ホスピスのボランティアとして働くのに
問題がない健康状態である事を証明してもらう為
医者からのサインが必要になったけれど
最後に医者にかかったのが
何時だったかも記憶にないほど以前になる私は
医者の診察を受ける必要が出来た。
まず
アイオワの街にある予約なしで診てもらえるクリニックに行くと
”ここではサインは出来ません。” と
断られる。
そのクリニックを選んだのは予約なしだけでなく
診察料も安いからだったので
他に安い所はあるか訊ね
別のクリニックを教えてもらった。
始めて訪れるそのクリニックは
この町でも低所得者が住む地域にあった。
約30年前に私たち夫婦がこの町に住んでいた頃は
街の治安も悪くはなかったのだけれど
いつしか発砲事件が起こったりと
低所得者が住む地域は貧しさだけでなく
危険な地域にもなり始めている。
汗ばむ手でハンドルを握り通りを走った。
思ったより大きなクリニックに入ると
予約を入れる事から始まると言われ
係りの窓口に行き事情を話した。
診察日には
私たち夫婦の所得を証明するものが必要である と
言われ
所得額で料金が変わる事を察した私は
ディスカウントが受けられない場合の診察料金を訊いた。
”150ドル(約1万5千円)程だろう” と言われ

値段の高さにがっかりした私に
”これでも他よりは安いですよ。” と
受付嬢がそう付け加える。
医療費の支払いだけに使用できる医療貯蓄口座には
バッキーの会社が毎月いくらか振り込んでくれ
十分な貯蓄はある。
150ドルなど大した額ではないのだけれど
健康である事を証明してもらう為だけに使うのが勿体なく
あちこちのクリニックを訪れ
金曜の午後をそんな風に使ってしまった。
