中2の頃は、新しいタイプのお友達が増えて、目新しい事が多かったものです。
Gさんはベル薔薇ファン、Hさん、Iさんは芸能人に夢中と、それぞれに話題は尽きず、
乙女チックな時代でした。
誘われてHさん、Iさんと同じ文化部に入り、暫く楽しく参加していました。
また、中1の頃、登下校の途中にFさんに会った時、彼女と話をしていて話題となった、
とにかく面白くて楽しいい人と聞いていた、こー君が同じクラスでした。
私はこー君が同じクラスだと知って、ああ、この人がFさんが話していた面白い人だなと、
最初から少々興味を持って眺めてみるのでした。
前もってFさんから聞いていたので、聞いていたといってもFさんは具体的な話は何もしなかったのですが、
ただ、話をすると面白くて、楽しい人だという事でした。
楽しい人か、今までの中学生活で知った男子生徒を思うと、期待して眺めてみたくなるフレーズでした。
何となく微笑んで眺めてみると、向こうは朗らかそうな人でした。
男女それぞれの順で行くと、背丈も同じくらいの位置だったので、
机が並んでいたり、前後左右に座っていたりと、2年時には割合席の場所が近くになった物です。
私がよく微笑んで見ていたせいでしょう、帰り道で話しかけられた事があります。
こっちの道に綺麗なバラが咲いているけど見に来る、というようなお誘いでした。
綺麗なバラ、当然見てみたいものです。Fさんの言っていたように楽しい話の一つも聞けるかもしれないし、
楽しい男の子か、どんな話をしてくれるのだろうと期待してしまいます。
誘われるままに普段と違う道に寄り道です。
案内されて付いて行くと、本とです、直ぐに綺麗な黄色いバラの生け垣のあるお家に気付きました。
「ここなんだけど。」
こー君に言われるまでもなく、目には溢れるばかりに黄色い形の良いバラが飛び込んで来ます。
バラの花って魅力的ですね、一遍でその明るい色と美しい容姿、香の良さに心は魅了されてしまいます。
「凄い、とても綺麗で素敵だわ。」
良い所を紹介してもらってと、直ぐににこやかにこー君にありがとうと感謝の言葉を送ります。
じゃあと、こー君は行ってしまうようなので、私は一緒に行った方がよいかどうかと思うのですが、
こー君の方から、気に入ったみたいだから暫く見てから帰ればいいよと言ってくれたので、
私は言われるままにバラを鑑賞してから帰る事にします。
楽しい話は聞きそびれてしまったけれど、こんなに綺麗なバラを沢山鑑賞できるなんて、
私にはそれが、生まれて初めて見る自然のバラの生け垣でした。
自然のバラってこんなに素敵で美しいものなのだ!
道を戻って最初から、生垣の隅から隅まで眺めて、香りを嗅いだり、その形の良さや蕾の膨らみ具合など、
光に映える花びらの光沢、花弁の重なり具合や開き具合、花全体が醸し出す美としか言いようがない形容。
間近で見る本物のバラの醍醐味に大層魅了されてしまうのでした。
『絶対明日からこの道を通って帰ろう!』
下校途中の楽しみが1つ出来たのでした。