しばらく男性歌手が続いたからというわけでもないのですが、今回は女性歌手、それも歌のうまさでは特筆ものの、私が目下一押しの中西りえさんです。
私はひと頃に比べると女性歌手の曲を聴いたり歌ったりすることが少なくはなったのですが、それでも中西りえさんの昨年の曲『花凛々と』はよく練習しました。
4月3日に発売された彼女の待望の新曲『津軽挽歌』は、『花凛々と』とは趣きが異なり、哀愁感ただようすごくいい曲だと思います。
内容はストーリー性のあるもので、歌詞を読み込んで理解したのですが、女性主人公が亡くなった男性を偲ぶ曲です。二人は都会で暮らしていて、その男性が故郷の津軽へ行って暮らそうとの約束を果たせぬまま亡くなり、女性が一人で津軽を訪れ、切ない想いを語るものです。
曲の構成も工夫されていて、冒頭とラストに「津軽 津軽よ 津軽」と三回の呼びかけがあり、曲全体の印象をすごく引き締めている感じです。
作曲の浜圭介氏は、今回中西りえさんの曲を初めて手がけるにあたり、彼女の持つ哀愁感、叙情性を最大限に引き出す作品作りを心がけたそうです。
作詞の石原信一氏は、最近若手演歌歌手のいい曲をたくさん書いていて、この曲でも平易な語句だけを駆使しながら見事に詩的な世界を表現しています。
また、溝淵新一郎氏による編曲もドラマチックな味わいを出しています。
中西りえさんの歌唱力を存分に発揮したこの曲を、多くの方に自信を持っておすすめしたいと思います。