Jun日記(さと さとみの世界)

趣味の日記&作品のブログ

青葉若葉の季節

2016-10-25 19:06:50 | 日記

 青葉若葉の薫風が薫る季節、気候の良い時期に入り、祖父が逝って、後、私は登校しました。

その日かその翌日私はGさんと一緒に帰路にいました。

何時ものように2人で普通に話していました。

ふいにGさんはお前のとこの爺さん最近亡くなったんだろうと言い出しました。

学校では話題にならなかったのに、よく分かったなぁと驚いてしまいました。

私がそうだというとGさんは、学校といい、この通りといい、

ガラッと様子が変わったからすぐに分かったというのです。

お前のとこの爺さん立派だったからな、とGさんが言うので、私は益々驚いてしまいます。

 家の祖父の事をGさんが口にしたのはこれが初めてではありませんでした。

以前にも何の前触れなく、ふいにお前のとこの爺さん立派だな、と口にして私を驚かせていたのですが、

どこかで祖父に会ったのか、祖父の何かを聞いたのか、全くGさんは言いませんでした。

どうして知っているの?まあな。

で、その時は済んでしまった会話でした。

 Gさんは見た目は普通に女の子なのですが、口調がボーイッシュ、男勝りでした。

1年の頃はまだそうでもなかったのですが、2年になってクラスが一緒になり、帰りも一緒に帰ることが多くなり、

会話が増えるにつれて口調が段々と男勝りになって行ったものでした。

時には俺という事もあり、私はとても驚いたものです。

私は女の子らし言い方にした方が良いと、追々忠告したものです。

 さて、祖父の死から日が浅いのに、私が案外平気な顔や様子をしているとGさんは言います。

そうね、そうかもしれないと私は言って、祖母の死の後の祖父だから、慣れたのかもしれないと言います。

祖母の時には相当沈んで泣いたりもしたけれどと話します。

そうか、婆さんもいたのかとGさん。

 祖父が死んで悲しくないことは無いけれど、2年ほど寝たきりだったし、春のはじめに一度具合が悪くなり、

その時に父がもう長くないから覚悟しておきなさいと言っていたので、

今はそう、やっぱり祖父のいなくなった、こんな時期が来たのだと、

自分でも冷静だと思うくらいに祖父の死を受け止めることができる。

と、語るのでした。

  Gさんは妙に神妙な顔つきで、自分には無理だろうと言っていた気がします。

その後Gさんは興味があるらしく、私の祖父母の事を聞くので、仲が良かった事、庭に紅白のツツジの木が植えてあった事、

祖母が死んで赤いツツジの木はいつの間にか庭から消え、白いツツジの木も2、3年後にはなくなり、

家の庭は寂しくなったと話します。

 Gさんは、私の祖父母の仲は良かったのか?と聞き直すので、

そうだ、とても仲が良くて、反対に両親の方は仲が悪くて

私は両親を見ていると結婚したくないなと思うんだけど、

仲の良かった祖父母を見ていると結婚もいいなと思っていたと話します。

 Gさんは私の言う事が彼女にとっては意外な事だった、と言ったように思います。

反対だと思っていたと。

私の祖父母は仲が悪く、両親は仲が良いと思っていたそうでした。あれ~ぇ

 

 

 

 

 

 


新しい目、16

2016-10-25 10:48:02 | 日記

 祖父が亡くなって意外だったのは、妹が思いの外に祖父に心を寄せていた事でした。

確かに、学校から帰って来た時家にいるのは祖父一人、そんな生活が1年以上続いたのですから当たり前かもしれません。

私が思い至らなかったのかもしれません。

 私が見ていた妹は、何時も同級生の友達と遊んでいましたから、寂しがっていると思ったことがなかったのでした。

学校から帰って来て家に入り、ただいまと言うと答えてくれる人がいるといないとでは幼い子には大層違うことなのかもしれません。

その後誰かと遊ぶ事が出来ても、心理的にグーッと来る寂しさがあるのでしょう。

祖父にしてもそれは同じであったのかもしれません。

 日中一人でいるところへ、お昼過ぎに幼い声の妹がただいまと帰ってくる、待ちわびていた瞬間だったかもしれません。

祖父が亡くなって初めて知る、祖父と妹の意外な繋がりでした。

 私にしても、父に言われたように祖母とは違う祖父との繋がりがありました。

それは、あの4年生の時、かー君の家に行く事を反対された時でした。

祖父は○○店さんだけはダメと言ったあと、一人の女に収まらない男、そんな旦那を持つ女は惨め、お前そんな惨めな女になりたいのか。

と言いましたが、この言葉が家族を思っての祖父の言葉だという事は、年数が過ぎる毎に私にはひしひしと分かって来ました。

それだけでも祖父の思いやりをありがたいと思うのですが、祖父の言葉には続きがありました。

お祖父ちゃんなんか、お祖母ちゃん一人にちゃんと収まっていた。

という物です。

聞いた当時は如何という事も無く、そうかと思ったものですが、

それでも、しゃんとして胸を張るような祖父の言い方に、何かしら誇り高い言葉なのだろうと感じました。

『何だかお祖父ちゃんがかっこよく見える。

訳は分かりませんでしたが、そう思ったものです。

 皆さん分かりますか。

女性にとっては理想的ですよね、憧れの男性像、明治の男性というのはこんな人だったんでしょうね。

古いと言えば古いのですが、何だかカッコイイです。

家族思いで商売熱心、一代で一等地の一角に入り込める才覚もあった祖父

そう思うと、やはり自慢できる祖父であったと思います。

祖父が亡くなって「新しい目」シリーズの記事も終了です。