MFCオーナーの私的歴代最高のアルバム500選
220位→201位
☆220位☆
Miracle Row/Janis Ian (1977)
奇跡の街/ジャニス・イアン
日本では人気あったジャニス・イアン、本作からもテレビドラマに使われた「ウィル・ユー・ダンス」がヒットした。この曲を含め、収録曲のグレードが高く、また新たな試みもあり、ジャニスはまた一段上のステージに進んだ感があった。タイトル曲は珍しく明るい曲調で始まり、途中からのプログレ的展開には度肝を抜かれる。名盤である。
☆219位☆
Bigger Than Both Of Us/Daryl Hall & John Oates (1977)
ロックン・ソウル/ダリル・ホール&ジョン・オーツ
本作から「Rich Girl」が全米No.1になり、ホール&オーツの人気を決定づけた。"ブルー・アイド・ソウル"の傑作である。ライブでのハイライトとなった「Do What You Want」、二人のソウルフルな掛け合いがカッコいい「Back Together Again」、オシャレな小品「London Luck & Love」等々聴きどころも多い。ホールとオーツのバランスもこの頃は非常に良い。
☆218位☆
Takin' It To The Streets/The Doobie Brothers (1976)
ドゥービー・ストリート/ドゥービー・ブラザーズ
トム・ジョンストン期からマイケル・マクドナルド期への過渡期と言えるアルバム。両方のドゥービーの要素がうまく混在し、非常にコンテンポラリーなロック・アルバムとなっている。カギを握るのは、やはりパット・シモンズか。「8番街のシャッフル」でのギターは注目。「イット・キープス・ユー・ランニン」のようにリズム・ボックスで進行する曲もあってバラエティ豊か。
☆217位☆
All American Alien Boy/Ian Hunter (1976)
流浪者(ながれもの)/イアン・ハンター
元モット・ザ・フープルのイアン・ハンターのソロ転向2作目。ジャコ・パストリアスの参加が意外だが、タイトル曲ではソロも披露したりして、活躍している。音楽的はに特にジャズ的ではなく、シンガー・ソングライター的な作品を、やや都会的なサウンドでまとめている感じ。クイーンのメンバーがコーラスに参加した壮大なバラード「傷心のハイウェイ」は一聴の価値あり。
☆216位☆
Fleetwood Mac/Fleetwood Mac (1975)
ファンタスティック・マック/フリートウッド・マック
バッキンガム・ニックス組を迎えた新生マックの第一弾。1年かけて全米No.1になり、『噂』の下地を作った。実際、音楽的にも本作で確立されたサウンドが『噂』に展開された、と言えなくもない。マックの原点はここにある。「マンデイ・モーニング」「セイ・ユー・ラブ・ミー」「リアノン」といった楽曲が、そのことを証明している。曲の出来も『噂』より上と思う。
☆215位☆
History-America's Greatest Hits/America (1975)
アメリカの歴史/アメリカ
3人のアメリカ人によってイギリスで結成されたアメリカの、デビュー曲「名前のない馬」から1975年までの道程を記録したベスト盤。「アイ・ニード・ユー」「魔法のロボット」「ベンチェラ・ハイウェイ」等々名曲目白押しだが、その頂点で燦然と輝いているのが「金色の髪の少女」である。70年代を代表する名曲。哀愁を帯びたイントロがたまらない。
☆214位☆
The Original Soundtrack/10cc (1975)
オリジナル・サウンドトラック/10cc
名曲「アイム・ノット・イン・ラブ」を含む出世作。この曲と組曲「パリの一夜」ばかりが注目されるが、実は他の曲も佳曲揃いである。スライドがうなる「ゆすり」、ハードに展開する「二度目の最後の晩餐」、映画音楽みたいな「我が愛のフィルム」等、印象的な曲が多い。が、大手移籍第一弾という事で、緊張感もあったのか、やや毒気が薄いのは否めない。
☆213位☆
It's Only Rock 'N' Roll/Rolling Stones (1974)
イッツ・オンリー・ロックンロール/ローリング・ストーンズ
タイトルはストーンズの本懐ってとこだが、アルバム全体としては、いかにもロックンロールみたいな曲は少なく、「タイム・ウェイツ・フォー・ノー・ワン」「マイ・フレンド」のようなスローでメロウな曲の出来が良くて印象も強い。根底には、いつもと違う黒っぽさを感じる。ラストの「フィンガープリント・ファイル」は、これまでになかった曲調で衝撃的。
☆212位☆
On The Border/Eagles (1974)
オン・ザ・ボーダー/イーグルス
本作からドン・フェルダーが加入し、演奏面が強化された。とはいえ、バーニー・リードンによるカントリー風味は残っており、ロック的方向性との双方が共存する貴重なアルバムと言える。「過ぎた事」「ミッドナイト・フライヤー」はカントリー風、「オン・ザ・ボーダー」「地獄の良き日」はロック寄り、「恋人みたいに泣かないで」は隠れた名曲。
☆211位☆
Brothers And Sisters/The Allman Brothers Band (1973)
ブラザーズ・アンド・シスターズ/オールマン・ブラザーズ・バンド
デュアン・オールマンとベリー・オークリーを続けて失ったオールマンズだが、もう一人のギターの代わりにチャック・リーベルが加入したのが功を奏した感じ。カントリー・テイストの曲もあるが、ブルースを軸に展開していく作風に変化はない。「カム・アンド・ゴー・ブルース」「サウスバウンド」といった曲で見せるカッコ良さこそ、彼らの真骨頂と思う。
☆210位☆
Who Do We Think We Are/Deep Purple (1973)
紫の肖像/ディープ・パープル
何故か評価の低いアルバムだが、「ウーマン・フロム・トーキョー」「スムース・ダンサー」など曲の出来も良く好盤と思う。定番となり得るナンバーが少ないので、地味な印象なのは否めないが、きちんと聴けば決して悪くない。少なくとも、発表から今に至るまで、まともに聴かれもせず、評価もされなかった不幸なアルバムである。
☆209位☆
The Singles 1969-1973/Carpenters (1973)
シングルス1969-1973/カーペンターズ
文字通りのベスト盤だが、再レコーディングされた曲やリミックスされた曲もあり、単にシングルを集めたベスト盤ではない。これは賛否両論だっただろう。ただ、意図は分からないが、カーペンターズの世界は十二分に堪能出来る。そして、一見華やかなヒット曲の影にある憂いを巧みに表現するカレンの歌も。彼女こそ正に不世出のシンガーである。
☆208位☆
Naked Songs/Al Kooper (1972)
赤心の歌/アル・クーパー
スーパー・セッションやBS&Tの結成など、ロック界に大きな足跡を残したアル・クーパーは、地味だけど自身の志向を100%反映したソロ・アルバムを出していて、名曲「ジョリー」を含む本作は、その中でも最も有名なのではなかろうか。ゴスペルチックな「自分自身でありなさい」、ピアノによるイントロとオルガンがカッコいい「君はどこへ」など佳曲多し。頼りなげなボーカルも味わい深い。
☆207位☆
Free Live!/Free (1971)
フリー・ライブ!/フリー
若い割にはブルースの求道者みたいなイメージがあるフリーだが、このライブ盤では突き抜けている。実に伸び伸びと演奏しているように思えるのだ。定番曲ばかりだが、オープニングの「オールライト・ナウ」はかなりアレンジを変えていて、正直こちらの方がカッコいいと思う。スタジオ録音の新曲「ゲット・ホエア・アイ・ビロング」にアメリカ志向が見て取れる。
☆206位☆
Tumbleweed Connection/Elton John (1970)
エルトン・ジョン3/エルトン・ジョン
かなりアメリカ南部に接近した音作りとなっている。ザ・バンドの影響もあったらしいが、決して物真似ではなく、エルトンならではのアメリカ音楽であるのが素晴らしい。個人的には「過ぎし日のアモリーナ」が一推しだが、カバーの多い「故郷は心の慰め」やライブのハイライト「布教本部を焼き落とせ」も良い。エルトン初期の名盤。レスリー・ダンカンのカバー「愛の歌」も名曲。
☆205位☆
New York Tendaberry/Laura Nyro (1969)
ニューヨーク・テンダベリー/ローラ・ニーロ
ポップなメロディの曲はあまりなく、暗く静かな情念が渦巻くアルバム。ほとんどのトラックは、ローラの歌とピアノのみで構成されており、決して聴きやすくはないが、一度針を落としてしまうと、最後まで引き込まれてしまう。というか、途中で止める事を許さない何かがある。本作でのローラは聴く者に作品と対峙する覚悟を要求するが、それは決して苦痛ではない。
☆204位☆
Jump Up/Eltpn John (1982)
ジャンプ・アップ/エルトン・ジョン
70年代終わり頃から迷走していたエルトンが放った起死回生の一枚。かつてのエルトンらしさが戻り、収録曲のグレードも高く、躍動感溢れるバンド演奏も相俟って、実に若々しく活気に満ちたアルバムである。久々にバーニーと組んだ「エンプティ・ガーデン」はエルトンの五指に入る名曲。他の曲も捨て曲なし。もっと評価されてもいい名盤。
☆203位☆
Greatest HIts Volume Two/Linda Ronstadt (1980)
グレイテスト・ヒッツVol.2/リンダ・ロンシュタット
リンダがヒットチャートの常連だった70年代後半のシングル曲を集めたベスト盤。悪かろうはずがない。「イッツ・ソー・イージー」「ブルー・バイユー」のようなウエスト・コースト・サウンドと「お願いだから」のようなニュー・ウェーブ路線が、違和感なく同居してしまうのが、歌手リンダの凄いところ。改めてその歌唱力に脱帽である。とにかく聴け。
☆202位☆
8:30/Weather Report (1979)
8:30/ウェザー・リポート
ジョー・ザビヌル、ウェイン・ショーター、ジャコ・パストリアス、ピーター・アースキンという黄金期のメンバーによるライブ盤。スタジオ盤とはひと味違うアグレッシブな感じの「ブラック・マーケット」で始まるオープニングが、とにかく圧倒的に素晴らしく言葉もない。各自のソロ・パートもあるが、基本的にはアンサンプル重視、そしてジャズの枠に収まりきれない多様性が持ち味。
☆201位☆
Down Two Then Left/Boz Scaggs (1977)
ダウン・トゥー・ゼン・レフト/ボズ・スキャッグス
ボズをオシャレなAORアーティストとするなら、そのイメージに一番ピッタリくるのが本作だろう。とにかくオシャレで洗練されててカッコいい。フュージョン的方法論も取り込んだバンド演奏も、オシャレ度アップに大きく貢献している。「ホワッチャ・ゴナ・テル・ユア・マン」など、その典型。「ハリウッド」「1984」といった曲は、オシャレ系ではないがカッコいい。
次回は200位→181位です。いよいよ200位圏内に入ってきました^^
おっしゃる通りと思います。アメリカ音楽だけではないと思いますが、かなり比重は高いですね。基本的に、イギリスのミュージシャンって、実はアメリカ音楽が好きで影響されている人が多くて、あのビートルズでさえ例外ではなかった訳で、エルトンのその一人なんですが、結局分岐点は、そのアメリカ音楽をどこまで消化できるか、という事につきると思います。
あと、音楽とは関係ないのかもしれませんが、エルトンの場合、バーニーとの曲と、ティム・ライス、ゲイリー・オズボーンなど、他の人と組んだ曲とでは、出来映えが全然違う気がします。バーニー以外の人との曲は、良い曲もヒット曲も多いですけど、バーニーとの曲の比ではない。つまり、バーニーとならエルトンはいつでも名曲(ただの名曲ではない)を生み出せる訳です。エルトンは詞先だそうですが、バーニーの詞には、エルトンのインスピレーションを刺激する、とてつもないものがあるのでしょう。エルトンの名曲はバーニーが誘発してる、という一面もあるのでは、なんて思ったりします。