あれ~ぇ、皆どうしてそんな誤解をしているんだろう?
何故そう思ったの?と私はGさんに尋ねます。
家に来た事も無いGさんがそう言うには、世間一般の人が皆そう言っていて、
Gさんが何処かでそれを小耳にはさんだのだと私は思ったのです。
世間の人は皆そう思っているのかしら、不思議?
でも、と私は思います。
もしかすると、私の方が真実を見抜けないでいるのかしら?
私の方が物事をよく分かっていない、ピント外れな人間なのかしら?
そう思ってGさんにこの問いかけをしてみます。
そんな事、答えられないよとGさん。
とても困った顔をして、ま、そんな事どうでもいいじゃないかと言います。
私はやはり真実が知りたいと言います。
私って物事がよく分かっていないタイプかしら?どうかしら、
Gさんが今まで付き合ってきた範囲でいいから、
私について思っている事を言ってみて欲しいと頼みます。
Gさんは本とに何だか困ってしまったようでした。
具合が悪くなって来たからと、実際に土気色に近い青い顔をして脇道に入り、
急いで行ってしまいました。
Gさんを追い詰めてしまったのかしらと、私は悪かったなと思いながらそのまま帰路を歩いて行きました。
歩きながら考えるのは祖父母と両親の事、過去から今までの思い出を蘇らせていました。
ほんの小さい頃、買い物に行った時の事です。
年末やお盆など、土地のデパートへ買い物に行く年何回かという買い出しの時の事です。
家族総出で出かけましたが、この時の商店街の混雑といったら凄いものでした。
商店の大通りは道行く人で溢れ、並んで何列もの行列です。
初詣の神社の混みようを思い浮かべてもらえばOKです。
人波は一寸ずりで、なかなか目的地のデパートまで辿り着けません。
人波にやられる私は何度気分が悪くなったかしれません。
こんな渋滞の時は、車でなくても歩いていてさえ人心にはイライラが募ります。
そこで、両親にもよく言い争いが始まるのでした。
私は傍らにいて、ある時言い争う両親に遂に愛想が尽き、両親の元を離れ、
少し前を歩いていた祖父母の所へ移動しました。
祖父母の方は2人ともにこやかで楽しそうに話しています。
『仲良きことは美しき哉』、ほんの小さな子供の私でさえ、祖父母の傍にいると心地よいのでした。
そんな訳で、段々と街に買い物に出る時は、両親より祖父母、と、私は祖母にくっついて歩くようになりました。
祖父母にしても、私のような幼い子がいつも一緒というと気苦労らしく、
お父さんやおかあさと一緒の方がいいでしょ。
と、両親の方へ返されるのですが、
私はお父さんとお母さんは仲が悪いから、傍で喧嘩されるとかっこ悪くて、(私が…)
周囲の人に対してとてもバツの悪い思いをすると訴えたものです。
私の訴えは祖父から父、伯父などからも父に伝えられ、
人前で夫婦が争うのはみっともないから止めるようにと諭されたようです。
その後、父は人並みで私を肩車してくれたりと、私のお守りで時間を潰し、母の方は祖母や伯母と話したり、
道で連れになった人と話す事で、夫婦の衝突は回避されていたようです。