7時半起床。普段は朝食はとらないが、祖母の卵焼きが食べたくて食卓に座る。今日のメニューは、朝食としては理想的だった。また、ミキサーで作ってくれた野菜ジュースも美味しかった。
9時前にレンタカーを返しに出て、そのまま1人でお出かけ。河内松原駅から近鉄線に乗り、橿原神宮前経由で京都を目指す。河内松原駅のホームに降りた瞬間、停車していた藤井寺行き各駅停車の車両がめちゃくちゃ派手で驚かされた。ラッピング電車なるものはよくあるが、こうやって沿線の観光地をPRするというのも面白い。それに、ここまで派手にやり切れるのは、大阪ならではのような気がする。
河内松原駅から橿原神宮前行き準急に乗り、橿原神宮前から京都行き特急に乗り、京都へ。当初乗る予定だった10時00分発の特急は既に満席になっており、10時19分発の特急まで待つことになった。そのため、京都に着いたのは11時過ぎ。
京都駅前からバスに乗り、大原へ。ゴールデンウィークということで道が混雑しており、1時間半も掛かったが、京都の街並みを眺めながらの道のりなので、それ自体がひとつの観光として楽しかった。ちなみに、京都駅から大原への最短ルートは、地下鉄烏丸線で国際会館駅に出て、そこからバスに乗るルートである。これなら、おそらく1時間も掛からない。ただ、とにかく行程を急ぐというのでなければ、ずっとバスのルートをおすすめする。
三条大橋を渡る。
大原から、三千院に向かって参道をのぼる。思ったほどの混雑はなく、落ち着いた雰囲気が漂っている。そして、新緑が美しい。
まずは、三千院を通りこして行った先にある宝泉院へ。先日、支援先の事務局さんからここの庭園が素晴らしいと聞いたので、寄ってみることにしたのだ。そして、実際素晴らしい庭園だった。これぞ京都、という感じの優雅なお庭である。お抹茶を頂きながら庭園を眺めることもでき、人が多くて少し落ち着かなかったが、とても気持ちの良い空間だった。
続いて、三千院へ。こちらも敷地内の緑が美しく、何度も途中で足を止めて眺めた。素晴らしい景色の中で本堂(阿弥陀堂)や観音堂、石仏などをゆっくりお参りすると、何とも清々しい気持ちになる。
大原地域を一望できる展望台(?)やお土産屋に寄ってから、今度は最短ルート(バス&地下鉄)で京都駅へ戻ってくる。
大原地域。のどかな田園風景が広がっている。
職場の読書好きの方々(&自分)に買ったお土産。
京都駅16時00分発の奈良行き特急に乗り、大和西大寺で難波行き特急に乗り換えて大阪へ。途中、西大寺駅でHIROTAのシューアイスを買って食べる。ここのシュークリームは安定した美味しさだ。
奈良行き特急
特急の車内では、志摩スペイン村のキャラクターがお出迎え。
大阪難波行き特急
終点の難波で降り、なんばグランド花月の近くにあるたこ焼き屋へ向かう。花月の前に特設ステージが出来ていて、若手の芸人さんが漫才を披露していた。私が行ったときにはサーフィンズというコンビが漫才をしていて、ネタそのものやテンポはともかく、声の通りのよさや聞き取りやすさはさすがプロだなと思った。私も比較的人前で話す機会の多い仕事なので、どういうトレーニングをしているのか気になるところである。
「わなか」でたこ焼きを食べる。ここのたこ焼きは、本当に美味しい。出来立て熱々を口に入れ、飛び出しそうになるのをホクホクしながら食べるのが最高だ。最近は「銀だこ」の躍進によって、特に関東圏ではたこ焼きは外がカリカリしているものと思っている人が増えているらしいが、機会があればぜひ一度食べてみて欲しい。一口で全く違うものだということがわかるはずである。もちろん、好みは人それぞれなのだろうが。
御堂筋線で動物園前へ移動し、山王へ。ここには、飛田新地と呼ばれる旧赤線地帯があり、現在も遊郭として数多くの料亭が残っている。飛田新地へは、動物園前駅から商店街を通って向かう。日雇い労働者の集まることで有名なあいりん地区の近くであるため、商店街の雰囲気も独特で、違う時代に来たような感じもする。
そんな商店街を抜けてたどり着いた飛田新地は、文字通りの完全な別世界だった。通りに並んだ料亭の入口には華やかな衣装を着た女性と仲介役のおばちゃんが並び、道行く人はそれらを眺めながらゆっくりと歩いている。ちなみに、ここでは写真撮影が完全に禁止で、それどころかカメラを携帯して歩くことすら許されないので、写真は地区の内部と外部を隔てる壁(通称:嘆きの壁)の外側から、わずかに内側の様子が伺えるようなアングルで撮影した(もしかしたら、これでも怒られるのかもしれない)。
せっかくなので、もう少し詳細に書いておこう。なぜ知っているのかは深く聞かないで欲しいが、残念ながら参与観察したわけではないということと、とあるお店のおばちゃんがやけに親切だったということを書いておこう。参与観察は、もう少しお給料が上がってからの楽しみにとっておく(実際かなり高い)。ただひとつ言えるのは、お店に並んでいる女性たちがめちゃくちゃ美しいということ。この場所を1回通ってしまうと、おそらく他の地域の下手な”女の子のいるお店”には行く気がなくなると思う。価格帯の相場がかなり高額なのも納得させられる。と、前置きはさておいて。
まず、そもそもこれらのお店は料亭ということになっている。顧客はそこに食事をしに来るのだが、そこで料理を運んでくる仲居さんとお互いを好きになり、自由恋愛の結果として性行為に至る、という理屈になっている。そのため、料亭(お茶屋さん)だから、最初にお茶とお菓子が出てくる。また、室内にお風呂はない。そこで気になるのは、じゃあ仲居さんはいつ身体を洗うのか、ということである。さすがに、前のお客さんと終わったそのままで次のお客さんにつくとは思えない。これについては聞きそびれたので、要調査事項としてとっておく。
それぞれのお店には、基本的に常時2人から3人の仲居さんがいて、おおよそ6~7分の間隔で交代で表に座っている。ただ、座っている仲居さんがすぐに上がれば(客がつくことを”上がる”という)、サイクルは早くなる。そのため、一度素通りしてすぐに引き返してきても、お目当ての人がもういない、ということはザラにある。だから、この場所で遊び慣れている人は、必要以上に迷うことはしないそうだ。しかし、逆にいえば、少し待つことによって、もっと良い人が出てくるかもしれないということではないだろうか。そんな疑問を投げかけてみたところ、そういう理由で、2時間も3時間も歩き回っている人もいるとのことだった。しかし、それは”通”の遊び方ではないらしい。
事が終わると、顧客は飴をもらって店を出て、それを舐めながら家路につく。この飴は「魔除けの飴」と呼ばれ、それを舐めている人が事を済ませていることを示す。だから、飴を舐めていると、他のお店から声を掛けられることはない。実際、帰り際におばちゃんから飴を頂き、舐めながら歩いてみたところ、声を掛けられることはなく、間違って掛けてきたお店の人も飴に気付くや否や「あ、ごめんなさいね」と引き下がっていった。
先に写真撮影が厳格に禁止されていることを書いたが、最近はこうしたマナー違反が増えているとのことだった。物珍しさに社会科見学気分で見に来る人が増え(私もその1人だが)、外国人観光客や、女性や子ども連れで来る人もいるらしい。お店の側からすると、撮影しようとする人はもちろん(これは思い切り怒鳴られることになる)、女性や子どもに歩かれることも非常に迷惑だそうだ。結局のところ、お客さん以外は通りを歩かないでくれ、ということである。元々やっていることがかなりグレーゾーンで、警察の見て見ぬ振りによって成立している世界だけに、この手のトラブルの原因となりそうな問題にはナーバスにならざるを得ないのだろう。この独特の文化を守るためにも(守るべきかどうかは議論が必要なのだろうが)、私自身の反省も含め、マナーは守りたいものである。
弁天町へ移動し、祖母と母、弟、叔父、叔母、従妹(&従弟)で集まって、ホテル大阪ベイタワーに入っている日本料理屋「磯風」で夕食。私は、すき焼き御膳を注文する。久しぶりにあった叔父は年齢を感じさせず、叔母は美しさを増し、従妹はこの4月に就職をしたからか一気に大人っぽくなり、同じくこの4月から大学生となった従弟も立派な青年になっていた。段々と難しくなっていくのかもしれないが、年に1度くらいは、こういう機会があったらいいなと思う。
叔父家族、弟と別れ、祖母の家へ戻ったのは0時前。帰りの近鉄線の電車がまたラッピング車両で、吉野以外の観光地も紹介されていた。それらも、やっぱり派手だった。
入浴を終え、布団に入ったのは1時過ぎ。祖母の家に来ると、私は居間の仏壇の前に布団を敷いて寝ている。大好きだった祖父の位牌の前が、寝るのに一番適した場所だからである。あわよくば化けて出てくれないかと期待しているのだが、それが叶ったことは今のところ一度もない。