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MFCオーナーのブログ

オール・タイム・ベスト

2009年11月21日 23時09分11秒 | 音楽ネタ

オール・タイム・ベスト、とは何か? ただのベスト盤とは、ちと違うのだ。オール・タイム・ベストと銘打つ場合、アーティストのデビューから現在に至るまでの全作品を対象に、ヒット曲や代表曲を収録し、そのキャリアを俯瞰する事の出来るベスト盤、ということになる。当然、オール・タイム・ベストが出るアーティストは芸歴が長い訳であり、たまにデビュー2~3年のアーティストのベスト盤をオール・タイム・ベストと謳うケースもあるが、基本的には、20~30年以上活動している人の全キャリアを網羅したベスト盤が、オール・タイム・ベストと呼ばれるのである。

やや問題もある。20~30年ものキャリアを持ち、まだ現役である場合、過去にもベスト盤を出したことのある人がほとんどであり、そうすると、全キャリアを網羅するオール・タイム・ベストが出てしまうと、過去のベスト盤と曲がダブるのである。ひどい場合だと、10年前のベスト盤に2~3曲追加した程度のオール・タイム・ベストだったりする。また、コンスタントにヒットを出している人の場合だと、前回のベスト盤から何曲か削られて、新しい曲と差し替えられるケースもある。

と、こんなオール・タイム・ベストなんてのが出ると、買おうかどうしようか、悩むファンも多い。が、反面、レコード会社が華々しくオール・タイム・ベストと煽っても、コアなファンは手を出さないケースも多々ある。既に所有済の曲ばかりであるケースも多いからだ。そうなると、一体誰が買うのか不思議になるが、ベスト盤特にオール・タイム・ベストって売れるのである。洋の東西を問わず。

ベスト盤=入門編、という考え方がある。とあるアーティストを初めて聴こうという場合、とりあえずベスト盤から入るのである。有名曲・ヒット曲は一通り聴けるし、オール・タイム・ベストであれば、全キャリア満遍なく聴く事も出来る。そういう人たち、つまり大物・ベテランだけど全然聴いたことない、という若い人(とは限らないけど)たちに、入門編としてベスト盤は需要がある、という事になる。ま、まずはベスト盤を聴いて、それからオリジナル・アルバムを聴くようになれば万々歳だが、実際には、ベスト盤だけで止まってしまう人が多いので、結果として洋楽CDはベスト盤以外は売れない、という事になってしまうのだ。

それにしても、ここ数年、レコード屋の洋楽の棚を見てると、ベテランであればあるほど、ベスト盤しか置いてない、というのが目につく。そのベスト盤も、1アーティストにつき数種類出てるのはざらだ。『ベスト・オブ・○○』『○○グレイテスト・ヒッツ』は言うに及ばず、“エッセンシャル”“ディフィニティブ”“アルティメット”“アブソルート”等のタイトルを冠されたベスト盤が、呆れるほど並んでいる。入門編としてベスト盤を買う人が多いというが、その人たちは“エッセンシャル”と“ディフィニティブ”のどちらを買えばいいのか? 初心者であれば、曲目で判断する、というのも難しいだろうし。両方買う人は、まずいないだろうね。ベスト盤の乱発は、結局レコード会社のクビを絞めるだけ、という気もする。

かくいう僕も、ベスト盤はたくさん買っている。入門編として買ったケースもあるが、ほとんどの場合、ヒット曲をまとめて聴きたい、けどオリジナル・アルバムは今イチ興味ない、という理由で買っている。シングル曲をコレクションするみたいなもんだね。ベスト盤が複数存在する時は、○○と△△が収録されていること、というのが選択の条件となる。“エッセンシャル”には○○は未収録だけど△△は入ってる、だけど“ディフィニティブ”は全く逆だ、という場合、悩んだ挙句、結局どちらも買わない、という事になったりもする。

だいたい、僕が洋楽を聴き始めた頃、入門編としてベスト盤を買う、という考えは全くなかった。FM等でかかるのは、基本的に最新のヒット曲であり、最新アルバムの曲であったから、古い曲を知るのはもっと後の事であり、気に入った曲があると、ドーナツ盤を買うか、その曲が入っているオリジナル・アルバムを買う、というのがフツーだった。それに、ベスト盤が出てるという事は、そのアーティストがベテラン尚且つヒット曲が多い、という事であり、70年代半ばにベスト盤が出てる人、というのは限られていたのだ。それに、そういうベテランは一部の例外を除けば、その時既に過去の人、という感じで、当時の僕からすると興味の対象外というのがほとんどだった。そういう訳で、ベスト盤をよく買うようになったのは、CD時代になってからである。LPと違って、収録時間も長いCDは、正にベスト盤向きのフォーマットと言える。

という訳で、オール・タイム・ベストだ。考えてみると、キャリアが長くヒット曲も多いアーテストであればあるほど、だかだか20曲やそこらを聴いただけで、一体何が分かるのだ、という気はする。かといって、2枚組とか4枚組のボックスセットとかだと、初心者には手を出しにくいし、デモ音源とかライブテイクとかが入ってるようなボックスセットは、入門編とは言い難い。

と、こういったことを踏まえて(は?)、最近出たオール・タイム・ベストを斬ってみたい、いや、そんな大それたものではなく、まぁ、ツッコミを入れてみたい、と思うのである(笑)

オールタイム・ベスト オールタイム・ベスト
価格:¥ 2,600(税込)
発売日:2009-07-08

ビートルズ・リマスター・モノボックスの半分も話題にならなかった(泣)、ジョージ・ハリスンのオール・タイム・ベストである。過去、ジョージはアップルとダークホース、それぞれのレーベルでのベスト盤を出しているが、全キャリアを網羅したのは初めて。ただ、そう言う割には、色々疑問の多い内容である。

ま、とにかく、内容である。なんでも、未亡人のオリビアが選曲したらしいが、なんというか、ヒット曲集とは言い難いし、ビートルズ時代の曲がライブ・アルバムから収録されてるのもヘンだし、『オール・シングス・マスト・パス』から5曲も収録されてるくせに、『ダーク・ホース』『ジョージ・ハリスン帝国』からはゼロというのは納得いかないし、1ファンとしては、素直に喜べないオール・タイム・ベストである。なんか、中途半端なのだ。どうせなら、シングル曲に絞るとかした方が、よっぽどすっきりする。「サー・フランキー・クリスプのバラード」を収録したいのなら、マニアックな選曲に徹底すればよかろう。

という訳で、こういう内容にした方が、オール・タイム・ベストの名にふさわしいと思うけど。

1.マイ・スイート・ロード
2.美しき人生
3.ギブ・ミー・ラブ
4.バングラ・デシュ
5.ディン・ドン
6.二人はアイ・ラブ・ユー
7.ディス・ソング
8.人生の夜明け
9.ブロー・アウェイ
10.愛はすべての人に
11.過ぎ去りし日々
12.ウェイク・アップ・マイ・ラブ
13.セット・オン・ユー
14.FAB
15.チアー・ダウン

この選曲の方が、少なくとも納得はいくけど、当たり前過ぎて面白みに欠けるのも確かだ(笑)。難しいねぇ(笑)

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マドンナも、いつの間にやら25年選手である。時の流れは非情だ(なんのこっちゃ)

その25年間、ずっと第一線で活躍し続けてきた人だけに、やっぱり膨大なヒット曲がある訳で、はっきり言って、それを1枚(これは2枚組だけど^^;)に詰め込もう、って事自体無謀なのである。マドンナは、過去2枚のベスト盤を出しており、その2枚はいわば、グレイテスト・ヒッツVol.1&Vol.2みたいなもので、曲のダブりはない。本来なら、こんなオール・タイム・ベストを出すより、グレイテスト・ヒッツのVol.3が出てしかるべきなのだ。つーか、オール・タイム・ベストを1枚出すより、曲のダブりのないグレイテスト・ヒッツが数枚出てます、という方が、よっぽどステイタスだという気がするけど。それぞれに、新曲を1曲づつ収録すれば、ファン・サービスにもなるし。それが出来る人だと思う。

とはいえ、このオール・タイム・ベスト、なかなか頑張ってます(笑)。全米No.1ヒットの洩れはないようだし、主要なヒット曲も押さえている。2枚組にしたのは正解だ。新曲も入れてるし。ケチつける箇所は、とりあえず見当たらない。買うかどうかは別として(笑)

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発売日:2009-11-11

クイーン初の、世界標準のオール・タイム・ベストである。クイーンって、オフィシャルの『グレイテスト・ヒッツ1~3』以外にも、各国でベスト盤が編集されてるらしく、日本でも『イン・ビジョン』とか『ジュエルズ』のシリーズが出ているし、実は意外とベスト盤多いバンドなのである。そのベスト盤たちが、それぞれに特徴のある内容になっていて、これはこれで結構面白いので、わざわざオール・タイム・ベストなんて出さなくても...という気がするけど、ま、色々と事情があるのでしょう(笑)

興味あるのは、どういう人たちが買うのか、ということ。本国イギリスでは、史上最も売れたアルバムがクイーンの『グレイテスト・ヒッツ』だというくらいで(『グレイテスト・ヒッツVol.2』も、上位10枚に入ってるそうな)、ベスト盤は浸透しまくってるのでは、なんて思うし、日本では、前述のように、日本独自編集のベスト盤が、これまたよく売れてるので、わざわざ今回のオール・タイム・ベストを買う人は少ないような気もする。無難というか妥当な選曲だし(笑)

と言いつつ、よく売れてるらしい。結局、クイーンを知らない世代が入門編として買ってるのだろう。相変わらず、若いファンが増え続けている、というのが凄い。30年前、いや20年前ですら、こんな状況になろうとは、想像も出来なかった。ま、このオール・タイム・ベストを買った若い人たちに、次はオリジナル・アルバムを是非聴いて欲しい、と切に願うのみである(笑)

さて、ここで質問。記事中に“オール・タイム・ベスト”という言葉は、何回出てきたでしょう?(爆)

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14 コメント

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>“オール・タイム・ベスト”という言葉は (陰陽師@憂国の志士)
2009-11-21 23:26:57
>“オール・タイム・ベスト”という言葉は

ワタクシもいずれオール・タイム・ベストをリリースしたいと思います(謎)。
返信する
♪陰陽師さま (MFCオーナー)
2009-11-21 23:53:52
♪陰陽師さま

>ワタクシもいずれオール・タイム・ベストをリリースしたいと思います
その前にメジャーデビューして下さい(意味不明)
返信する
私の場合入門編として聴くときは、最新作から入る... (にゅーめん)
2009-11-22 07:00:41
私の場合入門編として聴くときは、最新作から入るときとベストから入るときがあります。
ベテランやすでに現役ではない場合は、その人の代表作や名盤とされてるものから入ることもあります。
またよく知ってるアーティストでもオーナーさんのようにヒット曲をまとめて聴きたいという理由でベストを買うときもありますね。
マドンナのベストはほとんど知ってる曲なのに、そそられる内容です。
ジョージのベストは、ビートルズの曲は不要だと思います。
返信する
ビージーズも新たにベスト盤出しましたね^^ (かがみ)
2009-11-22 07:26:58
ビージーズも新たにベスト盤出しましたね^^
返信する
♪にゅーめんさん (MFCオーナー)
2009-11-22 08:42:53
♪にゅーめんさん

>ベテランやすでに現役ではない場合は、その人の代表作や名盤とされてるものから入ることもあります
アーティストにもよりますが、ベテランを初めて聴く場合は、その方が正しいと思います。イエスやツェッペリンをベスト盤から聴く、というのはどうもね...^^;
>マドンナのベストはほとんど知ってる曲なのに、そそられる内容です
そうなんですよ。ちょっと迷ってます(笑)
>ジョージのベストは、ビートルズの曲は不要だと思います
同感です。他の元ビートルのベスト盤には、ビートルズ時代の曲は入ってないのに、なぜジョージのだけ入れてるのか、不可解です。

♪かがみさん

>ビージーズも新たにベスト盤出しましたね
ビージーズは、随分前ですけど、全シングル曲を収録したボックスを買ったので、特にベスト盤は必要としてないです。つーか、ビージーズもベスト盤多過ぎ^^; 彼らの場合、シングル曲とアルバム・トラックに落差(曲の出来の落差ではなく、イメージの落差のことです)があるので、初心者にはやはりベスト盤を薦める事になりますけど、それにしても多過ぎます。

返信する
"オールタイム"という言葉の背景には、... (fxhud402)
2009-11-22 12:59:23
"オールタイム"という言葉の背景には、キャリアの長いアーティストの音源が複数のレコード会社に散らばっていて権利上まとめて出すのが手間な場合に、あえてそれを実現させて売りにしようという意図があると思います。アーティスト側で音源を押さえていれば何の苦労もないのでしょうが、実際はそうでもない場合が多いようで。シカゴやイエスのようにアーティスト自身の路線変更で分けられる場合もありますけど、やはりレコード会社の壁を越えて……という場合の方が多いですね。

ベスト盤はヒット曲を手っ取り早く聞くためのあんちょこ的な側面があって、そのアーティストを深く知ろうとするきっかけとしては不向きだと思うのですが、そのアーティストが一番乗っていた時期に出たベスト盤は、準オリジナル・アルバム的な扱いをされて然るべきだと思います。

最近のベスト盤乱発の背景には、アルバム単位から曲単位に音楽の聞かれ方が変わってきたことがあると思います。演歌の人が毎年のように出す、新曲以外は代わり映えのしない「全曲集」みたいなものだと。新曲の出ないカタログ・アーティストでも何か話題を作って行かないといけないんでしょうが、もう少し違うやり方があるんじゃないかと思
返信する
います。中にはブレッドのようにベスト盤はメジャ... (fxhud402@背中とお尻がヒリヒリする)
2009-11-22 13:21:46
います。中にはブレッドのようにベスト盤はメジャー、オリジナルはインディーに権利が分かれちゃった(らしい)アーティストもいるわけで、洋楽好きの受難はまだまだ続きそう。

そんな中訪れた柏の新星堂には「レコ屋の意地!!」なる凄い名前のコーナーが設けられていて、バフィ?セント?メリー、ブルース?ホーンズビー、ニッティ?グリッティ?ダートバンドetc.といった人達の新作(!)が集められてました。出てるもんなんですねぇ。でも、パッとこれらに手を出せる境地に達してる人は少ないだろうなぁ……。
返信する
♪fxhud402さん (MFCオーナー)
2009-11-22 20:40:49
♪fxhud402さん

>背中とお尻がヒリヒリする
日焼けですか?(大違)

>キャリアの長いアーティストの音源が複数のレコード会社に散らばっていて権利上まとめて出すのが手間な場合に、あえてそれを実現させて売りにしようという意図
それも感じますね。大変なんだよ、だけど頑張ったよ、だから買ってね、みたいにファンを揺さぶる訳ですね。複数のレコード会社に音源が散っているなら、レコード会社ごとに、ちゃんとしたベスト盤を出してくれれば、別に構わないんですけど(笑)

>そのアーティストが一番乗っていた時期に出たベスト盤は、準オリジナル・アルバム的な扱いをされて然るべきだと思います
同感です。なので、CD時代に改めて編集されたベスト盤もいいですが、LP時代に出た時と同じフォーマットのベスト盤を敢えて買う、というケースが多くなるのです。スティービー・ワンダー、ダン・フォーゲルバーグ、カーズあたりは、昔のベスト盤の方がいいです。

>新曲の出ないカタログ・アーティストでも何か話題を作って行かないといけないんでしょうが、もう少し違うやり方があるんじゃないかと
これまた同感です。フォリナーなんて、新譜を10数年出さなかったものですから、その間ベスト盤が乱発されてしまいました。この先、新譜の出る可能性のない人の場合は、リマスターに頼るようになるんでしょうね。

>レコ屋の意地!!
これは凄い。レコ屋の意地どころか鑑です。新譜だけでなく、旧作も全て揃っていたりすると、もっと凄いかも。しかし、バフィ・セントメリーって、まだ現役なんですね。
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ベスト盤の考察、なるほど~と思いながら拝見しま... (aki)
2009-11-23 00:01:53
ベスト盤の考察、なるほど~と思いながら拝見しました。
ベスト盤を選ぶ時、何種類もあると本当に迷ってしまって困っちゃうんですよね。
知らないアーチストだからこそベスト盤で買ってみよう、と思っているのに、同じような曲の羅列でパッと見、違いがわからず(よく見比べてもやっぱりわからず:汗)結局選び疲れて、買うのをあきらめてしまったり・・・。
最近は未知のアーチストでもベスト盤ではなく、評判のよいオリジナル盤から入ることが多くなったかもしれません。

ジョージの「オールタイムベスト」ですが、オリビアさんの趣味が色濃く反映されているんではないか・・・と私は思うようにしています。できれば「オールタイム・ベスト」ではなく、「プライベート・ベスト」というタイトルにしてもらいたかった位です。
尤もプライベートと言い切るほどのコアさはありませんが・・・。
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♪akiさん (MFCオーナー)
2009-11-23 01:07:42
♪akiさん

>何種類もあると本当に迷ってしまって困っちゃうんですよね
全くです。マニアックな事を言わなければ、どれも同じ、というパターンが多いのですが(笑) 結局、最終的な判断基準は値段だったりして(笑)

>最近は未知のアーチストでもベスト盤ではなく、評判のよいオリジナル盤から入ることが多くなったかもしれません
それが正しい方法と思います。ただ、ベスト盤ばかりで、オリジナル・アルバムは入手困難、というのは困ってしまいますが。

>オリビアさんの趣味が色濃く反映されているんではないか・・・と私は思うようにしています
ベスト盤のタイトル曲なんて、正に趣味丸出しですかね?(笑) だとすると、オリビアさん、シブい趣味だなぁ。

>プライベートと言い切るほどのコアさはありませんが・・・。
「ダーク・スイート・レディ」「主人公レッグス」なんてとこが入ってれば、結構コアですけどね(笑)
返信する

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