日々の覚書

MFCオーナーのブログ

想い出のアルバム-RHAPSODY

2009年05月03日 23時56分13秒 | 想い出のアルバムシリーズ

Rhapsody

Rhapsody/RCサクセション(1980)

1.よォーこそ
2.エネルギーOhエネルギー
3.ラプソディ
4.ボスしけてるぜ
5.エンジェル
6.ブン・ブン・ブン
7.雨あがりの夜空に
8.上を向いて歩こう
9.キモちE

忌野清志郎が逝ってしまった。

癌治療中というのは聞いてた。去年あたりに復帰してコンサートを開いた、という話も聞いたので、癌を克服したのかと思ってた。けど、転移してるのが見つかり、放射線治療などを受けていたらしい。そして、彼は力尽き帰らぬ人となってしまった。享年58歳。慎んで、ご冥福をお祈り致します。

正直言うと、清志郎或いはRCサクセション(以下RC)のファンだった訳ではない。けど、訃報を聞いた時のショックは大きかった。なんとなく、清志郎が死ぬはずない、みたいに思っていたのだ。根拠はないけど。メディアでは、「日本ロック界の大きな損失」とか「日本ロックの牽引者逝く」みたいな報道をしてるけど、そういう意味ではなく、ただ単に忌野清志郎が死んだ、それだけがショックである。身内が死んでしまった感覚に近いような気がする。

特にファンではない、と書いたけど、一時期RCをよく聴いてた。年代で言うと、1981年から83年くらい。高校3年の頃だったか、友人がRCにハマっており、何度か聴かされるうちに、気に入ってしまったのだ。その頃、よく聴かされたというか、よく聴いてたのが、このライブ盤『Rhapsody』である。

色々な点で衝撃的なライブ盤だった。まず、なんといっても、清志郎である。その独特な声と歌いっぷりには、惹きつけられるものがあった。どう表現したらいいのだろう、ロックのリズムに乗りにくいような言葉でも、彼が歌うと不思議にフィットした。歌うというより、語ってるような感じもしたが、佐野元春や桑田佳祐、或いは久保田利伸といった人たちとは、日本語の乗せ方が違うというか、決してリズミカルでも流暢でもなく、固さが残るようなリズムに少し遅れてるような、でも結果的に、言いにくい事でも、すんなりと歌ってしまえるというか、なんてことない言葉が、凄くリアルに聞こえるというか、そんな歌い方をするのは清志郎だけだった。唯一無比とは、正にこのこと。

バンドの演奏力も凄い。ロックンロールバンド、と自称していたようだが、RCがやってたのは、いわゆるロックンロールではない。もちろん、ブルースでもハードロックでもパンクでもない。独特のノリを持つロックとしか言いようのない、日本には珍しかったタイプと思う。少なくとも僕は、それまでRCみたいな音を出すバンドを知らなかった。こういう音楽で、ここまで凄いノリで聴かせるバンド、なんてのも未経験だった。清志郎のボーカルと合わせ、日本にもこんなバンドがいた、というのが、とにかくショッキングだったのである。

オープニングの「よォーこそ」を初めて聴いた時もブッ飛んだ。観客への挨拶、バンド及びメンバー紹介を曲にしてしまった、というのが凄い。名刺代わりというか、名刺そのもの(笑)。欧米のバンドだと、たとえばチープ・トリックなども、コンサートのオープニングで挨拶の曲なんかやってたけど、「よォーこそ」はもっと徹底している。しかもマジだ。これは、当時も今もRCにしか出来ない芸当だろう。いやほんと、凄い発想だ。

ま、とにかく、熱いライブ盤である。日本のロック史に残る名盤と言っていい。

RCというか清志郎は、ヤバい歌詞の曲を歌って、放送禁止等の騒ぎを起こしてきたが、このライブにも収録されている「ボスしけてるぜ」も、有線放送で放送禁止になったらしい。後のサマータイム・ブルースや君が代の騒ぎもあったけど、反社会的な姿勢とか政治的メッセージの発信とかいうレベルではなく、ほんとに一般庶民のボヤキみたいな感じで、問題提起をしつつもシャレの範囲内で収めてるというか、そこいらのスタンスがまたビミョーで、そういう点でも共感できるバンドであった。

後の、1981年に出た『Blue』というアルバム収録の「あの娘のレター」という曲で、歌詞の一部が消されており■■■この部分、職業差別用語に繊細な感受性をお持ちの方々の御意向を汲みまして、レコードでは割愛させていただきました。なお、ライブでは勝手に使わせていただきますので、御不満のお残りの方は、コンサートに来てお楽しみ下さい(原文のママ)」というコメントが印刷されている。RCらしいという感じ(笑)。ちなみに、この■■■の部分は「ポリ公」なんだそうな。

この『Blue』もよく聴いてた。後年CDも買ったくらい。なかなか骨太なサウンドで録音されており、ライブっぽい感触がある。曲もいい。RCを一枚聴くなら、『Rhapsody』か『Blue』をお薦めする。

あれこれ騒ぎも起こしたし、亡くなってしまったこともあって、忌野清志郎(RCサクセション)は、今後反骨のロッカーみたいな感じで神格化されてしまいそうな気もするが、実は純粋に音楽(ロック)が好きなだけだったのではないか、と思う。『Rhapsody』なんて聴いてると、余計にそう感じたりする。本当に惜しい人を失ったものだ。

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11 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
♪じゃあバンドの、メンバーを、 (喜楽院)
2009-05-04 02:29:22
♪じゃあバンドの、メンバーを、
紹介しよう~。

うーむ。
「ラプソディ」か。
懐かしい。^^;
一時期、頻繁に聞いた記憶がある。
90分テープに録音していたはず。
反対面には「ストラングラーズ」の
「レイブン」が入っていたはずだ。
「ダッチェス」はお気に入りの曲だった。
あのテープはどこに行って
しまったろう。
もう、20年以上、見かけない。

「雨上がりの夜空に」には、
とくに思い出がある。

「♪こんな夜に発車できないなんて」
には、どなた様にもきっと、ステキな方と
ステキな会話をなさった記憶が
あるだろう。^^

新宿の場末の、いまは無きディスコ、
「TRASH」を借り切って、
当時の“怪しい人たち”と大騒ぎした
ときにも、この曲は流れた。
この曲が一番、盛り上がった。
名曲だと思った。
「漫画家志望の女子高校生」だった、
岡崎京子もその場に居た。

いつだったろう。
「トーキング・ヘッズ」が
やたら売れ出した、あの時代。
洋楽シーンを席巻し・・・

そうか。
清志郎さんが死んだか。
いろいろ思い出すなあ。
あれも、これも。
返信する
大昔和歌山のストリップショーで流れていたのが ... (kamekame)
2009-05-04 02:53:59
大昔和歌山のストリップショーで流れていたのが スローバラード でした。
返信する
忌野清志郎さんの死は本当にビックリしました。 (にゅーめん)
2009-05-04 09:19:21
忌野清志郎さんの死は本当にビックリしました。
てっきり復活したと思ってました。
私はRCサクセションの曲を得意とするバンドに入ってたことがあり、彼らの曲はよく聴きました。
『Rhapsody』はカセットで、『Blue』はLPを持ってました。
好きな曲は、定番ですが「トランジスタ・ラジオ」が一番ですね。
返信する
♪喜楽院さん (MFCオーナー)
2009-05-04 10:26:14
♪喜楽院さん

>♪じゃあバンドの、メンバーを、紹介しよう~。
カッコいいんですよ、清志郎がやると^^ ドラムを紹介する時に、♪タカタカタカタカタカタカタカタカタ・新井田耕造! というタイミングが、とにかく絶妙でした。って、文字にすると分かりづらいか(苦笑)
>90分テープに録音していたはず
やはり、そういう世代ですね^^ 『Rhapsody』僕は46分テープで聴いてましたが、MCも含めると入りきらないので、所々カットした記憶があります^^;
>どなた様にもきっと、ステキな方と
>ステキな会話をなさった記憶が
>あるだろう。^^
「お前に乗れないなんて」という歌詞もありましたしね。あと、“発車”じゃなくて“発射”だろう、とか(笑)
>「漫画家志望の女子高校生」だった、
>岡崎京子もその場に居た。
なんか、凄いイベントだったみたいですね。スー○○フ○ーじゃないですよね?(笑)
>いろいろ思い出すなあ。
>あれも、これも。
意外と、RCサクセションというバンドが、色々と自分に関わっていた事に、改めて気づきました。そういう人多いのかも。

♪kamekameさん

>和歌山のストリップショーで流れていたのが スローバラード でした
絶妙のマッチングですね。和歌山というのが特に(笑)

♪にゅーめんさん

>てっきり復活したと思ってました
僕もそう思ってました。癌を克服して復活したミュージシャンって多いですからね。残念です。
>私はRCサクセションの曲を得意とするバンドに入ってたことがあり
要するに、コピバンやってたという訳ですね^^ 清志郎のボーカルって独特なんだけど、慣れると意外とマネしやすい、というのは後に気づきました。
>定番ですが「トランジスタ・ラジオ」が一番ですね
なんというか、“胸キュン”な一曲ですね。この曲が青春だった人もたくさんいるのでしょう。名曲です。
返信する
>タカタカタカタカタカタカタカタカタ・新井田耕... (魔愚郎)
2009-05-04 22:02:44
>タカタカタカタカタカタカタカタカタ・新井田耕造! 

あ~、懐かしい!!
残念です。
返信する
オーナーさまと同時期にRCにハマってました(ワタク... (YK)
2009-05-05 00:28:57
オーナーさまと同時期にRCにハマってました(ワタクシは中学生でしたが・爆)
RCのTシャツも着てました
よく考えるとロックTの一枚目はRCだったということです

未だに信じられないです

何枚かレコードを持ってますが、もうプレイヤーもないので・・・
CDをゲットしないといけませんね((;・∀・)
今一番欲しいのは「不死身のタイマーズ」ですが、アマゾンでも2万円以上します・・・
もう少ししたら安くなるのでしょうか・・・
返信する
♪魔愚郎さん (MFCオーナー)
2009-05-05 01:17:52
♪魔愚郎さん

>あ~、懐かしい
ほんとですね。聞きたくなってしまいましたが、某レコード屋のRCの棚は、ほとんど空でした。

♪YKさん

>オーナーさまと同時期にRCにハマってました
僕は、大学入学の前後でしたね(笑)
>CDをゲットしないといけませんね
しばらく、清志郎関連のCDは、品薄状態が続きそうな気がします。
>「不死身のタイマーズ」
未聴です^^; 今は廃盤ですか? だとすれば、再発されない限り、安くならないでしょうね。
返信する
話がとんで申し訳ないのですが。^^; (喜楽院)
2009-05-05 03:39:52
話がとんで申し訳ないのですが。^^;

「あなたが過去にご覧になった
『ストリップショー』で流れていた曲で、
極めて印象的だった曲を、
一曲だけ挙げてください。」

これを現在40歳代後半の男性、
100人から募ったならば・・・
それはそれは、さぞかし興味深い
選曲群で構成されることになるだろう、と
推します。
返信する
♪喜楽院さん (MFCオーナー)
2009-05-05 14:05:06
♪喜楽院さん

>「あなたが過去にご覧になった
>『ストリップショー』で流れていた曲で、
>極めて印象的だった曲を、
>一曲だけ挙げてください。」
非常に興味あります。これをご覧の男性諸氏の皆さん、是非この設問に白状いや回答お願いします。お待ちしてます。
回答として寄せられた曲を集めてCD作りたいくらいです(笑)
返信する
私も実は清志郎のことを今日、ブログに書いてこち... (ペルシャ猫)
2009-05-06 20:47:58
私も実は清志郎のことを今日、ブログに書いてこちらに来たら、あらま。もしかして、私が音楽のことでオーナーさんにこんなに共感したのははじめてかも。オーナーさんステキ(爆)というくらい接点を感じました^^;
なんなんでしょうね~私なんてライブに行ったこともないのに、すっごい親近感もってました。こんなに好きだったんだなって。あらためて思いました。
返信する

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