の新進女性作詞家の城岡れい氏の歌詞である。この作詞家には大いに期待している。「あんたなんかにゃ わかるまい」とあるように、これも演歌によくある強がる気持とうらはらの悲しさの表現である。この曲の歌詞で面白いと思ったのは、3番の「こころ二つを持つひとは どちら向いても 淋しいはずよ」という部分。この微妙な思いやりの感情がいい。上杉香緒里は最近海峡ものが3曲続いたが、一区切りつけた感じ。若手というより実力派中堅として地歩を固める曲になってほしい。