獏じいさんの転勤が決まって、引越しの必要になった私たちは、この家を売る為 最低限必要な家の修理を始めた。

台所のカーペットは私の不注意で一部分が焼けてしまった為、

あの時は大火事になるかともうドキドキだった。

幸運にも足をちょっとやけどし、カーペットの一部が焼けただけで終わった。
安くタイルが売られていたので、セラミックのタイルをはる事にした。
獏じいさんはその修理に休日の土日を毎週のように使っている。


タイルとタイルの間にグラウトを詰める作業は一人では難しいので、日曜の今日、

そんな経験の全くない私は”又 新しい事が習えるぞ!”とワクワク気分。

短気で口が悪く、なんでもキチンとしていなくては気のすまない獏じいさんと、ぼんやり屋で何事も重大に考えない私が、一緒に仕事をするのは決して美しい光景とは言えない。
”そんなにカッカすると又、血圧があがるのに、、”と思うほど、始めて一分もしないうちに、獏じいさんは怒鳴りだした。

口答えをせず”ふんふん”と大事な事だけ聞き、あとは聞き流しにするテクニックはこの長い夫婦生活の中で学んだ。
怒鳴りどうしの中、やっと仕事を終え 彼の口からでた言葉は
”手伝ってくれて有り難う。君のおかげで仕上がりだ。始めてにしてはよくやった。”
と やさしい笑顔。



本当は誰よりもやさしいんだよね。

又、今回も


