仕事は10時からだけれど
カメ君が学校に行く前にアイオワの家に帰り着きたい私は
月曜の朝は6時半前にイリノイの家を出る。
それを知っているバッキーが
早くから雪かきを始め、私の車も綺麗にしてくれた。
助かったぁ―
”オールドレイディーと喧嘩するんじゃないぞ。”
家を出ようとする私にバッキーが忠告でもするかのようにそう言った。
私が働くアジアンデパートメントに
未だマネージャーが雇われていない事もあり
人手不足の職場には他の部署で働く人が手伝いに来てくれている。
この数週間、手伝ってくれているのは
バッキーがオールドレイディーと呼ぶその女性だ。
30年以上このスーパーで働いているベテランさんでもある。
ベテランさんは自分のやり方で仕事をし
人から指図されるのを嫌がる。
それをすぐに感じた私は彼女がやりたいようにしてもらっていた。
ところが 先週の木曜、客対応の事でベテランさんに
”あっ、そうじゃないの、、。Not Like That ” と言おうとして
”No” と言うや
その声に振り向いたベテランさんは キッとした表情で私の顔を見てから
無言でその場を出てボスの所へ直行 (エッ?)
1分もしないうちに職場にやって来たボスから私は注意を受けた。
一応 ボスには自分の考えを伝えたけれど
ベテランさんのやり方で事を終える事になった。
そのあと、バックルームにいたベテランさんに
”I apologize 、、、” と謝り始めると
”何も言わないで頂戴
それ以上何か言ったらここを出ていくわ。” と
ちょっとヒステリックにベテランさんが言う。
私の中で一瞬時間が止まった。
元々悪気があって NO と
大きな声、、、と言ってもどれだけ大きかったか自覚なし、、、を
出した訳でない私には
そこまで動揺したベテランさんの気持ちが分からない。
とにかく 黙ってその日を終えた。
週が明けた月曜
仕事に来たベテランさんに挨拶をすると
彼女も挨拶を返してくれた。 (ほっ)
お互い先週起こったあのちょっとしたインシデントが心にあるせいか
その日する仕事の話では
自分たちの行動について必要以上の説明が加わっており
後で思い出しては笑ってしまう。
そのうちベテランさんも私もあの日の事は忘れ
普通に接するようになるんだろう。