★椎名佐千子さんは、『ご意見無用の人生だ』でレコード大賞新人賞受賞という華やかなデビューから5年になりますが、その後は並み居る若手演歌歌手の中で、今一つ頭角を現すことができない感じでした。
★デビュー曲は元気いっぱいの「ど演歌」でしたが、途中から抒情演歌路線になり、前作『おじぎ草』では幸せ演歌と、色々なスタイルを模索するかのようでした。
そして今回の新曲『終着ノサップ』は歌謡曲路線で、彼女の師匠でもある作曲の鈴木淳氏によると、演歌の嫌いな人にも聴いてほしいとのことです。確かにこれまでの彼女の曲とは一味違っていて、それでいてすごく彼女にマッチしているいい曲だと思います。
★内容は失恋して北の果てに旅する女性の心情を歌ったもので、よくあるパターンなのですが、椎名さんの歌唱は気負いなく、哀しみとそれを乗り越え生きていく意志をうまく表現しています。
★平成16年3月に、NHK歌謡コンサートで若手演歌10人が勢ぞろいする特集がありました。そのとき椎名さんは「今一番ほしいものは?」のアンケートに「ヒット曲」と答え、まわりの歌手にも「ねえ、ヒットほしいですよね」と同意を求めていました。この『終着ノサップ』が、そんな彼女の希望をかなえる大ヒット曲になればいいですね。